【完結】聖女の在り方

野村にれ

文字の大きさ
75 / 95

発表1

 リチア公爵がドゥエンス公爵からサインをもらっている頃、セイント王国では発表が行われていた。

 罰はまだ発表ができないために、まずは文書で王家から発表を行うことにした。

 正直、まだ国王夫妻も、宰相も、調査員も時間がいくらあっても足りないために、エバンジーが見付かるまでにまとめられていた記録を、発表することになっていた。

 内容はリリカがマリアール侯爵家から逃げる前より不貞行為を行い、娘・ホーリーをシールド・マリアールの子どもだと托卵を企てたこと。

 父親についても判明しており、追ってまた名前を公表すること。

 シールドとリリカは既に離縁を受理したこと。ホーリーは何も知らず、罪はないが、マリアール侯爵家の養子は白紙とすること。

 そして、リリカ・コロゾは既に拘束していること。

 罰はすべてが分かってから、また発表を行うと締め括られた。

 ホーリーには可哀想だが、事実は公表しなくてはならない。学園には通っていないことから、すぐに好奇な目で見られることはないが、険しい人生が始まった。

 マリアール侯爵家も、発表されたことで、様々な憶測を産むことになる。

 発表が行われると、国中に動揺が広がった。

 やっぱりという者もいれば、信じられないという者もおり、リリカのことで再び、騒ぎとなった。

 だが、王家としてはようやく動きやすくなり、コロゾ子爵家も、どうして代理が来ているのか理解し、姉と兄も知ることになるだろう。

「ようやくだな」
「ええ」

 まだまだ山積みだが、ギルクとクリーナは隠さなくて良くなるだけでも、気が楽になった。

「リチア公爵は上手くいっただろうか」
「大丈夫よ」

 ドゥエンス公爵の返事を聞いて、発表した時間になってしまうと、あちらから何を言われるか分からないために、返事に関係なくという形にした方がいいだろうと、強気に発表を行った。

「これが最善だと信じよう」
「そうね」

 リチア公爵の帰りを待っていると、ジールと名乗っていたエバンジー・ジッソワードについて、報告書が上がって来た。

「可愛がっていた子がいたと、幸せに暮らしてくれているといい」
「私はどこで間違ってしまったのだろう」
「酔っぱらった際に、話していたそうで、それでも詳しいことは話さなかったそうです。それで周りも詮索することはしなくなったそうで」
「体を壊したのも罰だと……」
「罰……」

 ギルクとクリーナには、天罰の文字が浮かんでいたが、口には出せなかった。

「はい、お金がなかったこともありますが、治療は拒否していたそうです」
「そうか……」
「遺体は埋葬されたのね」
「はい、知り合い方がそうしたいと申し出たそうです。偽名を使っておりますから、エバンジー・ジッソワードの名前が出ても、一致することはないでしょう」
「そうね、それでいいのかもしれないわね」

 エバンジーが生きて戻ったとしたら、処刑になっていただろうが、表向きには罰を受けたとは言えないが、数日掛かるデリイ王国からわざわざ遺体を運ぼうとは思えなかった。

 墓があるのならホーリーがもしも、行きたいというのなら行けばいい。

「十年以上前からデリイ王国にいたのだな」
「はい、詳しい年までは覚えていないそうですが、住んでいた家も十二年は住んでいたようです。その間も何度も体を壊しており、ここ二年で悪化したそうです」
「そうか、では既に体調が悪かったのだな」
「そのようです」

 リリカからも話は聞けており、不貞行為は明らかである。

 新しい情報が得られても、不貞行為に、ホーリーの父親であることだけで十分だろうと、これ以上を調べることは必要ないだろうと判断することにした。

 リチア公爵が戻り次第、リリカをマリアール侯爵家、ホーリー、コロゾ伯爵家に会わせて、その後で罰を与えることに決まった。

あなたにおすすめの小説

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

勘違いって恐ろしい

りりん
恋愛
都合のいい勘違いって怖いですねー

「次点の聖女」

手嶋ゆき
恋愛
 何でもかんでも中途半端。万年二番手。どんなに努力しても一位には決してなれない存在。  私は「次点の聖女」と呼ばれていた。  約一万文字強で完結します。  小説家になろう様にも掲載しています。

心の中にあなたはいない

ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。 一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。

貴方もヒロインのところに行くのね? [完]

風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは アカデミーに入学すると生活が一変し てしまった 友人となったサブリナはマデリーンと 仲良くなった男性を次々と奪っていき そしてマデリーンに愛を告白した バーレンまでもがサブリナと一緒に居た マデリーンは過去に決別して 隣国へと旅立ち新しい生活を送る。 そして帰国したマデリーンは 目を引く美しい蝶になっていた