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聖女の血筋1
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イリア・マリアールは、唯一の聖女の血筋であるマリアール侯爵家の後継者、そして公にはなっていないが聖女として、扱われることになった。
ただ、教会は公表はしないとしても、レプラ神官長はイリアに何があるわけではないが、教会に訪問をしていただきたいと考え、相談を持ち掛けた。
「確かにそうだな」
聖女だからと教会で暮らすようなことはないが、神官長として、定期的に訪問はしてもらいたいという気持ちは理解できる。
「そうなると、マリアール侯爵家の許可がいるだろう」
「そうなんです、ですので勝手はできないと思いまして」
「リリカを自分のせいでというところもありますからね」
神託が下りたことに、イリアの意思は関係なくとも、そのせいでリリカは処刑されることまでになった。
「まだ10歳ですから、家族には知られたくないかもしれませんね……」
「はい、しっかりされていると聞いてはおりますが、受け止め切れないところもあるかもしれません」
「私が何か困ったことはないかと呼んで、話を聞きましょうか。本当は王女が呼ぶ方がいいのでしょうけど、交えるわけにもいきませんし」
国王夫妻は王子も王女もいるために、本来なら年の近い王女の方がいいだろうが、王女は神託のことは知らない。
「そうだな、母親を失ったフォローとして、話を聞くことにするか」
「聖女ということは訊ねることはせずに、セイラ夫人にもそのように伝えて、送り出してもらうようにしましょう」
そして、セイラにイリアに背負い過ぎないように話をしておきたいと、お茶に呼び出すことになった。
「あまり緊張しないでね」
「はい、お心遣いありがとうございます」
イリアはセイラから、あなたの心が心配だから、これからについて話をしたいと言われて、王宮に来ていた。
「困ったことがあったら、遠慮なく相談して欲しいということを伝えておこうと思ってお呼びしたの」
リリカのこともあるために、本当に伝えておきたいことではあった。
「はい、ありがとうございます」
「リリカのことは私にも責任がありますから、不満を言ってくれてもいいから」
「いえ、母は間違ったことをしたのは事実です」
イリアはリリカのことをしっかりと受け止めているとは聞いてはいたが、ホーリーのこともあって、大人にならざる得ないのかもしれないとも感じた。
「聖女の血筋というのは、重い立場だと思うから、なかなか話せる相手もいないでしょうから、何でも話して欲しいの」
「はい、あっ」
「何かある?」
何か言い出しそうなイリアに、クリーナは優しく問い掛けた。
「恐れながら」
「何でも言って」
「本当に聖女の血筋は、お祖父様とお父様と私しかいないのでしょうか?」
「え?」
「いえ、昔はマリアール侯爵家以外にもいたと学びました。ですので、実は生まれていて、血筋の続いている方もいるのではないかと思っていたのです」
「確かにそれはそうね、でも確実ではないというのが答えになってしまうの」
それは何度も出てきた話ではあった。
女性は難しくとも、男性の場合は関係を持った相手がいて、こっそり生んでいたら……実際にそういったことも昔はあったことも確認されている。だが、そちらも断絶している。
把握していないこともあるだろう。だが、その曖昧な部分に頼れないというのが答えになる。
「それはそうですね」
「どうしてそう考えたの?」
「重い立場だというのは理解しています。だからこそ、これは良いことではないかもしれませんが、そうだったら気が楽になるなと思ったのです」
イリアも考えられなかったことではないとは思っていたが、そう考えることで、気が楽になるという処世術にしようと思っていた。
「それはそうね、気持ちはとても分かるわ」
ただ、教会は公表はしないとしても、レプラ神官長はイリアに何があるわけではないが、教会に訪問をしていただきたいと考え、相談を持ち掛けた。
「確かにそうだな」
聖女だからと教会で暮らすようなことはないが、神官長として、定期的に訪問はしてもらいたいという気持ちは理解できる。
「そうなると、マリアール侯爵家の許可がいるだろう」
「そうなんです、ですので勝手はできないと思いまして」
「リリカを自分のせいでというところもありますからね」
神託が下りたことに、イリアの意思は関係なくとも、そのせいでリリカは処刑されることまでになった。
「まだ10歳ですから、家族には知られたくないかもしれませんね……」
「はい、しっかりされていると聞いてはおりますが、受け止め切れないところもあるかもしれません」
「私が何か困ったことはないかと呼んで、話を聞きましょうか。本当は王女が呼ぶ方がいいのでしょうけど、交えるわけにもいきませんし」
国王夫妻は王子も王女もいるために、本来なら年の近い王女の方がいいだろうが、王女は神託のことは知らない。
「そうだな、母親を失ったフォローとして、話を聞くことにするか」
「聖女ということは訊ねることはせずに、セイラ夫人にもそのように伝えて、送り出してもらうようにしましょう」
そして、セイラにイリアに背負い過ぎないように話をしておきたいと、お茶に呼び出すことになった。
「あまり緊張しないでね」
「はい、お心遣いありがとうございます」
イリアはセイラから、あなたの心が心配だから、これからについて話をしたいと言われて、王宮に来ていた。
「困ったことがあったら、遠慮なく相談して欲しいということを伝えておこうと思ってお呼びしたの」
リリカのこともあるために、本当に伝えておきたいことではあった。
「はい、ありがとうございます」
「リリカのことは私にも責任がありますから、不満を言ってくれてもいいから」
「いえ、母は間違ったことをしたのは事実です」
イリアはリリカのことをしっかりと受け止めているとは聞いてはいたが、ホーリーのこともあって、大人にならざる得ないのかもしれないとも感じた。
「聖女の血筋というのは、重い立場だと思うから、なかなか話せる相手もいないでしょうから、何でも話して欲しいの」
「はい、あっ」
「何かある?」
何か言い出しそうなイリアに、クリーナは優しく問い掛けた。
「恐れながら」
「何でも言って」
「本当に聖女の血筋は、お祖父様とお父様と私しかいないのでしょうか?」
「え?」
「いえ、昔はマリアール侯爵家以外にもいたと学びました。ですので、実は生まれていて、血筋の続いている方もいるのではないかと思っていたのです」
「確かにそれはそうね、でも確実ではないというのが答えになってしまうの」
それは何度も出てきた話ではあった。
女性は難しくとも、男性の場合は関係を持った相手がいて、こっそり生んでいたら……実際にそういったことも昔はあったことも確認されている。だが、そちらも断絶している。
把握していないこともあるだろう。だが、その曖昧な部分に頼れないというのが答えになる。
「それはそうですね」
「どうしてそう考えたの?」
「重い立場だというのは理解しています。だからこそ、これは良いことではないかもしれませんが、そうだったら気が楽になるなと思ったのです」
イリアも考えられなかったことではないとは思っていたが、そう考えることで、気が楽になるという処世術にしようと思っていた。
「それはそうね、気持ちはとても分かるわ」
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