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【テイラー】申請5
「彼女が危機感を持っていれば」
「守るべきはお前の仕事だろう?特に彼女は他国の人間だった、お前は侍女も護衛も付けるなと言われて、他国に行って、自身を守れるか?」
ディオエルやライシードなら、自身で守れたが、イオリクはそうではない。
「何かあるのなら言ってくれれば」
「お前は全て他人のせいなのだな。ライシードはアイルーン様も、テイラー様も守れなかったことを悔やんでいたぞ」
ライシードはアンデュースの言葉に、不甲斐なさで目を伏せた。
「私は違いますから」
「子どもを産ませるために必要な番、次代が必要だと言いながらも、大事にすることはない。お前の言っていることは、随分と自分勝手だな」
「っ、そんなことはありません」
「お前の理屈だと、番は大事にしなくてはいけないと思うが?お前がアイルーン様も、テイラー様もそう思って接していたら、未来も違っただろうな」
「っ」
「アイルーン様も、テイラー様も、そしてディオエルもな」
ディオエルも間違ったが、それをイオリクやライシードがフォローしていれば、アイルーンの事件は防げたかもしれない。
それはライシードが心より悔やんでいたことで、過ちを繰り返さないと思っていたが、こんなことになってしまった。
絶望して、自分に何ができたのか。何をすれば良かったのか。戻ることのな時間のことばかり考えていた。
それでも、竜帝国のために引き続き働くことで、どうにか悔やむ気持ちを糧にして、今も真面目に働いてくれている。
「もういいな。家のことはきちんと考えて、答えを出しなさい」
「はい」
今期の税を納める前に判断しなければならないことは、分かっているだろう。
公爵として終えるのなら、あと何度会えるか。男爵になるのならば、会うこともあるかもしれないが、話をすることはないだろう。
最後なのかと思うと、ディオエルのことをイオリクに話をする気はなかったが、事実を伝えておくことくらいはいいだろう。
「ディオエルはお前の罰が決まってから、お前のことは一切、口にすることはなかった。お前には一番辛いことではないか?」
「っ」
「私たち、ライシード、医師やアイルーン様の事件に関わった者は、ディオエルと話をした」
「私も皇帝宮にいれば、いたかったのです!」
イオリクもあんな事故がなければ、皇帝宮で側近としてそばにいたはずで、ディオエルが呼ばないはずがない。そうでなくとも、呼んでくれれば、すぐに駆け付けて、沢山話したいことがあっただろう。
弱っていらしても、側に控えているだけでも、できたはずだと、今になってそんな思いが、爆発していた。
「呼ばれるわけがないだろう?」
「そんなことはありません」
「お前が死の原因なのに、お前のせいで死ぬのだというのか?言うわけがないだろう?会いたくない、顔も、思い出すこともしたくないだろう」
「そんな風に思うはずがありません」
アンデュースはオイワード前公爵夫妻がイオリクから距離を取り、自害を選んだ理由が理解できた気がした。
本当ならイオリクも一緒に連れて行くつもりだったかもしれない。蛇の毒で、罰を受けさせようと考えていたかもしれない。
おそらく、それを阻止してしまったのは私だろう。
ディオエルを裏切る形になり、私のことも裏切ることはできないと考えた。
だからこそ、迷惑を掛けないように根回しを行うことしかできなかった。
そう考えると良かったのか、両親はイオリクを自らの手で罰することが、親としてできることだと考えていたかもしれない。
だが、それはもう叶わない。そして、後悔はしていない。
ただ、右目は見えにくいのか、不快そうに擦っており、その姿を見る度にテイラー様の毒が効いていると思えば、溜飲が下がる思いである。
「守るべきはお前の仕事だろう?特に彼女は他国の人間だった、お前は侍女も護衛も付けるなと言われて、他国に行って、自身を守れるか?」
ディオエルやライシードなら、自身で守れたが、イオリクはそうではない。
「何かあるのなら言ってくれれば」
「お前は全て他人のせいなのだな。ライシードはアイルーン様も、テイラー様も守れなかったことを悔やんでいたぞ」
ライシードはアンデュースの言葉に、不甲斐なさで目を伏せた。
「私は違いますから」
「子どもを産ませるために必要な番、次代が必要だと言いながらも、大事にすることはない。お前の言っていることは、随分と自分勝手だな」
「っ、そんなことはありません」
「お前の理屈だと、番は大事にしなくてはいけないと思うが?お前がアイルーン様も、テイラー様もそう思って接していたら、未来も違っただろうな」
「っ」
「アイルーン様も、テイラー様も、そしてディオエルもな」
ディオエルも間違ったが、それをイオリクやライシードがフォローしていれば、アイルーンの事件は防げたかもしれない。
それはライシードが心より悔やんでいたことで、過ちを繰り返さないと思っていたが、こんなことになってしまった。
絶望して、自分に何ができたのか。何をすれば良かったのか。戻ることのな時間のことばかり考えていた。
それでも、竜帝国のために引き続き働くことで、どうにか悔やむ気持ちを糧にして、今も真面目に働いてくれている。
「もういいな。家のことはきちんと考えて、答えを出しなさい」
「はい」
今期の税を納める前に判断しなければならないことは、分かっているだろう。
公爵として終えるのなら、あと何度会えるか。男爵になるのならば、会うこともあるかもしれないが、話をすることはないだろう。
最後なのかと思うと、ディオエルのことをイオリクに話をする気はなかったが、事実を伝えておくことくらいはいいだろう。
「ディオエルはお前の罰が決まってから、お前のことは一切、口にすることはなかった。お前には一番辛いことではないか?」
「っ」
「私たち、ライシード、医師やアイルーン様の事件に関わった者は、ディオエルと話をした」
「私も皇帝宮にいれば、いたかったのです!」
イオリクもあんな事故がなければ、皇帝宮で側近としてそばにいたはずで、ディオエルが呼ばないはずがない。そうでなくとも、呼んでくれれば、すぐに駆け付けて、沢山話したいことがあっただろう。
弱っていらしても、側に控えているだけでも、できたはずだと、今になってそんな思いが、爆発していた。
「呼ばれるわけがないだろう?」
「そんなことはありません」
「お前が死の原因なのに、お前のせいで死ぬのだというのか?言うわけがないだろう?会いたくない、顔も、思い出すこともしたくないだろう」
「そんな風に思うはずがありません」
アンデュースはオイワード前公爵夫妻がイオリクから距離を取り、自害を選んだ理由が理解できた気がした。
本当ならイオリクも一緒に連れて行くつもりだったかもしれない。蛇の毒で、罰を受けさせようと考えていたかもしれない。
おそらく、それを阻止してしまったのは私だろう。
ディオエルを裏切る形になり、私のことも裏切ることはできないと考えた。
だからこそ、迷惑を掛けないように根回しを行うことしかできなかった。
そう考えると良かったのか、両親はイオリクを自らの手で罰することが、親としてできることだと考えていたかもしれない。
だが、それはもう叶わない。そして、後悔はしていない。
ただ、右目は見えにくいのか、不快そうに擦っており、その姿を見る度にテイラー様の毒が効いていると思えば、溜飲が下がる思いである。
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