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番外編1
マリーズ・ヒルダ1
『私と殿下は想いあっているの。爵位以外は相応しいと言ってくれるだけど。でも心配なさらないで。私は卒業したらソアート帝国に行くの。でも殿下が離してくれるかは、分からないの。だから私が去ったら、しっかり捕まえておいてくださいね。もし、奪ってしまったらごめんなさい。 ーマリーズ・ヒルダー』
平民よりは上だが、裕福な平民と比べると劣るような男爵家に生まれた。これで、とびきりの美人であったなら何か違ったかもしれないが、平凡で、埋没するような顔立ち、これと言って特徴を言えない、それが私だった。
生まれを憎むこともあったが、今となっては私に見合った生まれだったと思う。親戚のお姉さんが聞かせてくれるソアート帝国の話は華やかで、活気のある話ばかりで、憧れの場所となった。
親に留学したいと言ったが、学園を卒業して、自分で稼いでいくように言われた。学園に通わせるお金はあっても、そこまでのお金はない。
殿下と出会ったのは本当に偶然だった。たまたま、他の席が空いておらず、図書室で隣の席になったのだ。
話す機会のある身分ではなかったのに、横に座って話をすることが、日常になるなんて思わなかった。私はあの頃だけは選ばれた人間だと思い込んでいた。
私は殿下よりも一つ年上で、卒業しても殿下が寂しく思ってくれるのではないかと、卒業したら帝国に行くのだと話してみると、自立した、向上心のある女性なのだなと言われて嬉しくなった。とても私に似合う、そう思った。
それから、会う度に距離は縮まり、どんどん惹かれていった。
「帝国に行くまで、殿下を想うことをお許しください」
「マリーズ」
「私が卒業するまででいいのです」
質のいい高級なプレゼントを貰ったり、こっそり出掛けたり、恋人だと言っても過言ではない関係だった。
「もっと触れてはくれませんか」
「いや、君がいずれ結婚する時に困ることになるよ」
「私、初めてではないのです」
「えっ」
「前に婚約者がいたのです。相性も大事だからと、婚約中に関係を持ってしまって」
殿下と関係を持てたのはこれが大きかった。一年半前に同じ男爵家の婚約者がいたのだ。相性も大事だと言われたこともあるが、私も興味があり、どうせ結婚するのだからと、簡単に関係を持ってしまった。
「だが、今婚約者は…」
「解消されました」
「どうして?」
「他に好きな人でも出来たのではないでしょうか」
これは嘘であった。援助も含めた政略結婚だったが、相手は援助できなくなってしまい、お互いのために解消となっただけである。初めてをあげたのにと思ったが、元婚約者にも公にするより、言わなければ分からないと言われて、お金のない家に嫁ぐにも嫌だったので、了承したのだ。
「そうだったのか」
「ですので、責任を取って欲しいなんて言いませんから」
そう言えば、殿下と関係を持つようになった。元婚約者とは違って、女性を悦ばせる術を持っていた。私はどんどんのめり込んでいくようになった。
ただ、表立って言えないのは、殿下に婚約者がいるからであった。サリー・ペルガメント侯爵令嬢。見た目も頭脳も家柄も、私とはまるで正反対で、傍から見れば勝てるものなんて一つもない。
「折角の顔も愛されなくては意味がないものですね」
「昨日もこっそり殿下とデートしましたの。帰り際に離れたくないと言われて、困ってしまったんです」
「またおひとりですの?」
だから、いかに殿下が愛してくれているかを聞かせてみると、渋い顔はするものの、強く言い返してくることはなく、学生時代のお遊びだと、容認されているのだろうと思う反面、相手にされていないようで腹も立った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
亡きマリーズ・ヒルダの回となります。
全3話の予定です。
よろしくお願いいたします。
平民よりは上だが、裕福な平民と比べると劣るような男爵家に生まれた。これで、とびきりの美人であったなら何か違ったかもしれないが、平凡で、埋没するような顔立ち、これと言って特徴を言えない、それが私だった。
生まれを憎むこともあったが、今となっては私に見合った生まれだったと思う。親戚のお姉さんが聞かせてくれるソアート帝国の話は華やかで、活気のある話ばかりで、憧れの場所となった。
親に留学したいと言ったが、学園を卒業して、自分で稼いでいくように言われた。学園に通わせるお金はあっても、そこまでのお金はない。
殿下と出会ったのは本当に偶然だった。たまたま、他の席が空いておらず、図書室で隣の席になったのだ。
話す機会のある身分ではなかったのに、横に座って話をすることが、日常になるなんて思わなかった。私はあの頃だけは選ばれた人間だと思い込んでいた。
私は殿下よりも一つ年上で、卒業しても殿下が寂しく思ってくれるのではないかと、卒業したら帝国に行くのだと話してみると、自立した、向上心のある女性なのだなと言われて嬉しくなった。とても私に似合う、そう思った。
それから、会う度に距離は縮まり、どんどん惹かれていった。
「帝国に行くまで、殿下を想うことをお許しください」
「マリーズ」
「私が卒業するまででいいのです」
質のいい高級なプレゼントを貰ったり、こっそり出掛けたり、恋人だと言っても過言ではない関係だった。
「もっと触れてはくれませんか」
「いや、君がいずれ結婚する時に困ることになるよ」
「私、初めてではないのです」
「えっ」
「前に婚約者がいたのです。相性も大事だからと、婚約中に関係を持ってしまって」
殿下と関係を持てたのはこれが大きかった。一年半前に同じ男爵家の婚約者がいたのだ。相性も大事だと言われたこともあるが、私も興味があり、どうせ結婚するのだからと、簡単に関係を持ってしまった。
「だが、今婚約者は…」
「解消されました」
「どうして?」
「他に好きな人でも出来たのではないでしょうか」
これは嘘であった。援助も含めた政略結婚だったが、相手は援助できなくなってしまい、お互いのために解消となっただけである。初めてをあげたのにと思ったが、元婚約者にも公にするより、言わなければ分からないと言われて、お金のない家に嫁ぐにも嫌だったので、了承したのだ。
「そうだったのか」
「ですので、責任を取って欲しいなんて言いませんから」
そう言えば、殿下と関係を持つようになった。元婚約者とは違って、女性を悦ばせる術を持っていた。私はどんどんのめり込んでいくようになった。
ただ、表立って言えないのは、殿下に婚約者がいるからであった。サリー・ペルガメント侯爵令嬢。見た目も頭脳も家柄も、私とはまるで正反対で、傍から見れば勝てるものなんて一つもない。
「折角の顔も愛されなくては意味がないものですね」
「昨日もこっそり殿下とデートしましたの。帰り際に離れたくないと言われて、困ってしまったんです」
「またおひとりですの?」
だから、いかに殿下が愛してくれているかを聞かせてみると、渋い顔はするものの、強く言い返してくることはなく、学生時代のお遊びだと、容認されているのだろうと思う反面、相手にされていないようで腹も立った。
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お読みいただきありがとうございます。
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よろしくお願いいたします。
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