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赤恥
王太子夫妻から贈り物を受け取り、王女の部屋に移動した。
「可愛らしい部屋ですね(トワイ語)」
「こちらです、見てください。こちらでございます(トワイ語)」
レベッカはさあさあと言わんばかりに、ベビーベットに向かった。アペラ語を話していないことにも気付いていない。殿下は王太子夫妻に頭を下げ、夫妻がベビーベットに行くと、王女はすやすやと眠っていた。
「可愛いでしょう?もう殿下なんてメロメロのデレデレなんですのよ(トワイ語)」
『語尾が聞き取れなかったわ、私もまだまだね(アペラ語)』
『おそらくメロメロ、デレデレではないだろうか(アペラ語)』
『ああ、なるほど(アペラ語)』
『合っております。大変失礼しました、話せるというものですから、同席させたのですが(アペラ語)』
『おそらく分かっていらっしゃらないかと思います(アペラ語)』
『そのようです。試験をした者を確認いたします(アペラ語)』
『それがよろしいですわね(アペラ語)』
その間にレベッカは眠っていた王女を起こして、抱き上げていた。
「ほら、見てくださいませ。可愛いでしょう?(トワイ語)」
『わざわざ起こさなくても、よろしいのに(アペラ語)』
『そっくりですね(アペラ語)』
『私には自分のドレスを見せびらかすかのように聞こえます(アペラ語)』
「「ああ」」
「ウンメイデスジョ、アマイ、カワイグデ、ミゴロデス、ゴチソウサマデス」
王太子夫妻はさすが王族を言わんばかりに、にこやかに話していたためにレベッカは問題ないと考え、ペラペラ話していたが、めちゃくちゃであった。さすがに恥ずかしくなった殿下は、お茶を用意しておりますのでと、クリコットに王太子夫妻を先に案内させ、レベッカに向き合った。
「話せないんだな?」
「えっ、話せておりましたでしょう?」
「では、王太子夫妻が何と話していたか言ってみなさい」
「レベッカ妃殿下、おめでとうございますと」
「それはトワイ語だっただろう」
「では、王女が可愛いですわねと」
「そのようなことは話していない」
「えっ?」
子どもを見て話すことは、可愛い、小さい、そんな話だろうと思っていた。
「はあ、君はもう同席しなくていい」
「なぜですか!あちらもトワイ語が話せるのなら、トワイ語で話せばいいではありませんか」
「何を言ってるんだ?君は王太子夫妻を友人や何かを勘違いしているのか?お互いに敬意を払って、互いの母国語を話すんだ。君がしているのは敬意を払っていないと取られる行為なのだぞ。外交では常識だろう?」
王太子妃、側妃の教育に必ず学ぶことである。つい母国語が出てしまい、笑って許されないのが王族というものである。不安があったため確認もしたというのに、この有様である。
「でも、たかが言葉じゃない!分かる方が話せばいいわ。難しいなら、通訳を付ければいいじゃない」
「友人ならそれでいいだろうが、相手は王太子夫妻だ。話すたびに毎度毎度、こちらだけ、君だけが通訳を挟むのか?」
「それは、でも…」
「君は部屋に戻りなさい」
殿下は王太子夫妻を見送り、側妃の試験を行った、ティファナ・アズラー夫人を呼び出した。
「試験を行ったのは、私ではありません」
「は?なぜだ?」
「クリンピア公爵家から、側妃であれば、私が試験をするほどではないだろうと、両陛下を説得したようで、行ったのはバラマス夫人です」
バラマス夫人はマナー講師をしているが、なぜ側妃試験に抜擢されたのか。
「コアール伯爵家の、か。ああ、レベッカの祖母はクリンピア公爵家だったな」
「はい、レベッカ妃殿下は粗相しましたか?」
ティファナ・アズラーは侯爵夫人、公爵家から口添えをされれば意見を言うのは難しいだろう。そして、レベッカの能力は把握していたと思われる。
「ああ、ノワンナ語も訳せない、アペラ語は話せると言ったのに、嘘であった。カベリ語も同様だろうな。両陛下はなぜ認めたんだ?」
「クリンピア公爵家から何か要望があったのではないでしょうか。レベッカ妃殿下は確かに学園での成績は良かったようですが」
「学園ではノワンナ語、アペラ語、カベリ語は選ばないと学ばない。しかも学園で学んだくらいでは、身に付くものではない」
「その通りです。サリー様のように、全て復習のために取り、さらに別の語学も取るなんてことは、あり得ぬことでしょうから」
サリーは学園に入る前に、三ヶ国語はなんなく使え、殿下よりも堪能である。
「アペラ語の発音も恥ずかしいほど、酷かった」
「ええ、もしかしたら学びはしたのかもしれませんが、使わないと忘れますからね。一度習って、出来ると思い込んだのかもしれませんね」
「もう一度、行ってもらうことになるかもしれない」
