さよならの代わりは

野村にれ

文字の大きさ
191 / 193

決定

「友人はどうだ?」
「友人ですか?ブルーベルの?」

 ミジュリーはブルーベルよりも年上で、知り合ったのはエーストの婚約者、スルトの婚約者になってからであり、私的な交流は詳しくない。というよりブルーベルが一緒にいた女性と言えば、マリージュしか記憶になかった。

「そうだ。友人を使って、脅すしかない。どこかの貴族に嫁いでいるのではないか?それならばどうにでもなるだろう」
「そうですわね、でもブルーベルの交友関係は私は存じ上げません。スルト殿下に聞くことも今は難しいでしょう」
「あいつは駄目だろう」

 エーストはスルトに裏切られたわけではないが、似たような気持ちになっていた。

「マリージュもこの状態だと、難しいですわよね。侍女に調べさせましょうか?」
「頼む」

 ミジュリーが実家から連れて来た使用人もいるために、動かすことはできる。実家に頼むほうがいいが、今回のことをどちらにつくか分からないために、下手に伝えるのは危険かもしれない。

 侍女にはブルーベルに謝罪をしたいから、どなたか友人を見付けて欲しいと頼むことにした。これでもしバレたとしても、伝手を探していたと言い訳ができる。

 一方、キールスとリュエンザ、コレゼリト公爵、大臣たちは再度、エーストとミジュリーについて、協議が行われることになった。

 エーストとミジュリーが考えを変えて、受け入れていたら、すぐではなくともスルトと同じように王領を任せるという案もあったが、それは認められない。

 エーストとミジュリー、そしてジーラスとアリーシャも同様とすることになった。

 そして、処遇が決まった――

「実質、幽閉だな」
「公務はさせられませんから、まずは大事な書物は運び出して、それ以外の図書室の整理をさせましょう。それに応じて、待遇を変えます」

 リュエンザは公務に触れさせることはできないが、ただ幽閉では自暴自棄になるだろう。ならば何かを与えて、待遇を変えれば取り組むかもしれない。

 それでも駄目ならば、その程度の待遇にすればいい。

「リュメリー王国のこともありますから、王族から抜け、予算はなしとするほうがいいでしょう。リュメリー王国の支払いは王家からに切り替え、エースト殿下の取り分で払うように手続きしましょう」
「ああ、すまないがそのように……」

 エーストを王族から外しても、エーストの取り分を充て、リュメリー王国への航路の支払いはしなくてはならない。息子がこのようなことになり、申し訳ない気持ちにもなっており、思わず弱音が零れた。

「いいえ、表向きはエースト殿下が他国に対して問題を起こし、責任を取って王太子を降り、王族からも外れ、ミレック殿下を王太子にするとしますか」
「そうだな、ハッキリさせた方がいいが、詳細は不安にさせるだろうからそのくらいの発表でいいだろう。その前にモルゾフ王国とオペリーク王国への謝罪、そしてリュメリー王国への説明が先だな。納得してもらえなくとも、伝えなくてはならない」
「はい。国王夫妻が不在では良くないですから、私が参りましょう」

 コレゼリト公爵は国王夫妻が不在後に発表を行うと余計に不安を煽ることになり、安全面も考慮しなくてはならないために謝罪に向かおうと考えていた。

 リュメリー王国については、このようなことがあったと説明のみという形にするほうがいいだろう。

「オペリーク王国へはミレックをやろう」
「ミレック殿下を?」
「卑怯だとは思うが、ブルーベルと話をしているから、少しでも理解を得れるのではないだろうか」

 モルゾフ王国は難しいことは理解しているために、せめてオペリーク王国とまで交流を切られることは避けたい。それならば、話をして悪い印象を持っていないミレックが適任だろう。

「そうですね、ではそのように」

あなたにおすすめの小説

【完結】あの子の代わり

野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、 婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。 ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。 18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、 キャリーヌにいないからという理由だったが、 今回は両親も断ることが出来なかった。 この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」 そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。 彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・ 産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。 ---- 初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。 終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。 お読みいただきありがとうございます。

愛は全てを解決しない

火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。 それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。 しかしデセルバート家は既に没落していた。 ※なろう様にも投稿中。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

あなたを守りたい……いまさらそれを言う?

たろ
恋愛
幼い頃に起きた事件がきっかけで実の父親に疎まれて暮らすファナ。  唯一の居場所は学校。 毎日、屋敷から学校まで歩いて通う侯爵令嬢を陰で笑う生徒達。 それでも、冷たい空気の中で過ごす屋敷にいるよりはまだマシだった。 ファナに優しくしてくれる教師のゼバウト先生。 嫌がらせをされてあまりにも制服が汚れるので、毎回洗って着替えを用意しておいてくれる保健室のエリーナ先生。 昼休みと放課後は、図書室で過ごすことが多いので、いつも何かと気にかけてくれる司書のマッカートニーさんと、図書委員の優しい先輩達。 妹のリリアンは、本人に悪気は無いのだけど、嫌なことや自分が怒られそうになると全て姉のファナに押し付ける。 嫌なことがあればメソメソと泣き姉に頼ってばかりだった。 いつも明るく甘えん坊のリリアンは顔もとても可愛らしく屋敷の中心で、使用人たちも父親も甘やかして育てられた。 一方、ファナはいずれ婿を取り侯爵家を継がなければならないため、父親に厳しく躾をされていた。 明るくて元気だったはずのファナの笑顔は、大きくなるにつれ失ってしまっていた。 使用人達もぞんざいな態度を隠そうともしない。ファナはもう諦めていた。 そんななか唯一、婚約者のジェームズだけはファナのことを優先してくれる優しい男の子だった。 そう思っていたのに……… ✴︎題名少し変更しました。

元婚約者に未練タラタラな旦那様、もういらないんだけど?

しゃーりん
恋愛
結婚して3年、今日も旦那様が離婚してほしいと言い、ロザリアは断る。 いつもそれで終わるのに、今日の旦那様は違いました。 どうやら元婚約者と再会したらしく、彼女と再婚したいらしいそうです。 そうなの?でもそれを義両親が認めてくれると思います? 旦那様が出て行ってくれるのであれば離婚しますよ?というお話です。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。