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親子2
「コソコソ言われて、恥ずかしい思いをすればいいわ!で、妊娠して?子どもを抱えて?ずっと、彷徨っていたって言うの?子どもの世話だけしていたの?」
「助けてくれた方は、いましたが……」
「カルマズ王国の者だったな、他にはいないのか?」
出産のことはバインダとクーカも聞いていたが、せめて病院や教会などだったらと思ったが、今さら言っても仕方ないと、呆れるしかなかった。
「その場限りの方はいましたけど、名前は分かりませんから……」
「顔は?覚えている人はいないのか?」
「顔は……」
「そんなことも覚えていないのか?何も言って来ないということは見付かっていないだろうな。何も言われていないのだろう?」
「はい、まだ……」
カルマズ王国にどこまで要請をしているのかは分からないが、平民となると、なかなか見付からないだろう。
せめて、その者が見付かれば、出産した時のこと、日付なども分かるだろう。そうなれば、認められるかは分からないが、前進はするだろう。
「子どももお前のせいで、マリアール侯爵家の子どもだと認められないのだろう?折角、聖女の血筋だというのに。お前が不幸にするのだぞ?」
「そうよ!もしも二人目が生まれても、あの子だけが庶子のような扱いになって、卑屈にならない方がおかしいわ!すぐに戻ればこんなことにならなかったのに」
「そんなことは分かって、います!」
「どうして戻らなかったの?一人で育てられるはずがないでしょう?」
妊娠が分かって、すぐに戻っていれば、お咎めなしとはいかなかったが、シールドの子どもだとは認められただろう。
少なくとも、今の状態より良かったことは確かだろう。
「それは、逃げて怒っていると思ったから」
「当然じゃない!王命だったのよ!」
「だからです、だから戻れなかったのです」
「だったら、今になってどうして戻って来たの?」
「あの子が聖女の血筋だから、黙っているのは良くないと思って……」
「はあ、せめてシールド様に似ていたら認められたかもしれないのに!」
ホーリーが認められないとは聞いていたが、どこか似ているところがあると思い、指摘しようと思ったが、唯一の髪色も特別な色ではない。
リリカに言っても仕方ないが、言わずにはいられなかった。
「それは……」
「ああ、もう!だったら、再婚ができるようにしなさい。あなたがコロゾの籍に入っていることも不愉快だわ」
「分かっています」
「それで、娘はどうやったら認めてもらえるか考えているの?」
「考えてはいますが、どうすればいいのかは分かりません」
「分からないって、母親だったらちゃんと考えなさいよ」
血液型は問題なかったと聞いているが、それ以上に認められる何かが必要なことは分かっている。
「私だって、認めてもらえると思って」
「はあ?どこにいたか分からない女など、どうして認めてもらえると思ったんだ?」
「で、でもっ……」
何も変わらないままのうじうじした様子のリリカを見ていると、さらにバインダは再びイライラし始めた。
「気味が悪いのに、シールド様も良く受け入れてくれたものだ」
「子どもがいたからでしょう?」
「それはそうだよな、そうでなければ、受け入れるはずもないか。まあ、こちらに戻されても困ったから、良かったが、どうにかする努力はしているんだよな?」
「はい……」
子どものことは追い詰めたと言われたために、バインダもクーカも人前でリリカに、直接的なことは口にしてはならないと分かっていた。
「お話はできたかしら?」
そこへフエアラが戻って来て、三人は慌てて立ち上がった。
「はい、ありがとうございました」
「そう、今後はこのようなことは困りますからね」
「はい、申し訳ございませんでした」
バインダとクーカは、お礼を言って慌てて帰って行った。
「助けてくれた方は、いましたが……」
「カルマズ王国の者だったな、他にはいないのか?」
出産のことはバインダとクーカも聞いていたが、せめて病院や教会などだったらと思ったが、今さら言っても仕方ないと、呆れるしかなかった。
「その場限りの方はいましたけど、名前は分かりませんから……」
「顔は?覚えている人はいないのか?」
「顔は……」
「そんなことも覚えていないのか?何も言って来ないということは見付かっていないだろうな。何も言われていないのだろう?」
「はい、まだ……」
カルマズ王国にどこまで要請をしているのかは分からないが、平民となると、なかなか見付からないだろう。
せめて、その者が見付かれば、出産した時のこと、日付なども分かるだろう。そうなれば、認められるかは分からないが、前進はするだろう。
「子どももお前のせいで、マリアール侯爵家の子どもだと認められないのだろう?折角、聖女の血筋だというのに。お前が不幸にするのだぞ?」
「そうよ!もしも二人目が生まれても、あの子だけが庶子のような扱いになって、卑屈にならない方がおかしいわ!すぐに戻ればこんなことにならなかったのに」
「そんなことは分かって、います!」
「どうして戻らなかったの?一人で育てられるはずがないでしょう?」
妊娠が分かって、すぐに戻っていれば、お咎めなしとはいかなかったが、シールドの子どもだとは認められただろう。
少なくとも、今の状態より良かったことは確かだろう。
「それは、逃げて怒っていると思ったから」
「当然じゃない!王命だったのよ!」
「だからです、だから戻れなかったのです」
「だったら、今になってどうして戻って来たの?」
「あの子が聖女の血筋だから、黙っているのは良くないと思って……」
「はあ、せめてシールド様に似ていたら認められたかもしれないのに!」
ホーリーが認められないとは聞いていたが、どこか似ているところがあると思い、指摘しようと思ったが、唯一の髪色も特別な色ではない。
リリカに言っても仕方ないが、言わずにはいられなかった。
「それは……」
「ああ、もう!だったら、再婚ができるようにしなさい。あなたがコロゾの籍に入っていることも不愉快だわ」
「分かっています」
「それで、娘はどうやったら認めてもらえるか考えているの?」
「考えてはいますが、どうすればいいのかは分かりません」
「分からないって、母親だったらちゃんと考えなさいよ」
血液型は問題なかったと聞いているが、それ以上に認められる何かが必要なことは分かっている。
「私だって、認めてもらえると思って」
「はあ?どこにいたか分からない女など、どうして認めてもらえると思ったんだ?」
「で、でもっ……」
何も変わらないままのうじうじした様子のリリカを見ていると、さらにバインダは再びイライラし始めた。
「気味が悪いのに、シールド様も良く受け入れてくれたものだ」
「子どもがいたからでしょう?」
「それはそうだよな、そうでなければ、受け入れるはずもないか。まあ、こちらに戻されても困ったから、良かったが、どうにかする努力はしているんだよな?」
「はい……」
子どものことは追い詰めたと言われたために、バインダもクーカも人前でリリカに、直接的なことは口にしてはならないと分かっていた。
「お話はできたかしら?」
そこへフエアラが戻って来て、三人は慌てて立ち上がった。
「はい、ありがとうございました」
「そう、今後はこのようなことは困りますからね」
「はい、申し訳ございませんでした」
バインダとクーカは、お礼を言って慌てて帰って行った。
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