【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】再婚2

「どうして?罰はもう受けたのだから」
「お前だって、ディオエル前国王陛下のことは分かっているだろう?」
「それは何度も言ったでしょう?事故だったの。殺そうとしたわけではないの!番が弱かったから」

 エッセは何度も何度も、イオリクは運が悪かっただけで、ディオエルを尊敬していたのだから、事故なんだと訴えていた。

「お茶会にも呼ばれなくなったのだろう?イオリク殿の名前を出すなと言われているのではないか?」
「っ」
「離縁をしているから、呼んでもらえていたんだ。それをイオリク殿の名前など出せば、そんな名前は聞きたくもないと思われたのだ」

 イオリクの所業が公になり、それでも先に離縁していたことから、エッセは呼んでもらえていた。わざわざ、イオリクの名前を出すこともなかっただろう。

 興味本位で訊ねて来ることがあったとしても、大変なことをしてくれたという思いだっただろう。

 それをイオリクを庇うようなことを口にすれば、反感を買うのは当然である。

 さらに、ディオエルが亡くなり、さらに真実が公になったことで、エッセは相手にされなくなった。関わっていなくとも、庇うようなことは聞きたくもない。

 関わりたくないと判断されたのである。

 それでも、デイース伯爵家にいるからこそ、これまでと同じとはいかなくとも、身の回りの世話をされ、食事を作ってもらい、掃除・選択をしてもらう貴族の生活ができている。

「イオリクは誤解を解くって」
「どうやって?亡くなられたのも事実で、誤解だと信じてくれる方がいても、ディオエル前国王陛下が生き返るわけでもない」
「それは……」
「イオリクが番を殺したことで、ディオエル前国王陛下が亡くなられたのだ。しかも、アイルーン様の記憶があったなど……そのような方をどうして、手を掛けたのか……信じられない」

 デイース伯爵は、即位式に参加していたが、話を聞きながら、目の前が真っ暗になり、立っているのがやっとであった。

「イオリクは妃にしようとしていたの!だけど、事故が起きてしまっただけなの!」
「妃にしようと思ってらっしゃらなかったと聞いただろう」
「だけど、番なのだから、必要でしょう?だから、イオリクが気を利かせたの」
「ふざけるな!イオリクはディオエル前国王陛下より偉いのか?決められる立場なのか?お前もイオリクもおかしい……」
「でも、殺そうとしたなんて、殺したなんて……それはきっと違うの」

 エッセはイオリクがディオエルのことをどれだけ考えていたか、よく知っている。始めは私とどちらが大事なのかと思ったこともあったが、ディオエルへ尊敬で、エッセへは愛情であった。

 側近なので忙しくしていたが、一緒にいる時は惜しみない愛を与えてくれて、エッセだけが特別で、愛されていることを疑ったことはなかった。

 イオリクは誰よりも、ディオエルが皇帝である竜帝国を大事に思っていた。

「あんなにディオエル皇帝陛下のことを考えていた人はいないわ」
「考えた結果がこれだろう。命まで落とされて、殺意がなくても、悪意があったのは事実だろう?それを事故とは言わないのだよ」
「だから、番が弱かったのよ!ミリオン王国なんかで見付かるから」
「もういい、やめてくれ!聞きたくもない。そのようなことを、拷問をされても言うことではない」

 番が弱かろうが、強かろうが、関係ない。

 そんなことを口にするものではない。口にしてはならないことだ。

「好きにしたらいい、再婚するなら、イオリクの元へ行くなら、こちらは絶縁状を提出する」
「絶縁なんて、やり過ぎでしょう?セラーもいるのよ?」
「セラーのことは、今は考えなくていい。今は自分のことだけ考えなさい」
「セラーも関係あるのよ!」
「あの子はもう大人なんだ、戻ってから考えればいい」

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