文字の大きさ
大
中
小
38 / 203
陳謝
アズラー夫人は、約束の日に顔色の悪いルアンナ・クリジアンを連れて、サリーの宮を訪れた。二人は髪の毛をきっちりまとめ、全身ブラック一色である。殿下とクリコットも見守るために同席している。
「妃殿下が私が決めたことではないと、おっしゃっているのにも関わらず、私こそが王太子妃に相応しいと、好き放題言って、誠に申し訳ございませんでした。勿論、許してもらえるとは思いませんが、謝らせてください」
相当、ルアンナはアズラー夫人に絞られ、言い聞かせられた様子で、アズラー夫人も一緒に深く頭を下げている。
『私は謝罪を望んでいるわけではありません。ですから受け入れません。発言の責任を取って、代理を行っていただければいいのです(アペラ語)』
「娘が申し訳ありませんでした、どのような気持ちでサリー様は私の授業を受けていたのかと、お詫びの仕様もございません」
『では代理、よろしくお願いします(アペラ語)』
「娘には無理です」
『無理だろうが、何だろうが、私に関係あるかしら?(アペラ語)』
「サリー、母国語で話してもらえないか」
『訪問されるのですから、アペラ語がいいと思いましたのに(アペラ語)』
『気持ちは有難いと思っている。あと、今回もあるのだろうか、彼女の発言を記したものは(アペラ語)』
サリーは新しい金庫から出した紙の束を殿下、ルアンナ、アズラー夫人に渡した。グリズナー夫人と同じくらいの枚数がある。
「ルアンナ・アズラーの発言が記してあります」
「っな、そんな」
「似たような発言が多かったです。黙って読んでくださいね、謝罪も不要です」
サリーが代理の理由に書いた発言以外は、攻撃と脅しの言葉ばかりであった。
『あなたと比べられるなんて、不本意だわ。本当なら、比べられる相手じゃないのよ。顔を見るだけでイラつくわ、本当にいい加減にして欲しいわ』
『勝ったつもりでいるのでしょう?でもお母様に言えば、どうとでもなるのよ?分かっているの?』
『もう消えてくれない?気持ち悪い』
『お母様はあなたの授業はとても不愉快だそうよ、帰って来ると気分が悪いっていつも言うの』
『あなた、消えてよ。あなたが消えれば、私しかいなくなるじゃない』
『殿下だって、私の方がいいっておっしゃってるのよ!本当、あなたなんて、生まれて来なければ良かったのに』
「何なの、これは!私は不愉快などと言ったこともなければ、ただのいじめじゃない…ルアンナ、あなたは」
ルアンナは最初の一部分を読むと、続きを読むことが出来ず、恐ろしくて顔を上げらなくなり、縮こまってしまっている。グリズナー夫人とは違う、人格を否定して傷付ける言葉の数々である。
さすがに結婚後のルアンナ・クリジアンとしての発言はない。
「これは事実なのか、サリーはこんな言葉を言われ続けていたのか」
「ええ、そうですよ。叩かれたのも、一緒にいた方も書いてありますでしょう?」
「平手打ち、突き飛ばし…転倒…」
「大した怪我はありませんでしたが、当時は王族の婚約者で、受ける義務がありましたので、一番後ろに当時の診断書の写しを付けてあります」
四枚は診断書で、だからグリズナー夫人と同じくらいの枚数あったのだ。
「サリー様、いえ、妃殿下、これは許されることではありません。嫌がらせなどと、軽い言い方をしてはなりません。暴行罪です、これは」
「お母様っ」
「妃殿下、どうか罪を償わせてください」
「あっ、ちが、ちが…」
アズラー夫人はルアンナに見向きもせず、サリーに深く頭を下げた。
「サリー、なぜ、誰かに相談しなかったのだ?」
「両親に言えば、慰謝料だ、むしり取ってやると、ニヤつく顔しか浮かびませんでしたので。そのお金が両親の宝飾品になるのですよ?夫人は一人か、ステファー嬢とミンア嬢とカトレア嬢と一緒で、学園全員というわけではありませんでしたから」
「理由になっていないよ」
そんな理由で両親にも言わず、サリーには兄がいるが、当時はずっと隣国に行っており、アズラー夫人になんて言えるはずもない。
「妃殿下が私が決めたことではないと、おっしゃっているのにも関わらず、私こそが王太子妃に相応しいと、好き放題言って、誠に申し訳ございませんでした。勿論、許してもらえるとは思いませんが、謝らせてください」
相当、ルアンナはアズラー夫人に絞られ、言い聞かせられた様子で、アズラー夫人も一緒に深く頭を下げている。
『私は謝罪を望んでいるわけではありません。ですから受け入れません。発言の責任を取って、代理を行っていただければいいのです(アペラ語)』
「娘が申し訳ありませんでした、どのような気持ちでサリー様は私の授業を受けていたのかと、お詫びの仕様もございません」
『では代理、よろしくお願いします(アペラ語)』
