143 / 203
番外編1
エマ・ネイリー9
しおりを挟む
「エマさん、外で男性と会ってる?」
洗濯をしていたエマに、聞いて来たのはソフィアだった。
「えっ、どうして」
エマは何だか悪いことをしているようで、ドキッとし、免疫のないエマは真っ赤になってしまった。ソフィアはその反応に、もう一度忠告して置こうと思った。
「狭い町だし、修道院も皆訳ありだから、詮索はしないけど、仲間意識もあるから、耳にするのよ。勿論、心配してよ」
「…見られていたの?」
疚しいことはないが、一人で買い物に出たはずなのに、誰かに見られているなんて思わなかった。
「何人か見たって聞いて。恋人なの?」
「恋人?そんな、違うわ。たまたま会ったら話をするくらいです」
「そうなの?じゃあ、お節介だったわね、ごめんなさい」
ソフィアは赤くなったのは、片思いか、聞かれて恥ずかしくなったのだろうと、詮索しないと言ったのに、詮索したようで、申し訳ない気持ちになった。
恋をすることは咎めることではない、他の修道女も素敵な騎士とお近づきになりたいではなく、見るだけで嬉しい気持ちになるという人だっている。
だが、エマがどうなのかは分からなかった。表情は元からなのか乏しく、男性に媚びるようにも見えない。
ソフィアがエマのことで、知っているのは現王太子夫妻に横恋慕したのかと思われたが、不正を暴くために殿下の側にいただけで、エマはただの協力者で、何の関係もなかったということ。結局、婚約は続行されて、結婚されている。
だが、妃殿下がこの件を知らされていなかったことで、一時王太子夫妻が不仲が深刻であったこと。その理由がエマのせいだとされていたので、とばっちりではないかと思っていたが、どこまで事実なのかは分からない。
「恋人を作る人もいるそうだから、てっきり」
「恋人を?」
「こっそりってことみたいだけど…でも違うなら、ごめんなさいね」
「いいえ」
「でも変な人だったらすぐ逃げてね」
「分かりました、ありがとうございます」
セイルさんは変な人でもおかしな人でも、勿論悪い人でもない。
一度、送ろうかと声を掛けられて、仕方なく修道院にいることを話したが、嫌な顔一つせずにそうかと言ってくれた。
問題があると思われたくなかったが、私は理由を誰にも話していない。何と話せばいいか分からない。
「もしかして、誰かに傷付けられたのかい?」
「…えっと」
セイルは東の修道院は傷付けられた人も多いと聞いている。男性に傷付けられて、男性恐怖症という人もいるため、ヒースのような者は要注意なのだが、女性に声を掛けるはマナーですからなどと言い出し、困ったものである。
「いや、すまない。踏み込み過ぎてしまったね。言い難いことは言わなくていい」
「いえ、実はそうなんです」
私は傷付けられたのだと悟った。殿下から好意を持たれて、嬉しくなって執着してしまったけど、婚約解消はおろか、何もしてくれはしなかった。
「そうだったのか…それは辛いことだったね。それでここへ?」
「ええ」
「そうか、ならば傷を癒せるといいね」
「はい…」
セイルさんが私を見る目はとても優しい。男性にあんな目で見られるのは初めての経験だった。殿下は褒めてはくれるが、常に緊張感があった。キスをされた時は驚いたが、好意を持たれているのだと心から実感できた。
またして欲しいと思ったが、あの一度きりだった。
サリー様がいるから、諦めるしかないと思っていた。それなのに、サリー様は自棄になって、私に結婚して欲しいなどと言い、私も結婚して欲しいと言われれば、受けてもいいと思っていたが、殿下はサリー様を手放す気はないようで、なぜなのかと思っていたが、殿下に必要だったのはサリー様の能力だったことは後から分かった。
当時の何も知らない私は、それでも王太子妃になれるのではないかと思っていた。
洗濯をしていたエマに、聞いて来たのはソフィアだった。
「えっ、どうして」
エマは何だか悪いことをしているようで、ドキッとし、免疫のないエマは真っ赤になってしまった。ソフィアはその反応に、もう一度忠告して置こうと思った。
「狭い町だし、修道院も皆訳ありだから、詮索はしないけど、仲間意識もあるから、耳にするのよ。勿論、心配してよ」
「…見られていたの?」
疚しいことはないが、一人で買い物に出たはずなのに、誰かに見られているなんて思わなかった。
「何人か見たって聞いて。恋人なの?」
「恋人?そんな、違うわ。たまたま会ったら話をするくらいです」
「そうなの?じゃあ、お節介だったわね、ごめんなさい」
ソフィアは赤くなったのは、片思いか、聞かれて恥ずかしくなったのだろうと、詮索しないと言ったのに、詮索したようで、申し訳ない気持ちになった。
恋をすることは咎めることではない、他の修道女も素敵な騎士とお近づきになりたいではなく、見るだけで嬉しい気持ちになるという人だっている。