「承知しました」
「可愛らしい部屋ですね(トワイ語)」
「こちらです、見てください。こちらでございます(トワイ語)」
レベッカはさあさあと言わんばかりに、ベビーベットに向かった。アペラ語を話していないことにも気付いていない。殿下は王太子夫妻に頭を下げ、夫妻がベビーベットに行くと、王女はすやすやと眠っていた。
「可愛いでしょう?もう殿下なんてメロメロのデレデレなんですのよ(トワイ語)」
『語尾が聞き取れなかったわ、私もまだまだね(アペラ語)』
『おそらくメロメロ、デレデレではないだろうか(アペラ語)』
『ああ、なるほど(アペラ語)』
『合っております。大変失礼しました、話せるというものですから、同席させたのですが(アペラ語)』
『おそらく分かっていらっしゃらないかと思います(アペラ語)』
『そのようです。試験をした者を確認いたします(アペラ語)』
『それがよろしいですわね(アペラ語)』
その間にレベッカは眠っていた王女を起こして、抱き上げていた。
「ほら、見てくださいませ。可愛いでしょう?(トワイ語)」
『わざわざ起こさなくても、よろしいのに(アペラ語)』
『そっくりですね(アペラ語)』
『私には自分のドレスを見せびらかすかのように聞こえます(アペラ語)』
「「ああ」」
「ウンメイデスジョ、アマイ、カワイグデ、ミゴロデス、ゴチソウサマデス」
王太子夫妻はさすが王族を言わんばかりに、にこやかに話していたためにレベッカは問題ないと考え、ペラペラ話していたが、めちゃくちゃであった。さすがに恥ずかしくなった殿下は、お茶を用意しておりますのでと、クリコットに王太子夫妻を先に案内させ、レベッカに向き合った。
「話せないんだな?」
「えっ、話せておりましたでしょう?」
「では、王太子夫妻が何と話していたか言ってみなさい」
「レベッカ妃殿下、おめでとうございますと」
「それはトワイ語だっただろう」
「では、王女が可愛いですわねと」
「そのようなことは話していない」
「えっ?」
子どもを見て話すことは、可愛い、小さい、そんな話だろうと思っていた。
「はあ、君はもう同席しなくていい」
「なぜですか!あちらもトワイ語が話せるのなら、トワイ語で話せばいいではありませんか」
「何を言ってるんだ?君は王太子夫妻を友人や何かを勘違いしているのか?お互いに敬意を払って、互いの母国語を話すんだ。君がしているのは敬意を払っていないと取られる行為なのだぞ。外交では常識だろう?」
王太子妃、側妃の教育に必ず学ぶことである。つい母国語が出てしまい、笑って許されないのが王族というものである。不安があったため確認もしたというのに、この有様である。
「でも、たかが言葉じゃない!分かる方が話せばいいわ。難しいなら、通訳を付ければいいじゃない」
「友人ならそれでいいだろうが、相手は王太子夫妻だ。話すたびに毎度毎度、こちらだけ、君だけが通訳を挟むのか?」
「それは、でも…」
「君は部屋に戻りなさい」
殿下は王太子夫妻を見送り、側妃の試験を行った、ティファナ・アズラー夫人を呼び出した。
「試験を行ったのは、私ではありません」
「は?なぜだ?」
「クリンピア公爵家から、側妃であれば、私が試験をするほどではないだろうと、両陛下を説得したようで、行ったのはバラマス夫人です」
バラマス夫人はマナー講師をしているが、なぜ側妃試験に抜擢されたのか。
「コアール伯爵家の、か。ああ、レベッカの祖母はクリンピア公爵家だったな」
「はい、レベッカ妃殿下は粗相しましたか?」
ティファナ・アズラーは侯爵夫人、公爵家から口添えをされれば意見を言うのは難しいだろう。そして、レベッカの能力は把握していたと思われる。
「ああ、ノワンナ語も訳せない、アペラ語は話せると言ったのに、嘘であった。カベリ語も同様だろうな。両陛下はなぜ認めたんだ?」
「クリンピア公爵家から何か要望があったのではないでしょうか。レベッカ妃殿下は確かに学園での成績は良かったようですが」
「学園ではノワンナ語、アペラ語、カベリ語は選ばないと学ばない。しかも学園で学んだくらいでは、身に付くものではない」
「その通りです。サリー様のように、全て復習のために取り、さらに別の語学も取るなんてことは、あり得ぬことでしょうから」
サリーは学園に入る前に、三ヶ国語はなんなく使え、殿下よりも堪能である。
「アペラ語の発音も恥ずかしいほど、酷かった」
「ええ、もしかしたら学びはしたのかもしれませんが、使わないと忘れますからね。一度習って、出来ると思い込んだのかもしれませんね」
「もう一度、行ってもらうことになるかもしれない」
「承知しました」
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