【完結】愛しくない、あなた

野村にれ

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【テイラー】葬儀1

「本当に妹だったんですね……」
「ああ、だが、テイラーでもあった」
「そうですね」

 二人は目覚めることのないテイラーを見て、また涙をこらえた。

 そして、翌日、テイラーの葬儀の時刻になった。

 ナナリーの手筈で、赤いカーネーションも飾られ、アイルーンの言ったように温かい気持ちになった。

 小規模ではあったが、ディオエル皇帝陛下、シュアリア王妃陛下、エレサーレ王太子殿下を筆頭に、デリア侯爵家の親族という錚々たる出席者であった。

 皆、言葉もなく悲しんでおり、どうしてこんなことがと、後悔しかなかった。

 それでも、次の人生は何の憂いもなく、幸せでありますようにと願うくらいしかできなかった。

 エイク子爵夫妻や、子爵家側の参列者は、あまりの参列者に驚いた。

 親戚たちはどういうことなのかと事情を聞きたかったが、葬儀中に聞くわけにもいかず、デリア侯爵がテイラーに世話になり、葬儀を手配してくれることになったと聞かされていたために、その関係なのだろうと考えることにした。

 だが、大人しく参列している親戚とは違って、ラオナは錚々たる面々に目を輝かせていた。

 昨夜、テイラーが亡くなったと伝えた時は、さすがに驚きはした。

『え?嘘でしょう?』
『嘘じゃないんだ』
『へぇ、そうなんだ。ふーん。でも、もう他人でしょう?』
『他人?』
『もうエイク子爵家の人間じゃないんだから、葬儀もなしで、墓も共同?』

 涙を流すどころか、混乱することも、悲しむもなく、にやにやしていた。

 ソラードとフアナはその姿に、もう連れて行くのはやめようかとすら思ったが、それでも二人だけの姉妹なのだから、最期くらいはと思うことにした。

 ただし、デリア侯爵がテイラーに世話になったから、葬儀を取り仕切ることになったから、大人しくしているように強く言った。

 すると、納得がいかないような顔を見せた。

『え?何で?デリア侯爵って、もう平民なのよ?どうして、侯爵が出てくるのよ!おかしいいじゃない』
『テイラーはホテルで働いていたんだ、それで世話になったそうだ』
『ホテルで働いていたの?興味もないから知らなかったわ。でもそんな葬儀なんて出さなくていいから、私に援助?した方がいいわ、そうでしょう?』
『ふざけるな!なぜ、お前に援助をしなくてはいけない!』

 今に始まったことではないが、こんな時に意味不明なことを言い出すラオナに、ソラードは殺意すら芽生えた。

『その方が有意義じゃない!それもお父様がケチなのがいけないのよ!』

 ラオナは後継者教育をしないのなら、自由に使えるお金はなしだと言われて、教育をちゃんと受けると言いはしたが、結局しなかった。

 ゆえに今、ラオナに自由に使えるお金はない。

 婚約者のジイシーにも忙しいとなかなか会えなくなっており、それでもお金が使えず、困っているのと頼ったが、会ってもちゃんと毎回、後継者教育を受けるように口うるさく言われていることもあって、自業自得ではないかと言われることになった。

『葬儀では絶対に大人しくしていろ、もし騒ぐようなら、連れ出すからな。いいな?』
『葬式で騒いだりしないわよ、子どもじゃないんだから』

 そう言っていたのだが、ラオナは葬儀の厳かな空気の中、はしゃぎ始めていた。

「ねえ!王太子殿下がいるわ」
「黙れ!大人しくできないのなら、帰れ」
「何よ!お姉様が死んで、可哀想だと思って、次期子爵様が来てあげたのに。でも王太子殿下に会えるなんて!この前、王宮で会えるかと思ったら会えなかったのよ!お姉様、役に立つじゃない!」
「黙れと言っているだろう!」
「うるさいわね、全然怖くないんだから」


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は1日2話、投稿させていただきます。
いつもの17時に、もう1話投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします。

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