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【テイラー】爵位継承
「慈善活動を終えました」
「そうか、爵位継承の手続きを行う」
「はい、よろしくお願いいたします」
爵位の継承する手続きに入ることになり、イオリクはめでたいことだと感じているが、ハイスは粛々と進めた。
提出は日がある時に行わなくてはならないために、執事に提出を頼み、アンデュースが行うことになるために、早々に許可が下りるだろうと考えていた。
ハイスが提出を行うと、三日後には皇帝宮からの使者が許可を届けてくれた。
皇帝陛下から何か一言あったりする場合もあるが、特例のイオリクということで、許可が下りたということだけであった。
ハイスとキューラ、そしてイオリクは静かに受け入れた。
「今日からイオリクがオイワード公爵だ。しっかり励みなさい」
「はい!ありがとうございます、しっかり励みたいと思います」
イオリクは邸で祝いなどもあるのではないかと思ったが、いつもと変わらなかった。キューラに至っては、イオリクに何も声を掛けることもなかった。
だが、いつもと変わらず裏の森に散歩に出たハイスとキューラが、いくら経っても戻って来なかった。
爵位も継承したから、どこかで二人で話しているのかと考えていたが、執事はまさかと思い、散歩コースに向かうと、木の根元でハイスがキューラを抱きしめるような形で、口から血を流していた。
叫びそうな声を、強く口元を押さえて、防ぐことしかできなかった。
まだ離れていたが、触れなくても、もう生きていないことにも気付いてしまった。気付くと、地面に膝をついてしまっていた。
「当主様、奥様……」
今日の今日であるため、思わず当主様と口から出ていた。
実際、いつかこんなことになるのではないかと考えたことはあった。
だが、使用人が減っても、自らで行うようになっても、生活ががらりと変わっても、夫妻は文句を言うこともなく、率先して行っていた。
最初は目も当てられなかったが、今は随分と成長をしていた。
罪を償う、そんな気持ちもあるのではないかと思うこともあった。
これまでも、正直、明るい邸ではなかったと思う。夫妻の仲は良いが、皆で仲良くではなく、それぞれが個々に生活をしていた。
オイワード公爵家の方は気位が高いところはあり、使用人とも親しい間柄ではなかったが、それが悪いとは思わない。
ちゃんと仕事ができる職場で、正当な評価をしてもらい、給料がもらえればいいという者には、良い職場だったと思う。
辞めて行った者も、すべてはイオリクのせいであって、夫妻のせいではなかった。
夫妻はほとんど一緒で、話し合って、自害しようと決めていたのだろう。もし気付いたとしても、止めることはできなかったとも思った。
ハイスは番への否定的な意見を持っていたが、領地経営をきちんとしており、敬遠されるほど嫌われてはいなかった。
キューラもハイスに頼り過ぎな部分はあったが、ハイスが良しとしているために、特に面倒を掛けるわけではないので、文句はなかった。
イオリクのようにディオエルを崇めていたわけではないが、竜帝国の皇帝陛下は夫妻にとっても特別な存在であった。
少し落ち着き、そばに寄ると、外傷はなさそうであるために、亡くなった原因はそばに落ちている小瓶ではないか。おそらく、毒だろう。
夫妻の顔は穏やかなものではなく、苦渋に満ちた表情であった。
いつから毒などを持っていたのだろうか、いつから考えていたのだろうか、いつから爵位継承の日にすると決めたのだろうか。
執事は動かすことはせず、イオリクと騎士団と医師に連絡をしなければと、気合を入れるために足を叩いて、邸に急いで戻った。
使用人に事情を話すと、同じように口元を押さえたが、悲鳴が漏れた者もいた。
それでも、騎士団と医師に行かせ、執務室にいるイオリクの元へ向かった。
「そうか、爵位継承の手続きを行う」
「はい、よろしくお願いいたします」
爵位の継承する手続きに入ることになり、イオリクはめでたいことだと感じているが、ハイスは粛々と進めた。
提出は日がある時に行わなくてはならないために、執事に提出を頼み、アンデュースが行うことになるために、早々に許可が下りるだろうと考えていた。
ハイスが提出を行うと、三日後には皇帝宮からの使者が許可を届けてくれた。
皇帝陛下から何か一言あったりする場合もあるが、特例のイオリクということで、許可が下りたということだけであった。
ハイスとキューラ、そしてイオリクは静かに受け入れた。
「今日からイオリクがオイワード公爵だ。しっかり励みなさい」
「はい!ありがとうございます、しっかり励みたいと思います」
イオリクは邸で祝いなどもあるのではないかと思ったが、いつもと変わらなかった。キューラに至っては、イオリクに何も声を掛けることもなかった。
だが、いつもと変わらず裏の森に散歩に出たハイスとキューラが、いくら経っても戻って来なかった。
爵位も継承したから、どこかで二人で話しているのかと考えていたが、執事はまさかと思い、散歩コースに向かうと、木の根元でハイスがキューラを抱きしめるような形で、口から血を流していた。
叫びそうな声を、強く口元を押さえて、防ぐことしかできなかった。
まだ離れていたが、触れなくても、もう生きていないことにも気付いてしまった。気付くと、地面に膝をついてしまっていた。
「当主様、奥様……」
今日の今日であるため、思わず当主様と口から出ていた。
実際、いつかこんなことになるのではないかと考えたことはあった。
だが、使用人が減っても、自らで行うようになっても、生活ががらりと変わっても、夫妻は文句を言うこともなく、率先して行っていた。
最初は目も当てられなかったが、今は随分と成長をしていた。
罪を償う、そんな気持ちもあるのではないかと思うこともあった。
これまでも、正直、明るい邸ではなかったと思う。夫妻の仲は良いが、皆で仲良くではなく、それぞれが個々に生活をしていた。
オイワード公爵家の方は気位が高いところはあり、使用人とも親しい間柄ではなかったが、それが悪いとは思わない。
ちゃんと仕事ができる職場で、正当な評価をしてもらい、給料がもらえればいいという者には、良い職場だったと思う。
辞めて行った者も、すべてはイオリクのせいであって、夫妻のせいではなかった。
夫妻はほとんど一緒で、話し合って、自害しようと決めていたのだろう。もし気付いたとしても、止めることはできなかったとも思った。
ハイスは番への否定的な意見を持っていたが、領地経営をきちんとしており、敬遠されるほど嫌われてはいなかった。
キューラもハイスに頼り過ぎな部分はあったが、ハイスが良しとしているために、特に面倒を掛けるわけではないので、文句はなかった。
イオリクのようにディオエルを崇めていたわけではないが、竜帝国の皇帝陛下は夫妻にとっても特別な存在であった。
少し落ち着き、そばに寄ると、外傷はなさそうであるために、亡くなった原因はそばに落ちている小瓶ではないか。おそらく、毒だろう。
夫妻の顔は穏やかなものではなく、苦渋に満ちた表情であった。
いつから毒などを持っていたのだろうか、いつから考えていたのだろうか、いつから爵位継承の日にすると決めたのだろうか。
執事は動かすことはせず、イオリクと騎士団と医師に連絡をしなければと、気合を入れるために足を叩いて、邸に急いで戻った。
使用人に事情を話すと、同じように口元を押さえたが、悲鳴が漏れた者もいた。
それでも、騎士団と医師に行かせ、執務室にいるイオリクの元へ向かった。
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