【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】余波(友人5)

「私も間違え、悪かったこともある、だから私も反省して後悔しながら、残りの人生を生きていくつもりだよ。父親として、抱えていくのが務めだからね」
「おじ様……」

 三人はルーベンスは、アイルーンを妃にしなければ良かったと思っているのだろうと、ずっと考えていた。しかも、テイラーも守れなかったことを悔いているのだろうと思い、胸を痛めた。

「皆の辛さも悲しみも持って行けるといいのだが、そうはいかないからね」
「いえ、私たちも友人として、抱えさせてください。もう、そのくらいしかできないのですから」

 レイエンヌとミラニューも、ナビナの言葉に頷いている。

「ありがとう」
「いえ、友情は永遠ですから。それで……マークが何を聞きたいのか分かりませんが、私も今なら言いたいこともありますので、会おうかと思うのですが、今日お伺いしたことは話してもいいのか確認しておきたいと思いまして」
「アイルーンを想う君たちなら、話してもいいと思えば、話してもらって構わないよ。テイラーも理解してくれるだろう」

 三人ならば、テイラーのことも蔑ろにして話すようなことははしないだろう。

「ありがとうございます。マークの態度によっては、何も与えません」
「そうね、それがいいわ。テイラー様のことも、きちんと考えられているかも確認しなくてはいけないわ」
「そうよ、何年も話していないから、どうなっているか分からないもの」

 マークを長い間、避けて、あちらも近付いてこれなかったために、本人がどう思っていたか、どんな風に生きて来たのか、アイルーンをどう思っていたのかも聞いても仕方ないと聞いてこなかったからである。

 三人はテイラーと会うこともないままだったが、ルーベンスに話を聞いたことで、さらに近しい存在になった気になり、見極めなければならないと意気込んだ。

 四人はそれからもアイルーンのこと、テイラーのことを話して、ルーベンスはとても良い時間を過ごせたと感じた。

 邸に戻ったナビナは、マークに会うことを夫に告げた。

 そして、数日後。マーク・ファドット伯爵が、ナビナの邸にやって来た。レイエンヌとミラニューと袋叩きにすることもできたが、同席したのは夫だけであった。

「会っていただき、ありがとうございます」

 マークはナビナに深く頭を下げた。

 元より、ナビナの方が爵位が高いために、マークの立場は変わらないが、友人の婚約者で親しい関係から、関係性は大きく変わった。

「ええ、どうしようか悩んだわ。でも、私もあなたも年を取り、あなたに言いたいこともありましたからね」
「はい……申し訳ございませんでした」
「私に謝ることはないわ、そうでしょう?私たちが勝手に怒っていただけだから」

 ナビナはマークに謝ってもらいたいわけではない。アイルーンのことで怒っているだけで、ナビナに謝る理由もないと分かっていた。

「当然だと思っています。私はアイルーン様を傷付けました」
「そうね、結婚式の八日前。私も大事な友人のためにドレスも用意していたわ」
「申し訳ありません……」
「これは謝ってもらうところね、あったわね」

 ナビナは謝ってもらうことはないと思っていたが、思い出したのである。

「はい……ご迷惑をお掛けいたしました」
「あれは一生消えないわ。それで、会いたいと言ったのはマークの方だわ。何を話したいの?」

 マークは一度、ナビナを見たが、目を伏せ、もう一度、ナビナを見つめた。

「竜帝国が発表したことは、何か聞いていたのでしょうか?」
「アイルーンとテイラー様のことね」
「はい」
「まず、あなたはアイルーンが亡くなって、どう思っていたの?」

 発表よりも、これまで全く話をしていないマークには、聞かなくてはいけないことは沢山あった。

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