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【テイラー】もういい
「既に国では許可が下りていることだ。連れて来たのはテイラー嬢に謝ってもらいたいということなら、謝らせようと思っていたからだ。それがこのような目に遭わせるなど、それを国王が加担するなど、考えもしなかった」
「私は知らなくて」
そんな権利のなくなるような相手の加担していたのかと、だが知らなかったのだからと、ギリシスは弁解しようと必死であった。
「知っていたら、そんなことしませんでした」
「私はイオリクを否定し、叱っていたはずだ。立場が悪いということくらい分かるだろう?王妃陛下、いかがだろうか」
「はい、立場が危ういのではないかと思っておりました」
「っな」
ギリシスも多少は思ったが、側近として連れて来ているのだから、信じて当然ではないか。シュアリアはどうして、庇わないのかと睨み付けたが、目を合わせてもらえなかった。
「宰相、君はどうだ?」
「はい、私も最初はミリオン王国から再び番が選ばれることに、浮かれておりました。イオリク様に関しては、私も大丈夫なのだろうかと感じておりました」
「宰相っ!」
誰が見ても、イオリクはディオエルに否定されていた。
そんな相手がディオエルに優遇されているとは思うはずがない。いくら甘美なことを言われても、疑うべきだろう。
「王妃陛下、そなたが言われていたら、どう思った?」
「当然、疑います。あれだけ皇帝陛下に叱られ、テイラー嬢へも敵意を現してもおりましたので、危険だと判断したと思います」
「お前!自分だけ保身に走る気か!」
「私は保身のために言っているわけではありません。テイラー嬢のことを考えて、ありのままを話しているだけです!」
ギリシスの視線は感じたが、視界に入れるのも嫌だったので、前を向いたままハッキリと答えた。
「王妃陛下が思ってくれたように、私たちも話していたつもりだ。反対していたのはイオリクと、そなたと宰相だけであっただろう。ゆえに、誰もがイオリクに違和感を感じる存在だったはずだ。そんな者のじゃれ事に唆されたのが、国王だと?あり得ないと思うだろう」
子どものお遊びではない。
テイラーはきちんと裁いて欲しいと言ったが、竜帝国の皇帝の側近と、ミリオン王国の国王が結託し、皇帝陛下の番に危害を加えることになったのである。
ディオエルは公には希望通り裁き、やりようなどいくらでもある。
「いえ、ですが」
「一番悪いのはイオリクだ!だが、そなたにも責任はきちんと取って貰う。覚悟しておくように」
「そんな、私は」
「そなたもイオリクと一緒だな、テイラー嬢の心配も謝罪も、反省もしない」
「い、いえ!心配しております」
イオリクとギリシスは利害関係が一致したのもあるが、ディオエルに対して同じような考えを持っていたのだろう。
最悪の組み合わせということである。
「妃にさせるためか?」
「……」
「イオリクは許可を得たと」
「っえ」
ギリシスの瞳は、希望を見出したように僅かに輝いた。
「了承したのですか!それなのに、どうしてこんなことに」
ギリシスは大袈裟ではないかというほど、大きな身振り手振りで、最終的には頭を抱えて、小さく丸まった。
「嘘だと思わないのか?」
「えっ、嘘?」
「誰も了承したなど信じないだろう。聞くまでもないことだ」
ディオエルは間違っても、テイラーに了承したのかなど聞くことはしなかった。
「説明もしない、自分の都合の悪いことだから言いたくないのだろうが、イオリクは戻り次第、自白剤を使う」
「え……じ、はく、ざい、です、か?」
ギリシスは、まるで自白剤を使った者のようになり、口をパクパクしていた。
「ああ、イオリクに自白剤を使うことは既に決まっている。そうなれば、自ずとそなたがやったことも分かるだろう。だからもういい」
「私は知らなくて」
そんな権利のなくなるような相手の加担していたのかと、だが知らなかったのだからと、ギリシスは弁解しようと必死であった。
「知っていたら、そんなことしませんでした」
「私はイオリクを否定し、叱っていたはずだ。立場が悪いということくらい分かるだろう?王妃陛下、いかがだろうか」
「はい、立場が危ういのではないかと思っておりました」
「っな」
ギリシスも多少は思ったが、側近として連れて来ているのだから、信じて当然ではないか。シュアリアはどうして、庇わないのかと睨み付けたが、目を合わせてもらえなかった。
「宰相、君はどうだ?」
「はい、私も最初はミリオン王国から再び番が選ばれることに、浮かれておりました。イオリク様に関しては、私も大丈夫なのだろうかと感じておりました」
「宰相っ!」
誰が見ても、イオリクはディオエルに否定されていた。
そんな相手がディオエルに優遇されているとは思うはずがない。いくら甘美なことを言われても、疑うべきだろう。
「王妃陛下、そなたが言われていたら、どう思った?」
「当然、疑います。あれだけ皇帝陛下に叱られ、テイラー嬢へも敵意を現してもおりましたので、危険だと判断したと思います」
「お前!自分だけ保身に走る気か!」
「私は保身のために言っているわけではありません。テイラー嬢のことを考えて、ありのままを話しているだけです!」
ギリシスの視線は感じたが、視界に入れるのも嫌だったので、前を向いたままハッキリと答えた。
「王妃陛下が思ってくれたように、私たちも話していたつもりだ。反対していたのはイオリクと、そなたと宰相だけであっただろう。ゆえに、誰もがイオリクに違和感を感じる存在だったはずだ。そんな者のじゃれ事に唆されたのが、国王だと?あり得ないと思うだろう」
子どものお遊びではない。
テイラーはきちんと裁いて欲しいと言ったが、竜帝国の皇帝の側近と、ミリオン王国の国王が結託し、皇帝陛下の番に危害を加えることになったのである。
ディオエルは公には希望通り裁き、やりようなどいくらでもある。
「いえ、ですが」
「一番悪いのはイオリクだ!だが、そなたにも責任はきちんと取って貰う。覚悟しておくように」
「そんな、私は」
「そなたもイオリクと一緒だな、テイラー嬢の心配も謝罪も、反省もしない」
「い、いえ!心配しております」
イオリクとギリシスは利害関係が一致したのもあるが、ディオエルに対して同じような考えを持っていたのだろう。
最悪の組み合わせということである。
「妃にさせるためか?」
「……」
「イオリクは許可を得たと」
「っえ」
ギリシスの瞳は、希望を見出したように僅かに輝いた。
「了承したのですか!それなのに、どうしてこんなことに」
ギリシスは大袈裟ではないかというほど、大きな身振り手振りで、最終的には頭を抱えて、小さく丸まった。
「嘘だと思わないのか?」
「えっ、嘘?」
「誰も了承したなど信じないだろう。聞くまでもないことだ」
ディオエルは間違っても、テイラーに了承したのかなど聞くことはしなかった。
「説明もしない、自分の都合の悪いことだから言いたくないのだろうが、イオリクは戻り次第、自白剤を使う」
「え……じ、はく、ざい、です、か?」
ギリシスは、まるで自白剤を使った者のようになり、口をパクパクしていた。
「ああ、イオリクに自白剤を使うことは既に決まっている。そうなれば、自ずとそなたがやったことも分かるだろう。だからもういい」
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