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責務7
「スルト、エーストに従うことは間違いだと気付いたのだな?」
「はい。兄上は私の前を歩く、いつも正しい、ついて行けば大丈夫だと思っておりました。ですが、それは間違っておりました」
「王太子だからと何をしても正しいとは限らないという証拠になったな」
「はい……」
「お前はちゃんと受け止めたのだから、しっかりやりなさい」
「はい」
スルトはキールスに向かって深く頭を下げて、しがみついてでも王家に残りたいわけではないが、しっかりやることが今できることだと覚悟を決めた。
「マリージュ、そなたは思うことは色々あるだろう。せっかくブルーベルが行ってはならないと伝えてくれたのに、勝手をされてはどうにもならない」
「はい……お姉様に申し訳ない気持ちです」
「ああ、私もだ」
マリージュはキールスとリュエンザに、ブルーベルから伝えられたスチュワートの縁談は諦めるように言われたことを伝えていた。
だが、その後はアリーシャに諦めるように説得をしていたためにエーストの暴走には気付かなかった。
まさか偽造をして、エズリラ侯爵家も巻き込まれているとは思っていなかったのである。事情を聞くために呼ばれたアーサーには会ったが、さすがに顔色が悪かった。
詳しくは聞いていないが、ブルーベルにこれまでのことを責められて、コレドールにも虐待だと思われていること、連絡や訪問も拒否されたということであった。
マリージュも関係ないとは言えなかったが、当然だろうと思った。
「そなたもこれからについて考えるといい。どのような結論になっても、気持ちを尊重する」
「ありがとうございます、しっかり考えたいと思います」
スルトもマリージュに問うことをしたり、決めたことを言わなかった。不仲というわけではなかったが、エーストとミジュリーの言いなりになっていたことについてはよく言い合いになった。
加担した責任はマリージュにはないと思っていたために、決まってからはどうしたいかと尋ねるつもりだったために、スルトも小さく頷いた。
「ただスルトとマリージュは、アリーシャのことは本当にこれで良かったか?」
アリーシャのことは二人も異を唱えなかったが、あの場だったから言えなかったのではないかと考えもした。
「はい、あの子が決めたことですから」
「はい、私もこれで良かったと思います」
「何度もマリージュは向き合ったが、これは本質というものだろう。後悔する日がきたとしても、それはあの子が向き合うべきこと」
「ありがとうございます」
アリーシャも大人とは言えないが15歳、自分で決めていい年齢だとスルトとマリージュは判断していた。
キールスとリュエンザもミレックからマリージュが何度も説得をしていることは聞いていた。だが、何度言っても諦めなかったのはアリーシャだと伝わっていた。
今回のこともアリーシャに責任がないとは言えない。
「では、皆も戻れ。また何かあれば報告する」
「国王陛下、私はいつ王領へ行けばいいでしょうか」
スルトは父上ではなく、国王陛下と呼んだことにキールスも覚悟を決めたのだと実感した。
「そうだな、手配はしているから、準備が整い次第だな」
「承知いたしました」
スルトは深く頭を下げて去っていき、マリージュとミレックも頭を下げて黙って退出した。
エーストとミジュリー、ジーラスとアリーシャは離宮に移動させれられて、コレゼリト公爵が「決まるまでこちらでお過ごしください」とだけ言って、出て行った。
離宮にも使用人はいるために、生活に困ることはないが、レベルは下がることになる。
「どうしてこんなことに!謝罪すると言ったのに、大袈裟ではないか」
「受け入れないと分かっていたなんて……」
エーストが怒り、ミジュリーが絶望していた。
「はい。兄上は私の前を歩く、いつも正しい、ついて行けば大丈夫だと思っておりました。ですが、それは間違っておりました」
「王太子だからと何をしても正しいとは限らないという証拠になったな」
「はい……」
「お前はちゃんと受け止めたのだから、しっかりやりなさい」
「はい」
スルトはキールスに向かって深く頭を下げて、しがみついてでも王家に残りたいわけではないが、しっかりやることが今できることだと覚悟を決めた。
「マリージュ、そなたは思うことは色々あるだろう。せっかくブルーベルが行ってはならないと伝えてくれたのに、勝手をされてはどうにもならない」
「はい……お姉様に申し訳ない気持ちです」
「ああ、私もだ」
マリージュはキールスとリュエンザに、ブルーベルから伝えられたスチュワートの縁談は諦めるように言われたことを伝えていた。
だが、その後はアリーシャに諦めるように説得をしていたためにエーストの暴走には気付かなかった。
まさか偽造をして、エズリラ侯爵家も巻き込まれているとは思っていなかったのである。事情を聞くために呼ばれたアーサーには会ったが、さすがに顔色が悪かった。
詳しくは聞いていないが、ブルーベルにこれまでのことを責められて、コレドールにも虐待だと思われていること、連絡や訪問も拒否されたということであった。
マリージュも関係ないとは言えなかったが、当然だろうと思った。
「そなたもこれからについて考えるといい。どのような結論になっても、気持ちを尊重する」
「ありがとうございます、しっかり考えたいと思います」
スルトもマリージュに問うことをしたり、決めたことを言わなかった。不仲というわけではなかったが、エーストとミジュリーの言いなりになっていたことについてはよく言い合いになった。
加担した責任はマリージュにはないと思っていたために、決まってからはどうしたいかと尋ねるつもりだったために、スルトも小さく頷いた。
「ただスルトとマリージュは、アリーシャのことは本当にこれで良かったか?」
アリーシャのことは二人も異を唱えなかったが、あの場だったから言えなかったのではないかと考えもした。
「はい、あの子が決めたことですから」
「はい、私もこれで良かったと思います」
「何度もマリージュは向き合ったが、これは本質というものだろう。後悔する日がきたとしても、それはあの子が向き合うべきこと」
「ありがとうございます」
アリーシャも大人とは言えないが15歳、自分で決めていい年齢だとスルトとマリージュは判断していた。
キールスとリュエンザもミレックからマリージュが何度も説得をしていることは聞いていた。だが、何度言っても諦めなかったのはアリーシャだと伝わっていた。
今回のこともアリーシャに責任がないとは言えない。
「では、皆も戻れ。また何かあれば報告する」
「国王陛下、私はいつ王領へ行けばいいでしょうか」
スルトは父上ではなく、国王陛下と呼んだことにキールスも覚悟を決めたのだと実感した。
「そうだな、手配はしているから、準備が整い次第だな」
「承知いたしました」
スルトは深く頭を下げて去っていき、マリージュとミレックも頭を下げて黙って退出した。
エーストとミジュリー、ジーラスとアリーシャは離宮に移動させれられて、コレゼリト公爵が「決まるまでこちらでお過ごしください」とだけ言って、出て行った。
離宮にも使用人はいるために、生活に困ることはないが、レベルは下がることになる。
「どうしてこんなことに!謝罪すると言ったのに、大袈裟ではないか」
「受け入れないと分かっていたなんて……」
エーストが怒り、ミジュリーが絶望していた。
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