「娘には無理です」
『無理だろうが、何だろうが、私に関係あるかしら?(アペラ語)』
「サリー、母国語で話してもらえないか」
『訪問されるのですから、アペラ語がいいと思いましたのに(アペラ語)』
『気持ちは有難いと思っている。あと、今回もあるのだろうか、彼女の発言を記したものは(アペラ語)』
サリーは新しい金庫から出した紙の束を殿下、ルアンナ、アズラー夫人に渡した。グリズナー夫人と同じくらいの枚数がある。
「ルアンナ・アズラーの発言が記してあります」
「っな、そんな」
「似たような発言が多かったです。黙って読んでくださいね、謝罪も不要です」
サリーが代理の理由に書いた発言以外は、攻撃と脅しの言葉ばかりであった。
『あなたと比べられるなんて、不本意だわ。本当なら、比べられる相手じゃないのよ。顔を見るだけでイラつくわ、本当にいい加減にして欲しいわ』
『勝ったつもりでいるのでしょう?でもお母様に言えば、どうとでもなるのよ?分かっているの?』
『もう消えてくれない?気持ち悪い』
『お母様はあなたの授業はとても不愉快だそうよ、帰って来ると気分が悪いっていつも言うの』
『あなた、消えてよ。あなたが消えれば、私しかいなくなるじゃない』
『殿下だって、私の方がいいっておっしゃってるのよ!本当、あなたなんて、生まれて来なければ良かったのに』
「何なの、これは!私は不愉快などと言ったこともなければ、ただのいじめじゃない…ルアンナ、あなたは」
ルアンナは最初の一部分を読むと、続きを読むことが出来ず、恐ろしくて顔を上げらなくなり、縮こまってしまっている。グリズナー夫人とは違う、人格を否定して傷付ける言葉の数々である。
さすがに結婚後のルアンナ・クリジアンとしての発言はない。
「これは事実なのか、サリーはこんな言葉を言われ続けていたのか」
「ええ、そうですよ。叩かれたのも、一緒にいた方も書いてありますでしょう?」
「平手打ち、突き飛ばし…転倒…」
「大した怪我はありませんでしたが、当時は王族の婚約者で、受ける義務がありましたので、一番後ろに当時の診断書の写しを付けてあります」
四枚は診断書で、だからグリズナー夫人と同じくらいの枚数あったのだ。
「サリー様、いえ、妃殿下、これは許されることではありません。嫌がらせなどと、軽い言い方をしてはなりません。暴行罪です、これは」
「お母様っ」
「妃殿下、どうか罪を償わせてください」
「あっ、ちが、ちが…」
アズラー夫人はルアンナに見向きもせず、サリーに深く頭を下げた。
「サリー、なぜ、誰かに相談しなかったのだ?」
「両親に言えば、慰謝料だ、むしり取ってやると、ニヤつく顔しか浮かびませんでしたので。そのお金が両親の宝飾品になるのですよ?夫人は一人か、ステファー嬢とミンア嬢とカトレア嬢と一緒で、学園全員というわけではありませんでしたから」
「理由になっていないよ」
そんな理由で両親にも言わず、サリーには兄がいるが、当時はずっと隣国に行っており、アズラー夫人になんて言えるはずもない。
感想
あなたにおすすめの小説
私が使うはずだった部屋に病弱令嬢を寝かせた婚約者とは、白紙に戻します
さんけい王家の意向で進められた婚約。
リーゼロッテ・エーレンフェルトは、婚約者ヒューバート・ラドクリフの屋敷を訪れた日、婚礼後に自分が使うはずだった部屋で、病弱な男爵令嬢アネットが眠っているのを見る。
「君なら分かってくれると思った」
ヒューバートはそう言った。
けれどリーゼロッテが問いたいのは、アネットが可哀想かどうかではない。
弱い方を助けるために、なぜ私の部屋を使ったのですか。
なぜ私の席を、あなたの優しさのために差し出したのですか。
部屋、席、茶会、呼び名。
少しずつずらされた扱いを、リーゼロッテは一つずつ確認していく。
善意を理由に他人の場所を使う婚約者とは、白紙に戻します。
※初日以外は6時・17時の更新といたします。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
私のことはお気になさらず
みおな 侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
どうぞお好きになさってください
みおな学園に入学して一ヶ月。
婚約者の第一王子殿下は言った。
「学園にいる間くらい自由にさせてくれないか。君が王太子妃になることは決定事項だ。だから、せめて学園に通う二年間は、僕はひとりの男として自由に過ごしたい」
公爵令嬢はその綺麗な顔に冷酷な笑みを浮かべる。
「好きになさればよろしいわ」
彼女の離縁とその波紋
豆狸夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。