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【テイラー】永い
ルーベンスも、ベルサートも床に膝をついており、立っていられない様子。
ナナリーは子どものように泣き続け、ベルサートとナナリーの子どもたちも勢揃いし、ナナリーを支えながら涙を零していた。
テイラーの看病をする間、ルーベンス、ベルサートとナナリーは子どもたちを呼び寄せて、アイルーンとテイラーの話を聞かせた。
子どもたちはアイルーンのことは聞いており、殺されたということも当然、聞いて怒っていた。
テイラーのことも何者かと思っていたが、理由を聞いて最初こそ驚いたものの、嘘ではないことはアイルーンの事件が公になったことから、明らかであった。
何よりもルーベンス、ベルサートとナナリーが冗談を言うような顔ではなかった。
だが、テイラーは先程、急に体をビクリと動き出し、何度か繰り返した後、そのまま永い眠りについた―――。
医師たちは何もできず、悔しそうに呆然と立ち尽くしていた。
顔には怪我をしていなかったので、美しいまま。理不尽な目に遭い、未来を奪われたはずが、テイラーの顔はとても穏やかだった。
まだ若く艶やかな肌は、これ以上年を取ることを失った。
左側の怪我は治ることのないまま、その治癒する機会すら失った。
そして、テイラーのレッドブラウンの瞳はもう二度と、開くことはない。
ディオエルは迷うことなく、テイラーのそばに行き、自分より遥かに小さな手を初めて握った。
「まだ温かい……まだ温かいじゃないか。テイラー嬢……すまない、すまない。こんな、命を奪われていいわけがない……アイルーン嬢も同じだ……どうして……」
ライシードもディオエルの姿に、ルーベンスたちの様子で分かった。悔しくて、悲しくて、涙が流れていた。
「すまない……私が出会ったばかりに、私のせいだ。私の……」
誰も何も言えなかった。もう二度と、取り返しのつかないことが起きたのだ。
誰が何を言っても、空虚だ。
エレサーレも辿り着いて、泣き声がするために、すぐに分かった。ついこの前まで、幸せそうにとは言わないが、生きていた。
せめて病気や事故なら、悲しくとも受け入れるしかなかっただろう。
だが、イオリクのせいで、命は奪われることになった。
テイラーは今年18歳だったが、まだ誕生日が来ておらず17歳である。アイルーンも亡くなったのは19歳だったが、それ以上に若かった。
「医師たちによると、脳内で、出血を起こしたのだろうということです……」
鼻を啜りながら、ディオエルへ告げたのは、ルーベンスであった。
「出血を……」
「はい」
「くる、苦しんだのか?」
ディオエルは何の救いにはならないが、苦しんで欲しくはなかった。だが、苦しんだのならば、知らなくてはならない。
「叫んだりということはありませんでしたが、辛そうな表情をして、我慢していたのかもしれません。そして、そのまま亡くなりました……」
亡くなったという言葉に、ディオエルは一瞬、息が止まった。
既に温かさの失われつつあるテイラーが目の前にいるのだから、分かっていたはずが、ディオエルの胸は強く絞られている気分だった。
「すまない……すまない」
ディオエルは手を握ったまま、崩れ落ちた。
一国の皇帝が、膝をつき、涙を流している様子に、番であることを証明していた。
ディオエルはテイラーが危険な状態になってから、ずっとソワソワ、ゾワゾワする感覚がずっと続いていた。命の危機には、結局アイルーンの時もテイラーの時も気付けなかった。
気付けたとして、何もできなくとも、何が番だと、何も役に立たないではないか。悔しくて、さらに項垂れるしかなかった。
君を幸せに、君の未来のために生きていこうと決めたはずだった。こんな未来を歩んで欲しかったわけではない。
まだ、何もできていない。謝罪も足りていない。
ナナリーは子どものように泣き続け、ベルサートとナナリーの子どもたちも勢揃いし、ナナリーを支えながら涙を零していた。
テイラーの看病をする間、ルーベンス、ベルサートとナナリーは子どもたちを呼び寄せて、アイルーンとテイラーの話を聞かせた。
子どもたちはアイルーンのことは聞いており、殺されたということも当然、聞いて怒っていた。
テイラーのことも何者かと思っていたが、理由を聞いて最初こそ驚いたものの、嘘ではないことはアイルーンの事件が公になったことから、明らかであった。
何よりもルーベンス、ベルサートとナナリーが冗談を言うような顔ではなかった。
だが、テイラーは先程、急に体をビクリと動き出し、何度か繰り返した後、そのまま永い眠りについた―――。
医師たちは何もできず、悔しそうに呆然と立ち尽くしていた。
顔には怪我をしていなかったので、美しいまま。理不尽な目に遭い、未来を奪われたはずが、テイラーの顔はとても穏やかだった。
まだ若く艶やかな肌は、これ以上年を取ることを失った。
左側の怪我は治ることのないまま、その治癒する機会すら失った。
そして、テイラーのレッドブラウンの瞳はもう二度と、開くことはない。
ディオエルは迷うことなく、テイラーのそばに行き、自分より遥かに小さな手を初めて握った。
「まだ温かい……まだ温かいじゃないか。テイラー嬢……すまない、すまない。こんな、命を奪われていいわけがない……アイルーン嬢も同じだ……どうして……」
ライシードもディオエルの姿に、ルーベンスたちの様子で分かった。悔しくて、悲しくて、涙が流れていた。
「すまない……私が出会ったばかりに、私のせいだ。私の……」
誰も何も言えなかった。もう二度と、取り返しのつかないことが起きたのだ。
誰が何を言っても、空虚だ。
エレサーレも辿り着いて、泣き声がするために、すぐに分かった。ついこの前まで、幸せそうにとは言わないが、生きていた。
せめて病気や事故なら、悲しくとも受け入れるしかなかっただろう。
だが、イオリクのせいで、命は奪われることになった。
テイラーは今年18歳だったが、まだ誕生日が来ておらず17歳である。アイルーンも亡くなったのは19歳だったが、それ以上に若かった。
「医師たちによると、脳内で、出血を起こしたのだろうということです……」
鼻を啜りながら、ディオエルへ告げたのは、ルーベンスであった。
「出血を……」
「はい」
「くる、苦しんだのか?」
ディオエルは何の救いにはならないが、苦しんで欲しくはなかった。だが、苦しんだのならば、知らなくてはならない。
「叫んだりということはありませんでしたが、辛そうな表情をして、我慢していたのかもしれません。そして、そのまま亡くなりました……」
亡くなったという言葉に、ディオエルは一瞬、息が止まった。
既に温かさの失われつつあるテイラーが目の前にいるのだから、分かっていたはずが、ディオエルの胸は強く絞られている気分だった。
「すまない……すまない」
ディオエルは手を握ったまま、崩れ落ちた。
一国の皇帝が、膝をつき、涙を流している様子に、番であることを証明していた。
ディオエルはテイラーが危険な状態になってから、ずっとソワソワ、ゾワゾワする感覚がずっと続いていた。命の危機には、結局アイルーンの時もテイラーの時も気付けなかった。
気付けたとして、何もできなくとも、何が番だと、何も役に立たないではないか。悔しくて、さらに項垂れるしかなかった。
君を幸せに、君の未来のために生きていこうと決めたはずだった。こんな未来を歩んで欲しかったわけではない。
まだ、何もできていない。謝罪も足りていない。
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