298 / 344
【テイラー】イオリク・オイワード7
「何だか、邸も静かね」
セラーも今まで住んでいたオイワード公爵邸より、薄暗さを感じ、ディオエルへの痛む気持ちなのかなと思っていた。
「ああ、今はあまり使用人がいないんだ」
父親の威厳として、お茶を用意してもらったが、欲しいならご自分で購入くださいと言われてしまい、お菓子の一つもない。
「そうなの?お父様、大丈夫なの?」
「ああ、お父様は大丈夫だよ。いずれ公爵になることになったんだ」
「えっ、伯父様は?」
「継がないことになったんだ。お父様も側近ではなくなってしまったからね」
「そうね……」
セラーもディオエルが亡くなったことを聞き、ショックではあったが、それよりもイオリクは大丈夫なのかと心配していた。
だが、時間も経ったおかげなのかもしれないが、落ち着いているよう見えた。
「いずれセラーには結婚して、公爵家を継いでもらいたい。だから、セラーの思う相手を見付けて欲しいとも思っているんだ」
「婿を取るの?」
「嫌だったらいい」
「嫌ではないけど、それは他国でもいいということ?」
「ああ、セラーが選んだ人なら、お父様もお母様も歓迎するさ」
竜帝国に誇りは今も持っているが、ディオエルがいなくなり、アンデュースが皇帝陛下になった今、この国の者ではなくてもいいと思うようになっている。
「オイワード公爵家はそうやって、これまで番などには関わらずに続いて来たんだからな」
「うん、番なんて言っている子は馬鹿に見えるって分からないのかなって思うもの」
「そうだよ、夢見がちで何も見えていないんだよ」
イオリクもだが、セラーは友人から距離を取られたように、言葉の節々に番に憧れる令嬢を馬鹿にするような意味を含んでいた。
昔よりも番至上主義ではないが、それでも番同士の夫婦は仲が良いことも多いために、令嬢や令息たちが憧れるのは変わらない。
それをセラーは見下して生きて来た。
ある意味、オイワード公爵家で育てられたために、仕方ないとも言える。
「そうね、お父様とお母様はどうするの?二人は再婚するの?」
「ああ、どちらにもしても私が公爵になってからかな」
慈善活動が終わってからと思っていたが、今は公爵になってからと言えるようになり、どこか自信も付いていた。
「そうなのね」
「セラーは寂しいこともあるかもしれないが、お父様は頑張って来て欲しいと思っている」
「分かったわ、お手紙書くわね」
「ああ、楽しみに待っているよ」
セラーも嫁ぐとばかり思っていたが、継いでもらいたいという言葉は、特別な気がして頑張ろうという気になっていた。そして、セラーはサース王国へ旅立った。
イオリクは慈善活動と、公爵家を継ぐための勉強も始まった。
ハイスは直接、教えることはしたくなかったので、資料を渡して、分からないところを聞くという形にした。
勉強は得意であるために、覚える部分は順調であった。
だが、オイワード公爵領はイオリクのせいで、人が他領に流出しており、ハイスはそのようなことは教えず、自分で確かめるべきだと思っている。
ハイスとキューラは日がある時は外に出られないために、日が落ちてから、周りに見えないようになってから行動をするようになっていた。
生活に必要な物を取りに伺ったり、散歩をしたり、隠れて生活をしていた。
人目が怖いではなく、イオリクの親として不愉快な顔をされることは当然であり、謝罪をしながら歩くわけにもいかず、周りに不愉快な思いをさせないためである。
使用人が少ないために、掃除をしたり、洗濯をしたり、食事を作ったりも、ハイスもキューラも今までしたこともなかったが、今ではあまりに軽いがこれも罰だと思いながら、率先してこなしていた。
そして、月日は経ち、イオリクの慈善活動180回を終えることになった。
セラーも今まで住んでいたオイワード公爵邸より、薄暗さを感じ、ディオエルへの痛む気持ちなのかなと思っていた。
「ああ、今はあまり使用人がいないんだ」
父親の威厳として、お茶を用意してもらったが、欲しいならご自分で購入くださいと言われてしまい、お菓子の一つもない。
「そうなの?お父様、大丈夫なの?」
「ああ、お父様は大丈夫だよ。いずれ公爵になることになったんだ」
「えっ、伯父様は?」
「継がないことになったんだ。お父様も側近ではなくなってしまったからね」
「そうね……」
セラーもディオエルが亡くなったことを聞き、ショックではあったが、それよりもイオリクは大丈夫なのかと心配していた。
だが、時間も経ったおかげなのかもしれないが、落ち着いているよう見えた。
