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誕生祭3
ファラス大臣夫妻が立ち去ると、ミアローズはリール殿下を無理やり引っ張って、壁際に連れて行った。今日の主役に何事かというべきところだが、大臣夫妻の言葉はほとんど分からなくとも、指摘を受けたことは明らかだ。
自分を高く見積もり過ぎた末路のようなミアローズを好意的に思っているのは、家族と同様の思考を持つ僅かな友人だけである。
「ちょっと、リール。私は王太子妃の代理なのよ!ちゃんと私を引き立たせて」
主役に引き立たせてとは相変わらずで清々しいほどだ。今日のミアローズには友人以外の人が寄って来てはいなかった。昔なら、何も知らない男性が話をしたい、ダンスをしたいと押し掛けていたが、陰湿な性格が露呈して、傲慢さを隠さなくなってしまったのだろう。
「君は大臣夫妻が誰か分かっていて、話していたんだよな?ちゃんと出席者の名前は入っているんだよな?」
「当たり前でしょう」
「では、なぜ皇帝陛下の名が出ているのに、わざわざ割り込んで来たんだ?」
「こ、皇帝?そんなの訳されなかったわ」
アントアとは夫人の弟である皇帝の名前で、ファラス夫人は元皇女である。おそらく、それすら分かっていないようだが、説明する気にもならない。
「だから何だ?通訳のせいにするのか?彼は訳していたぞ、聞こえなかったとでも言うつもりか?」
美形の通訳は二人は台無しの酷い顔色で、居場所がなく、オロオロしており、通訳を引き受けたことを後悔しているだろう。
「私は念のため、公爵に伝えたはずだ。君に合わせる気はないと。王太子妃と同じように扱っている、それが望みだろう?」
「何よ、女性には優しくするのが務めでしょう?」
「はあ…君にはうんざりだ。もうこれ以上、恥を掻く前に帰りなさい」
「嫌よ!折角、私に一番相応しいの場所にいるのよ。元々はここは私の場所だった、そうでしょう?」
「そんなこと一度もない。不敬罪としてもいいが?」
「待って、落ち着きなさいよ」
「次に粗相をした時点で公爵に言って、帰らせる。いいな?」
「もうしないわよ」
立ち振る舞いは公爵令嬢なだけあって美しいが、母国の貴族でソアート帝国の大臣夫妻を不快にさせた相手と仲良くなりたい者などいないだろう。
「王太子殿下、本日はおめでとうございます」
「ありがとうございます」
そんな中、声を掛けてくれたのは、隣国であるフアラ王国の外交担当のシューリンダー大臣である。二つ年上で、何度か会っており、男性なのにどこか妖艶さを漂わせている。以前、本人が母親に生き写しで、女顔なんですと言っていたが、案の定、ミアローズも横で目を輝かせている。
「初めまして、ミアローズ・エモンドと申します」
「初めまして、リアスト・シューリンダーと申します。すみません、あまり発音が良くないとオモイマスガ、ご容赦ください」
「とんでもない、とてもお上手ですわ」
「ありがとうございます。なかなかミニ付かず、苦労しております」
「まあ、でしたら私がご指導いたしましょうか」
「あなたは、ゴガクを教えてらっしゃるのですか」
「ええ、はい、そうですの」
殿下は間違いなく虚偽で、これで退場だと判断するも、大臣に時間を取らせるのは申し訳ないが、仕方ない。
「そうでしたか、それは、えっと、」
『ノワンナ語で大丈夫ですよ(ノワンナ語)』
『王太子殿下、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。大変失礼しました。教職の方でしたか、それは何ともお恥ずかしい。どう憶えるのが一番良いのでしょうか(ノワンナ語)』
「…」
ミアローズはシューリンダー大臣を見つめたまま、何も答えず、通訳も黙ったままで訳す気配がない。
「エモンド公爵令嬢!」
「えっ、ちょっと早く訳しなさい」
「私は分かりません」「私も分かりません」
「何でよ!」
「エモンド公爵令嬢がノワンナ語は大丈夫だと仰ったからではないですか」
殿下にも通訳を紹介されていないので、聞く気もなかったが、だから通訳が二人だったのかと納得した。一人が二ヶ国語話せるのかとも思ったが、そうではなかったらしい。三人連れていれば、いかにも三ヶ国語話せないと言っているようなものだったが、そこまで頭が回るとは思えない。顔で選んだだけだったのだろう。
