【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】ロウス1

 ロウスは処刑などあり得ないと、手配したのは全てモーラーだったことから、亡くなったと聞き、もう証拠などないと考えていた。

 これまでロウスのために身を捧げ、手となり足となっていたモーラーの死すら、悼む気持ちもなく、幸運だとくらいに思っている。

「証拠はあるのですか」
「お前が自白していると言っているだろう」
「それ以外にですわ!」
「何の証拠だ!」
「ローズミーのことも知りませんし、疑似番なんて私は行っておりません」
「サドイという医師がお前に、アイルーン・デリアの血を輸血したと認めている」
「そんな人知りません!ですから、デタラメですわ!」

 ロウスは医師に輸血して貰ったことは分かっているが、医師がサドイという名前であることは本当に知らない。

 ドアソア家はロウスをいい加減にしろと怒鳴り付けたかったが、黙って事実を受け止めるように言われており、両手で拳に力を籠めるしかなかった。

「お前の体に、アイルーン・デリアの血が入っていることも証明されている」
「…えっ」
「御父上であるデリア侯爵が提供してくださったおかげで、証明されたのだ。なぜ、そのようなことになったか理由を言えるのか?たまたまで入るものではない」
「…そんなの、何かの間違いです」

 ロウスはどうして、そんなことが証明が出来るのか、分からないが、下手に問うことは危険だと判断した。

「間違いなどではない。体にも不調があるのではないか?顔色も悪いではないか、病気ではないのか?」
「えっ…そのようなことは、牢に入れられたからでございます」

 牢に入れられたこともあったが、ロウスは時折、血尿や血便が出ることがあり、薬を出して貰ったが、症状がなくなることはなかった。

 薄くはなっているが、竜族の血筋のおかげでまだ若いはずなのに、顔のくすみや皴、かさつきも酷くなっており、どうしてなのかしらと悩んでいた。

「疑似番を行うと、体を蝕むことが分かっている。お前は輸血を10回も行ったのなら、異常があるのではないか?」
「そんなこと…」
「自業自得の上に、薬も効かないそうだ。苦しむことになるだろうな。ローズミーを見ていただろう?あれが末路だよ」
「…っな、そ、んな、嘘よ」

 ロウスはそんなことは聞いておらず、自分もローズミーのように老婆になるのかと、今日一番のショックを受けた。

「そこは認めるのか?」
「本当にあんな風になるっていうの…」

 ドアソア家も初めて聞くことだったが、自業自得としか思えなかった。

「ああ、どんどん酷くなるだろうな」
「……嘘よ、そんな、そんな」

 ロウスは自身の頬を擦りながら、動揺していた。

「お前はメロディから血を奪ったと思っているのだろうが、ある意味、メロディを救ったんだよ…でなければ種族の違いから、メロディもローズミーのようになっていた可能性もある。まあ、メロディもすり替えていたのだが、ローズミーはやり過ぎたんだよ」

 ローズミーはロウスやメロディと違って、多く輸血すればいいと考えていたために、輸血量が皆より多かった。

「…な」

 ロウスはメロディがすり替えた物がどれか分からないために、ローズミーではなくメロディから奪っていた。使わせるものですかと思っていたが、救っていたって何よと、許せない気持ちになっていた。

「反省する気はないのだな…残念だよ」
「あの方は番という名誉をいただいたのですから、いいではありませんか」

 何を言い出すのかと思ったが、あの方がアイルーンを指しているのだと思い、ディオエルは一気に怒りが込み上げていた。

「…だから、殺されていいと言うのか?」

 地を這うような低い声だった。

「そ、そうではありませんが、過ぎた幸福だったのは確かでございましょう?」
「……そうだな」
「そうなんです、だからこんな重い罪など」

 ディオエルが分かってくれたと思ったロウスは、嬉々とした声を上げ、減刑を願うことにした。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします。

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