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おいたわしや
時は、エドワースとロミが婚約をしたころから始まる―――。
エドワースはロミと婚約したにもかかわらず、愛しいと思う反面、二人の距離は縮まらないままで、は苛立つことが増えていた。
ジストの助言でお茶をしたり出掛けたりもしたが、ロミは嫌がることはないが、他人行儀なままで、元より知り合いではなかったのだから、少しずつ進めばいいと思いながらも歯がゆい気持ちであった。
しかも、ロミの場合はナインという存在がいたことが、さらにエドワースを苦しませた。
ジストに訊ねてみたらどうかとも言われたが、問いただしたりすることは怖くてできない。もし、少しでもロミの感情が動いたら、いやきっと動くだろうと考えるとおかしくなりそうだったからである。
エドワースも初めての感情で、コントロールが分からなかった。
「どこか寂しそうにしていたり、何か考えている様子を見ると、元恋人のことではないかと思い、おかしくなりそうだ」
「エドワース様……まだ、それでも出会ったばかりなのですから」
これがただ好意を持った相手なら、少しずつ距離を縮めることができたのかもしれないが、運命ということが理想と執着によって、エドワースを混乱させた。
いくらロミと会っても、ロミが目の前にいても、埋まらない何かを感じていた。
そして、眠れなくもなり、寝不足のせいで、さらに苛立つようになっていった。おしゃべりなジストでも和ませるようなことはできず、エドワースもこのようなことは不本意であった。
だが、過去は変えられないし、ロミはが何かしたわけでもない。
「公爵家で出されるお茶はどれも美味しいですね」
その日もふたりでお茶を飲みながら、ロミが感想を言うと、エドワースはどこと比べているのかと感じた。普通なら実家であるベルブルー伯爵家なのだが、ナインのミグリン伯爵家ではないのかと考えた。
それでも褒めているのだからいいではないかと思うが、エドワースは寝不足もあって、そのような精神状態ではなかった。
「どこかと比べているのか?」
「っえ、失礼しました」
ロミとしては伯爵家と公爵家を比べては失礼だと謝罪したが、その返事はエドワースを苛立たせた。
「そういうことはやめてくれ!」
「はい、申し訳ございませんでした」
ロミは頭を下げて謝罪し、その日からエドワースはロミに不快さを隠さなくなった。距離を縮めるためにもお茶会、出掛けるのも護衛はいるが、馬車ではふたりきりであった。
そんな時は決まって、エドワースはロミのことを何か話せと言ったり、その話に少しでもナインを感じると、なじるようになっていった。
そうなると、ロミはどんどん委縮してしまい、悪循環に陥った。
それでも、運命ということも、ベルブルー伯爵家が婚約を解消などということはできないこともエドワースはどこかで分かっていたために、自分の気が晴れればと思っていたが、それからも晴れることはなかった。
結婚式の後も同じであった。
そして、ついに出掛けた先でふいに絵具を見たロミをエドワースは引っ張って行き、馬車の中に連れて行くと引っ叩いた。
「っ!」
「絵具を見て思い出したのか?そんなに画家志望の恋人が心配か?」
いよいよエドワースは口にしてしまい、ロミも確かに絵具だと思って見ていたために、か細い声で答えた。
「申し訳ございません……申し訳ございません……」
そのまま邸に帰ったが、それからはロミの口癖は「申し訳ございません」になった。
周りも運命ということで、ふたりの仲を心配していなかったために、ふたりきりの時はピリピリした空気であるなどと思っていなかった。
しかも、エドワースは人目があるところではそのような姿は見せなかった。だが、このままではいけないことは分かっていた。
どうにかしなければならない。
エドワースはロミと婚約したにもかかわらず、愛しいと思う反面、二人の距離は縮まらないままで、は苛立つことが増えていた。
ジストの助言でお茶をしたり出掛けたりもしたが、ロミは嫌がることはないが、他人行儀なままで、元より知り合いではなかったのだから、少しずつ進めばいいと思いながらも歯がゆい気持ちであった。
しかも、ロミの場合はナインという存在がいたことが、さらにエドワースを苦しませた。
ジストに訊ねてみたらどうかとも言われたが、問いただしたりすることは怖くてできない。もし、少しでもロミの感情が動いたら、いやきっと動くだろうと考えるとおかしくなりそうだったからである。
エドワースも初めての感情で、コントロールが分からなかった。
「どこか寂しそうにしていたり、何か考えている様子を見ると、元恋人のことではないかと思い、おかしくなりそうだ」
「エドワース様……まだ、それでも出会ったばかりなのですから」
これがただ好意を持った相手なら、少しずつ距離を縮めることができたのかもしれないが、運命ということが理想と執着によって、エドワースを混乱させた。
いくらロミと会っても、ロミが目の前にいても、埋まらない何かを感じていた。
そして、眠れなくもなり、寝不足のせいで、さらに苛立つようになっていった。おしゃべりなジストでも和ませるようなことはできず、エドワースもこのようなことは不本意であった。
だが、過去は変えられないし、ロミはが何かしたわけでもない。
「公爵家で出されるお茶はどれも美味しいですね」
その日もふたりでお茶を飲みながら、ロミが感想を言うと、エドワースはどこと比べているのかと感じた。普通なら実家であるベルブルー伯爵家なのだが、ナインのミグリン伯爵家ではないのかと考えた。
それでも褒めているのだからいいではないかと思うが、エドワースは寝不足もあって、そのような精神状態ではなかった。
「どこかと比べているのか?」
「っえ、失礼しました」
ロミとしては伯爵家と公爵家を比べては失礼だと謝罪したが、その返事はエドワースを苛立たせた。
「そういうことはやめてくれ!」
「はい、申し訳ございませんでした」
ロミは頭を下げて謝罪し、その日からエドワースはロミに不快さを隠さなくなった。距離を縮めるためにもお茶会、出掛けるのも護衛はいるが、馬車ではふたりきりであった。
そんな時は決まって、エドワースはロミのことを何か話せと言ったり、その話に少しでもナインを感じると、なじるようになっていった。
そうなると、ロミはどんどん委縮してしまい、悪循環に陥った。
それでも、運命ということも、ベルブルー伯爵家が婚約を解消などということはできないこともエドワースはどこかで分かっていたために、自分の気が晴れればと思っていたが、それからも晴れることはなかった。
結婚式の後も同じであった。
そして、ついに出掛けた先でふいに絵具を見たロミをエドワースは引っ張って行き、馬車の中に連れて行くと引っ叩いた。
「っ!」
「絵具を見て思い出したのか?そんなに画家志望の恋人が心配か?」
いよいよエドワースは口にしてしまい、ロミも確かに絵具だと思って見ていたために、か細い声で答えた。
「申し訳ございません……申し訳ございません……」
そのまま邸に帰ったが、それからはロミの口癖は「申し訳ございません」になった。
周りも運命ということで、ふたりの仲を心配していなかったために、ふたりきりの時はピリピリした空気であるなどと思っていなかった。
しかも、エドワースは人目があるところではそのような姿は見せなかった。だが、このままではいけないことは分かっていた。
どうにかしなければならない。
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