ミアローズに外国語が話せるはずがないのに。
自分を高く見積もり過ぎた末路のようなミアローズを好意的に思っているのは、家族と同様の思考を持つ僅かな友人だけである。
「ちょっと、リール。私は王太子妃の代理なのよ!ちゃんと私を引き立たせて」
主役に引き立たせてとは相変わらずで清々しいほどだ。今日のミアローズには友人以外の人が寄って来てはいなかった。昔なら、何も知らない男性が話をしたい、ダンスをしたいと押し掛けていたが、陰湿な性格が露呈して、傲慢さを隠さなくなってしまったのだろう。
「君は大臣夫妻が誰か分かっていて、話していたんだよな?ちゃんと出席者の名前は入っているんだよな?」
「当たり前でしょう」
「では、なぜ皇帝陛下の名が出ているのに、わざわざ割り込んで来たんだ?」
「こ、皇帝?そんなの訳されなかったわ」
アントアとは夫人の弟である皇帝の名前で、ファラス夫人は元皇女である。おそらく、それすら分かっていないようだが、説明する気にもならない。
「だから何だ?通訳のせいにするのか?彼は訳していたぞ、聞こえなかったとでも言うつもりか?」
美形の通訳は二人は台無しの酷い顔色で、居場所がなく、オロオロしており、通訳を引き受けたことを後悔しているだろう。
「私は念のため、公爵に伝えたはずだ。君に合わせる気はないと。王太子妃と同じように扱っている、それが望みだろう?」
「何よ、女性には優しくするのが務めでしょう?」
「はあ…君にはうんざりだ。もうこれ以上、恥を掻く前に帰りなさい」
「嫌よ!折角、私に一番相応しいの場所にいるのよ。元々はここは私の場所だった、そうでしょう?」
「そんなこと一度もない。不敬罪としてもいいが?」
「待って、落ち着きなさいよ」
「次に粗相をした時点で公爵に言って、帰らせる。いいな?」
「もうしないわよ」
立ち振る舞いは公爵令嬢なだけあって美しいが、母国の貴族でソアート帝国の大臣夫妻を不快にさせた相手と仲良くなりたい者などいないだろう。
「王太子殿下、本日はおめでとうございます」
「ありがとうございます」
そんな中、声を掛けてくれたのは、隣国であるフアラ王国の外交担当のシューリンダー大臣である。二つ年上で、何度か会っており、男性なのにどこか妖艶さを漂わせている。以前、本人が母親に生き写しで、女顔なんですと言っていたが、案の定、ミアローズも横で目を輝かせている。
「初めまして、ミアローズ・エモンドと申します」
「初めまして、リアスト・シューリンダーと申します。すみません、あまり発音が良くないとオモイマスガ、ご容赦ください」
「とんでもない、とてもお上手ですわ」
「ありがとうございます。なかなかミニ付かず、苦労しております」
「まあ、でしたら私がご指導いたしましょうか」
「あなたは、ゴガクを教えてらっしゃるのですか」
「ええ、はい、そうですの」
殿下は間違いなく虚偽で、これで退場だと判断するも、大臣に時間を取らせるのは申し訳ないが、仕方ない。
「そうでしたか、それは、えっと、」
『ノワンナ語で大丈夫ですよ(ノワンナ語)』
『王太子殿下、ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます。大変失礼しました。教職の方でしたか、それは何ともお恥ずかしい。どう憶えるのが一番良いのでしょうか(ノワンナ語)』
「…」
ミアローズはシューリンダー大臣を見つめたまま、何も答えず、通訳も黙ったままで訳す気配がない。
「エモンド公爵令嬢!」
「えっ、ちょっと早く訳しなさい」
「私は分かりません」「私も分かりません」
「何でよ!」
「エモンド公爵令嬢がノワンナ語は大丈夫だと仰ったからではないですか」
殿下にも通訳を紹介されていないので、聞く気もなかったが、だから通訳が二人だったのかと納得した。一人が二ヶ国語話せるのかとも思ったが、そうではなかったらしい。三人連れていれば、いかにも三ヶ国語話せないと言っているようなものだったが、そこまで頭が回るとは思えない。顔で選んだだけだったのだろう。
ミアローズに外国語が話せるはずがないのに。
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