【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】余波(マーク3)

 レーズに別居をしたいと申し出たが、いつものように絶対に嫌、これからは変わるからと言い、だがこれまで変わったことはなく、どんどん酷くなるばかりだった。

 両親や義両親には、ずっと相談をしていた。

 義両親は何度もレーズに、いくら番でもお互いに思いやることができなければ、夫婦は成り立たないと話をしてくれたが、レーズは番だから関係ない、番でなければ分からないと、聞く耳を持たなかった。

 レーズはマークと番だと分かったことで、自分は特別な存在だと錯覚したのだと思っている。

 子どもでもいれば多少、緩和したかもしれないが、子どもはできなかった。だが、子どもができないことを残念に思ったことはない。

 だが、体調は悪くなるばかりで、医師たちもこのままでは体調も精神もおかしくなりますと、説得してくれて、離縁か別居かと言ってようやく別居になった。

 義両親も健康を害してまで、一緒にいるべきではないと、監視をしてくれている。

 今は心穏やかに過ごせており、邸の中もレーズがいないだけで、負担もかなり減ったと思う。

 メイドも全員、敵意の対象であったからである。

「あなたも大変だったのね……」
「いえ、自分で選んだことですから」
「私は分からないけど、番というのはどういう感覚なの?大事にしたい、守りたい、優先したい、そんな気持ちがあるの?」

 ナビナは番については分からない。

 だからこそ、複雑な思いを抱いているアイルーンにも聞かなかった。番として夫婦として生きて来たマークに聞いてみたかった。

「人によるというよりは、性格によると私は思っています。妻のように独占欲を持つ者もいるでしょうし、私のようにそうではない者もいるということです」
「性格?」
「竜帝国であれば、血も濃いのでそういったこともあるのでしょうけど」
「それは、きっとそうね」
「妻の場合は、番を言い訳にしていたように思います」
「そう……」

 番だから許される、番なのだから当たり前をマークは押し付けられていたのかもしれない。

 アイルーンの隣にいた頃に比べて、年齢のせいと、具合が悪かったと言っていたこともあるが、頬はこけ、随分痩せたように思う。

「お墓の場所は知っているの?」
「存じてはいます」

 母親の横に埋葬されたということは、両親から聞いていた。

 婚約していた頃に、何度もアイルーンと一緒に通った、あのお墓の横に、彼女が眠っているのかと思うと、今でも胸が苦しくなる。

「行ったことはないのね」
「行く資格がありませんから」
「奥様にバレたら大変だものね」
「いえ、それは関係ありません。デリア侯爵、いえ、デリア前侯爵様に許可を得なければならないと考えています」
「そうね、筋は通した方が良いわね」

 ナビナがもし、お墓でマークに出くわしていたら、どの面下げて来たのかと、怒鳴り付けていただろう。

 だが、こうやって話して絆されたわけではないが、おじ様が許可するのであれば、行けばいいと思っている。アイルーンは喜ぶかは分からないが、苦労したように見えるマークを、見せ付けるのも一興ではないだろうか。

「はい、そのつもりです」
「テイラー様も、アイルーンの横に眠ってらっしゃるわ」
「っ、そうだったのですか、隣に」
「ええ……」

 そう言いながら、ナビナの目には一気に涙が溜まって、零れ落ちそうになっており、マークは驚いたが、次の言葉で理解をした。

「愛する子どもの隣に……」

 そう言った途端に涙は零れ落ち、夫がハンカチを差し出し、背中を擦った。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします。

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