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【テイラー】訪問
「それで、ホテルの場所を教え、エイク子爵に手紙を送っただけですか?他に何かしましたか?」
「他にはしていない、本当だ」
怪我をさせてもいいなどと言ったと思われたら、大変なことになる。
「そうですか。では何を言ったか、何をしたか、ありのままを書き出して置いてください。それを皇帝陛下にお渡しします」
「っな」
「当然でしょう」
「陛下、ちゃんと書いてください。今、危機的状況なのは分かっておりますよね?」
マフスは黙って、二人の話を聞いていたが、ディオエルはイオリクも許さないだろうが、ギリシスも許さないだろうと思っていた。
「イオリク様は現在、貴族牢に入れられております。話をすり合わせたりすることは、禁じますから」
「貴族牢……」
「皇帝陛下の命です。もしも、逆らうのならば皇帝陛下に逆らうことですからね」
「わ、分かっている!」
イオリクはどうなったのかとは思っていたが、恐ろしくて聞けずにいた。
どこかで軟禁されているのかと思っていたが、貴族牢の可能性もあったが、まさか皇帝陛下の命令だとは思わなかった。
「これは助言ですが、イオリク様は皇帝陛下に何度も何度も殴られて、ボロボロの状態ですから」
「っっ」
シュアリアはお前もそうなる可能性があるということを、示唆したのである。
「王妃陛下、私が責任を持って、こちらで見張ります」
「ええ、そうしてください」
マフスはギリシス側だったことから、妙な助言をしなければいいがと思いはしたが、ギリシスをお目付け役としてはいいだろうと判断した。
念のために再び監視を付け、シュアリアは自分の執務室に戻った。
それよりもテイラーの状態が心配で、それどころではなかった。ディオエルはどうなっただろうか、エレサーレを付けたが、会うことは出来ただろうか。
ディオエルたちは、デリア侯爵邸の前で緊張していた。
門番はエレサーレに気づき、門は開けられたものの、邸内がどういった状況かすら分からなかった。
だが、邸から出て来たのは、ベルサートであった。誰かが呼びに行ったのだろう。
「皇帝陛下、王太子殿下も」
ようこそおいでくださいましたという状況ではないために、ベルサートは何とも言えない表情はしていたが、追い返す気はなさそうであった。
「このような時にすまない。今はどういった状況だろうか」
訊ねたのは、エレサーレであった。
「テイラー嬢は、昏睡状態のままです。侍医と王宮医師が付いております」
「デリア侯爵は?」
「父もです」
「そうか」
「謝罪をさせていただけないかと、訪ねさせていただいた」
ディオエルはベルサートを見つめ、言い辛そうに口にした。
「そうでございますか、中へお入りください」
アイルーンの時は、ルーベンスもベルサートも、快く入れてくれたが、今は真逆であった。執事に応接室を用意させ、こちらでお待ちくださいと離れた。
しばらくすると、やつれた様子のデリア侯爵がやって来た。
「いらしたのですね」
「全て受け止める覚悟で、謝罪に来させてもらった」
「そうですか……あの男の暴走であることは分かっております。皇帝陛下がさせたとは思っておりません」
「だが、連れて来たのは私だ」
「そうでございますね」
「具合は、どう、なのだろうか」
ディオエルは言葉にしながら、涙が零れそうになるのを、堪えながら訊ねた。
「厳しい状況です。出血が酷く…」
「っ」
「オロン、タオルを持って来てくれ」
「かしこまりました」
ルーベンスは見て貰った方が早いと、執事であるオロンに頼んだ。
オロンが戻って来て、手にしていたのは真っ赤に染まったタオル、そしてルーベンスが着ていた血の付着した上着であった。
盥の中に入ったタオルと上着が、机の上に置かれると、皆はショックを受け、言葉に詰まった。
「これが、テイラー嬢の流した血です」
その瞬間、ディオエルの目から、大きな涙が零れ落ちた。
「他にはしていない、本当だ」
怪我をさせてもいいなどと言ったと思われたら、大変なことになる。
「そうですか。では何を言ったか、何をしたか、ありのままを書き出して置いてください。それを皇帝陛下にお渡しします」
「っな」
「当然でしょう」
「陛下、ちゃんと書いてください。今、危機的状況なのは分かっておりますよね?」
マフスは黙って、二人の話を聞いていたが、ディオエルはイオリクも許さないだろうが、ギリシスも許さないだろうと思っていた。
「イオリク様は現在、貴族牢に入れられております。話をすり合わせたりすることは、禁じますから」
「貴族牢……」
「皇帝陛下の命です。もしも、逆らうのならば皇帝陛下に逆らうことですからね」
「わ、分かっている!」
イオリクはどうなったのかとは思っていたが、恐ろしくて聞けずにいた。
どこかで軟禁されているのかと思っていたが、貴族牢の可能性もあったが、まさか皇帝陛下の命令だとは思わなかった。
「これは助言ですが、イオリク様は皇帝陛下に何度も何度も殴られて、ボロボロの状態ですから」
「っっ」
シュアリアはお前もそうなる可能性があるということを、示唆したのである。
「王妃陛下、私が責任を持って、こちらで見張ります」
「ええ、そうしてください」
マフスはギリシス側だったことから、妙な助言をしなければいいがと思いはしたが、ギリシスをお目付け役としてはいいだろうと判断した。
念のために再び監視を付け、シュアリアは自分の執務室に戻った。
それよりもテイラーの状態が心配で、それどころではなかった。ディオエルはどうなっただろうか、エレサーレを付けたが、会うことは出来ただろうか。
ディオエルたちは、デリア侯爵邸の前で緊張していた。
門番はエレサーレに気づき、門は開けられたものの、邸内がどういった状況かすら分からなかった。
だが、邸から出て来たのは、ベルサートであった。誰かが呼びに行ったのだろう。
「皇帝陛下、王太子殿下も」
ようこそおいでくださいましたという状況ではないために、ベルサートは何とも言えない表情はしていたが、追い返す気はなさそうであった。
「このような時にすまない。今はどういった状況だろうか」
訊ねたのは、エレサーレであった。
「テイラー嬢は、昏睡状態のままです。侍医と王宮医師が付いております」
「デリア侯爵は?」
「父もです」
「そうか」
「謝罪をさせていただけないかと、訪ねさせていただいた」
ディオエルはベルサートを見つめ、言い辛そうに口にした。
「そうでございますか、中へお入りください」
アイルーンの時は、ルーベンスもベルサートも、快く入れてくれたが、今は真逆であった。執事に応接室を用意させ、こちらでお待ちくださいと離れた。
しばらくすると、やつれた様子のデリア侯爵がやって来た。
「いらしたのですね」
「全て受け止める覚悟で、謝罪に来させてもらった」
「そうですか……あの男の暴走であることは分かっております。皇帝陛下がさせたとは思っておりません」
「だが、連れて来たのは私だ」
「そうでございますね」
「具合は、どう、なのだろうか」
ディオエルは言葉にしながら、涙が零れそうになるのを、堪えながら訊ねた。
「厳しい状況です。出血が酷く…」
「っ」
「オロン、タオルを持って来てくれ」
「かしこまりました」
ルーベンスは見て貰った方が早いと、執事であるオロンに頼んだ。
オロンが戻って来て、手にしていたのは真っ赤に染まったタオル、そしてルーベンスが着ていた血の付着した上着であった。
盥の中に入ったタオルと上着が、机の上に置かれると、皆はショックを受け、言葉に詰まった。
「これが、テイラー嬢の流した血です」
その瞬間、ディオエルの目から、大きな涙が零れ落ちた。
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