だが、エマがどうなのかは分からなかった。表情は元からなのか乏しく、男性に媚びるようにも見えない。
ソフィアがエマのことで、知っているのは現王太子夫妻に横恋慕したのかと思われたが、不正を暴くために殿下の側にいただけで、エマはただの協力者で、何の関係もなかったということ。結局、婚約は続行されて、結婚されている。
だが、妃殿下がこの件を知らされていなかったことで、一時王太子夫妻が不仲が深刻であったこと。その理由がエマのせいだとされていたので、とばっちりではないかと思っていたが、どこまで事実なのかは分からない。
「恋人を作る人もいるそうだから、てっきり」
「恋人を?」
「こっそりってことみたいだけど…でも違うなら、ごめんなさいね」
「いいえ」
「でも変な人だったらすぐ逃げてね」
「分かりました、ありがとうございます」
セイルさんは変な人でもおかしな人でも、勿論悪い人でもない。
一度、送ろうかと声を掛けられて、仕方なく修道院にいることを話したが、嫌な顔一つせずにそうかと言ってくれた。
問題があると思われたくなかったが、私は理由を誰にも話していない。何と話せばいいか分からない。
「もしかして、誰かに傷付けられたのかい?」
「…えっと」
セイルは東の修道院は傷付けられた人も多いと聞いている。男性に傷付けられて、男性恐怖症という人もいるため、ヒースのような者は要注意なのだが、女性に声を掛けるはマナーですからなどと言い出し、困ったものである。
「いや、すまない。踏み込み過ぎてしまったね。言い難いことは言わなくていい」
「いえ、実はそうなんです」
私は傷付けられたのだと悟った。殿下から好意を持たれて、嬉しくなって執着してしまったけど、婚約解消はおろか、何もしてくれはしなかった。
「そうだったのか…それは辛いことだったね。それでここへ?」
「ええ」
「そうか、ならば傷を癒せるといいね」
「はい…」
セイルさんが私を見る目はとても優しい。男性にあんな目で見られるのは初めての経験だった。殿下は褒めてはくれるが、常に緊張感があった。キスをされた時は驚いたが、好意を持たれているのだと心から実感できた。
またして欲しいと思ったが、あの一度きりだった。
サリー様がいるから、諦めるしかないと思っていた。それなのに、サリー様は自棄になって、私に結婚して欲しいなどと言い、私も結婚して欲しいと言われれば、受けてもいいと思っていたが、殿下はサリー様を手放す気はないようで、なぜなのかと思っていたが、殿下に必要だったのはサリー様の能力だったことは後から分かった。
当時の何も知らない私は、それでも王太子妃になれるのではないかと思っていた。
538
あなたにおすすめの小説
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
公爵令嬢は結婚式当日に死んだ
白雲八鈴
恋愛
今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。
「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」
突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。
婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。
そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。
その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……
生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。
婚約者とその番という女性に
『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』
そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。
*タグ注意
*不快であれば閉じてください。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
はっきり言ってカケラも興味はございません
みおな
恋愛
私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。
病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。
まぁ、好きになさればよろしいわ。
私には関係ないことですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる