【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】エイク子爵夫妻2

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 部屋には常に誰かがいたが、ベルサートとナナリーが待っており、他の者たちは席を外しており、ソラードとフアナは、ベルサートとナナリーに向かって深く頭を下げてから、テイラーを見つめた。

「テイラー……」
「本当に、テイラーなのね……」

 実は別人という可能性もあるのではないかと、微かな期待をしていたが、ソラードとフアナがよく知るテイラーに間違いなかった。

 二人はテイラーのそばに寄り、膝をついて、フアナは頬に触れた。

「どうして、どうして、こんなに冷たくなって……」
「守ってあげられなくてすまなかった……」

 二人はデリア侯爵家ということで、緊張もあるのだろうが、ただただテイラーを見つめて、涙を流していた。

「テイラー嬢は、どんなお子様だったのですか?」

 その様子を見ていたナナリーが、声を掛けた。

「はい。しっかりした子でした、本当に何でも器用で、驚くばかりでした。なあ?」
「ええ、芯のある子でした」
「そうなのですね、何がお好きでしたの?色とか、花でも」
「色は緑」

 その言葉にルーベンスは、この夫妻はちゃんとテイラーを見ていたのだと実感した。緑はアイルーンの好きな色である。

「あとは、赤も好きだったよな?」
「そうですわね。大変失礼な話ですが、妹のラオナがテイラーの瞳の色を、気味が悪いなどということが、幼い頃はあったのですが、あの子は私は好きだからと言い切っておりました」
「そうでしたか」

 その言葉にルーベンスとベルサート、ナナリーは泣きそうになったが、グッとこらえた。

「瞳も好んでいたということですか?」
「はい、時折、自分の瞳を鏡で見ておりました。あの子にしては珍しい行動だなと思っておりましたので、よく覚えております。私も美しい色だと思っておりました……もう見れないなんて信じられません」

 テイラーにとってアイルーンを感じる、唯一の部分だったのだろうと思った。

「花は、私は分からないのですが、フアナ、分かるか?」
「私もお花は……見れば綺麗だとは言っておりましたが、これといった花は……でも、いつだったか部屋に赤いカーネーションを飾っていたことがありました。貰っただけかもしれませんが」

 赤いカーネーションに気付いたのは、ルーベンスであったが、涙をこらえるので精いっぱいだった。

「そうですか、好きな色とカーネーションを用意しましょう。ねえ、お義父様」
「ああ」
「それは私共が」
「いや、葬儀のことはこちらで用意する」
「ですが」

 任せて欲しいと言われ、ソラードはお金は支払おうと思っていた。

「費用のことは気にしなくていい」
「でしたら……テイラーの前でお金のことを話すのは憚られますが、この子には婚約解消の時の慰謝料があります。全て渡してあります。あっ!戻してくれということではありません!」

 ソラードは自分たちが欲しがっていると思われてはいけないと、焦った。

「分かっている」
「はい。自立した子でしたから、自分のお金を使ってもらった方がいいと、考えるのではないかと思うのです」
「そうか……」

 ルーベンスも確かにテイラーの考えを考慮すると、それはそうかもしれないと思った。天国には持って行けない、自分のお金でと考えてもおかしくはない。

 手紙には書いていなかったが、遺書ではないのだから、お金は当然、持って行くつもりだっただろうから、書く必要はなかった。

「きっと、あの子は使ったりしていないと思うのです。私たちも縁を切っておりますので、テイラーの名前で請求書を出していただいて、支払うようにしていただけたらと思います」


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本日もお読みいただきありがとうございます。

前話(昨日の投稿)を少し変更しており、
本日の投稿に昨日の読んだ部分が少しあると思います。

よろしくお願いいたします。
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