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【テイラー】矜持
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ライシードはディオエルが一人にして欲しいと言った際に、エレサーレに頼んで、こちらの罰や例などを見せてもらっていた。
ミリオン王国がイオリクに対して何か言って来ることはないと思うが、こちらの国の考慮して置いた方がいいと考えた。
監視対象というのは、貴族としては致命的となり、そう言った目で見られる。
いくら軽い罰でも、貴族としては終わりである。
あまりに酷い殺し方だったりした場合は、貴族だろうが、処刑という例もあった。それはあまりに殺した人の数が多く、頭のおかしいような人間であったそうだ。
「それはせめてもの罰になるな」
「はい、そう思います」
「でも、テイラー嬢は違うだろう。正しく、裁きを受けてくればいい。たった、それだけで良かったんだよ」
そう言いながら、ディオエルは目を伏せた。
そんなことを思われることでも、テイラーにとってはせめてもの願いだった。
いや、彼女の矜持だったのかもしれない。
だから、ディオエルは絶対に彼女の気持ちを叶えなくてはならない。ディオエルには、もう縋るものは、願いしかなかった。
「アイルーン様のことですか」
「ああ、彼女は子どもを助けられず、恨みながら亡くなっただろう。重い罰を望んでいたかもしれない。でも、テイラー嬢は違ったのではないか」
「アイルーン様とテイラー嬢は、違うということですか?」
「それは彼女にも分からなかったように、私にも分からない」
ライシードは、アイルーンと関わったのは数えるほどだった。
印象としては、物静かな令嬢だった。だが、今思えば、誰も味方がいない状況で、静かに過ごしたかっただけだろう。
それが番よりも大事な存在があるというディオエルへ、彼女なりの立場を弁えた行動であったことは、あの時は考えることもなかった。
あの時、ローズミーはそのような存在ではないと伝えていたらと思ったが、彼女も彼女で元婚約者のことがあったために、どう受け取ったかは分からない。
それでも、あの場にいた一人として何かできたはずだと思えてならなかった。
イオリクがあんな態度だったのだから、自分だけでも味方になるべきだった。病死ではなかったと聞かされた時から、ずっと後悔を抱え続けていた。
あの時は子どもが生まれれば、アイルーンは正妃になるのだから、それからこれまでとは違って、守られるだろうと考えていた。
子どもは無事に生まれると思っていたのは、番の子であること、竜種の子は強いと思っていたことが大きかった。
警備も配置し、アイルーンの部屋に近付く者もいなかったから、ある意味、安全だと思っていた。
そんなはずはなかった。
テイラー嬢は最初から、憎しみしかなかっただろうことから、最期まで本質までは分からなかった。だが、テイラー自身が分からなかったのかもしれない。
生まれ育った環境も、あの妹を見れば、幸せな家だとも思えなかった。
婚約者のことはアイルーンの時とは違って、何とも思っていなかったことは良かったと思ったが、信用もできない環境だったのではないかと、悲しい思いもあった。
自分のためにも家族のためにも、家を出たのかもしれない。
エイク子爵家は、どうとでもと言ったが、妹への趣旨返しもあったかもしれないが、どこか不安定な自分がいなくなったことで、上手くいってくれればいいと思ったのかもしれない。
答えはもう二度と聞くことはできないが、そんな風に思っていた。
「私はアイルーン様を守れなかったことを悔いています」
「いや、お前のせいじゃない」
「いいえ、イオリクの性格は知っており、警備も配置しているから大丈夫。近付く者もいないからと、今考えれば何を安心材料にしていたのか分かりません」
「いや、お前じゃない。私がそのような環境に置いたのだ。何が皇帝だよ、笑われてしまうな……」
ミリオン王国がイオリクに対して何か言って来ることはないと思うが、こちらの国の考慮して置いた方がいいと考えた。
監視対象というのは、貴族としては致命的となり、そう言った目で見られる。
いくら軽い罰でも、貴族としては終わりである。
あまりに酷い殺し方だったりした場合は、貴族だろうが、処刑という例もあった。それはあまりに殺した人の数が多く、頭のおかしいような人間であったそうだ。
「それはせめてもの罰になるな」
「はい、そう思います」
「でも、テイラー嬢は違うだろう。正しく、裁きを受けてくればいい。たった、それだけで良かったんだよ」
そう言いながら、ディオエルは目を伏せた。
そんなことを思われることでも、テイラーにとってはせめてもの願いだった。
いや、彼女の矜持だったのかもしれない。
だから、ディオエルは絶対に彼女の気持ちを叶えなくてはならない。ディオエルには、もう縋るものは、願いしかなかった。
「アイルーン様のことですか」
「ああ、彼女は子どもを助けられず、恨みながら亡くなっただろう。重い罰を望んでいたかもしれない。でも、テイラー嬢は違ったのではないか」
「アイルーン様とテイラー嬢は、違うということですか?」
「それは彼女にも分からなかったように、私にも分からない」
ライシードは、アイルーンと関わったのは数えるほどだった。
印象としては、物静かな令嬢だった。だが、今思えば、誰も味方がいない状況で、静かに過ごしたかっただけだろう。
それが番よりも大事な存在があるというディオエルへ、彼女なりの立場を弁えた行動であったことは、あの時は考えることもなかった。
あの時、ローズミーはそのような存在ではないと伝えていたらと思ったが、彼女も彼女で元婚約者のことがあったために、どう受け取ったかは分からない。
それでも、あの場にいた一人として何かできたはずだと思えてならなかった。
イオリクがあんな態度だったのだから、自分だけでも味方になるべきだった。病死ではなかったと聞かされた時から、ずっと後悔を抱え続けていた。
あの時は子どもが生まれれば、アイルーンは正妃になるのだから、それからこれまでとは違って、守られるだろうと考えていた。
子どもは無事に生まれると思っていたのは、番の子であること、竜種の子は強いと思っていたことが大きかった。
警備も配置し、アイルーンの部屋に近付く者もいなかったから、ある意味、安全だと思っていた。
そんなはずはなかった。
テイラー嬢は最初から、憎しみしかなかっただろうことから、最期まで本質までは分からなかった。だが、テイラー自身が分からなかったのかもしれない。
生まれ育った環境も、あの妹を見れば、幸せな家だとも思えなかった。
婚約者のことはアイルーンの時とは違って、何とも思っていなかったことは良かったと思ったが、信用もできない環境だったのではないかと、悲しい思いもあった。
自分のためにも家族のためにも、家を出たのかもしれない。
エイク子爵家は、どうとでもと言ったが、妹への趣旨返しもあったかもしれないが、どこか不安定な自分がいなくなったことで、上手くいってくれればいいと思ったのかもしれない。
答えはもう二度と聞くことはできないが、そんな風に思っていた。
「私はアイルーン様を守れなかったことを悔いています」
「いや、お前のせいじゃない」
「いいえ、イオリクの性格は知っており、警備も配置しているから大丈夫。近付く者もいないからと、今考えれば何を安心材料にしていたのか分かりません」
「いや、お前じゃない。私がそのような環境に置いたのだ。何が皇帝だよ、笑われてしまうな……」
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