「いずれセラーには結婚して、公爵家を継いでもらいたい。だから、セラーの思う相手を見付けて欲しいとも思っているんだ」
「婿を取るの?」
「嫌だったらいい」
「嫌ではないけど、それは他国でもいいということ?」
「ああ、セラーが選んだ人なら、お父様もお母様も歓迎するさ」
竜帝国に誇りは今も持っているが、ディオエルがいなくなり、アンデュースが皇帝陛下になった今、この国の者ではなくてもいいと思うようになっている。
「オイワード公爵家はそうやって、これまで番などには関わらずに続いて来たんだからな」
「うん、番なんて言っている子は馬鹿に見えるって分からないのかなって思うもの」
「そうだよ、夢見がちで何も見えていないんだよ」
イオリクもだが、セラーは友人から距離を取られたように、言葉の節々に番に憧れる令嬢を馬鹿にするような意味を含んでいた。
昔よりも番至上主義ではないが、それでも番同士の夫婦は仲が良いことも多いために、令嬢や令息たちが憧れるのは変わらない。
それをセラーは見下して生きて来た。
ある意味、オイワード公爵家で育てられたために、仕方ないとも言える。
「そうね、お父様とお母様はどうするの?二人は再婚するの?」
「ああ、どちらにもしても私が公爵になってからかな」
慈善活動が終わってからと思っていたが、今は公爵になってからと言えるようになり、どこか自信も付いていた。
「そうなのね」
「セラーは寂しいこともあるかもしれないが、お父様は頑張って来て欲しいと思っている」
「分かったわ、お手紙書くわね」
「ああ、楽しみに待っているよ」
セラーも嫁ぐとばかり思っていたが、継いでもらいたいという言葉は、特別な気がして頑張ろうという気になっていた。そして、セラーはサース王国へ旅立った。
イオリクは慈善活動と、公爵家を継ぐための勉強も始まった。
ハイスは直接、教えることはしたくなかったので、資料を渡して、分からないところを聞くという形にした。
勉強は得意であるために、覚える部分は順調であった。
だが、オイワード公爵領はイオリクのせいで、人が他領に流出しており、ハイスはそのようなことは教えず、自分で確かめるべきだと思っている。
ハイスとキューラは日がある時は外に出られないために、日が落ちてから、周りに見えないようになってから行動をするようになっていた。
生活に必要な物を取りに伺ったり、散歩をしたり、隠れて生活をしていた。
人目が怖いではなく、イオリクの親として不愉快な顔をされることは当然であり、謝罪をしながら歩くわけにもいかず、周りに不愉快な思いをさせないためである。
使用人が少ないために、掃除をしたり、洗濯をしたり、食事を作ったりも、ハイスもキューラも今までしたこともなかったが、今ではあまりに軽いがこれも罰だと思いながら、率先してこなしていた。
そして、月日は経ち、イオリクの慈善活動180回を終えることになった。
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
大人しい令嬢は怒りません。ただ二年間、準備していただけです。――婚約解消の申請が受理されましたので、失礼いたします
柴田はつみ
恋愛
婚約者に、誕生日を忘れられた。
正確には、忘れられたわけではない。
エドワード・ヴァルト公爵はちゃんと覚えていた。
記念のディナーも、予約していた。
薔薇だって、一輪、用意していた。
ただ――幼馴染のクロエ・アンセル伯爵令嬢から使いが来た瞬間、全部置いて行ってしまっただけだ。
「すぐ戻る」
彼が戻ったのは、三時間後だった。
蝋燭は溶け切り、料理は冷え、ワインは乾いていた。
それでもリーゼロッテ・フォン・アルテンベルクは、笑顔で座って待っていた。
「ええ、大丈夫でございます。お気遣いなく」
完璧な微笑みで、完璧にそう言った。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです
唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。
すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。
「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて――
一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。
今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――