【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)

野村にれ

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私の恋、あなたの愛

 目の前にいるのは、黒髪で青い目をした、柔らかい笑顔をする男性。

 選択の授業で隣の席になり、意気投合して友人になった。一緒に食事をしたり、勉強をしたり、同じ時間を過ごす内に、気が付くと好きになってしまっていた。

 好きなってはいけない人だったのに。

 言わずに友人のまま居続けることも出来たが、さすがに口にはしないけど、女性の元へ向かう彼の背中を見るのは、辛くなっていった。

「あなたを好きになってしまったの…でも、あなたは望まないわよね」
「ごめん…」
「そうよね」
「僕を好きになるなんて、趣味が悪いよ…シエルだって知ってるだろう?割り切った相手になりたいわけじゃないだろう?」
「うん、でも言いたかったの」
「シエルは友人として、付き合いたい人だよ」
「聞いてくれてありがとう」

 答えは分かっていた、でも彼の口から聞きたかった。初恋は叶わないと言うけど、二度目の恋も叶わないじゃない。

 シエル・フロランツア。ピンクブロンドの髪にアンバーの瞳。

 母と叔父が同じ色なので、嫌いだとは言わないが、目立ちたくないのに、とても目立つ。母は既に亡くなっており、ずっと叔父と一緒にいるわけにはいかない。叔父と一緒にいたところでも、多少は分散されるだけで、目立つことに変わりはない。

 ルル王国は獣人を先祖に持つ、比較的自由な国である。

 王族は絶対ではないが、処女性を求め、処女ではなかった場合は監視が付けられることになる。

 王族に相応しい爵位の令嬢たちは純潔であろうとするが、その他の令嬢は恋人を作り、関係を持つことも比較的自由である。

 元々は男性が獣人の影響か、性欲が強く奔放なものが多く、女性だけがどうして守り続けなくてはいけないのかと、避妊薬が出来てからは令嬢たちも、恋人と関係を持つことは増えていった。

 もはや初夜が初めてという女性は王家だけだろう。

 だがそんなルル王国でも、恋人だけではなく、数多の相手と関係を持つ、同時進行で関係を持つことは良くない相手とされる。

 シエルが告白をした相手、ルノー・ウィローもその良くない相手だった。

 ルノーと友人として過ごしている内に、知らない女性が親しそうにやって来ることがあった。相手は様々で私をじっと見る人もいたが、私に牽制するようなことはなく、邪魔してごめんねという風に去っていく人もいた。

 同じ友人だと思っていたら、ある日、友人であるマイニー・ヴィオスから聞かされることになった。

「ルノー・ウィローは関係を持つ相手が何人もいるそうよ。大丈夫?」
「ええっ」
「そんな風には見えないから、そんな人じゃないと思いたいのは分かるけど、好きになっても苦労するだけよ」
「そうよね…」
「やっぱり、好きになりかけていたんでしょう?」
「うん…あの女の人たちはそういうことだったんだ」

 ルノーは女好きのプレイボーイ、女の食い散らかすクズ男のような雰囲気ではなく、静かで女性を口説くようなところを想像が出来ないような人だった。

「どんな顔して、誘うんだろう…」
「想像しない!」
「でも、どうせ来年には会うこともなくなるだろうし」
「まあそうよね、それまでって言うのなら」

 シエルもマイニーも、医療看護科に進むため、学舎自体が違う。ルノーとは会う約束をしなければ、会うことはなくなることになる。

「ちょっと考えてみる」

 そうは言ったものの、結局シエルは口に出してしまった。

 親しくなったから、気が合うねって言ってくれたから、もしかしたらという希望も一応持っていたが、あえなく失恋することになった。

「失恋しちゃった」
「言っちゃったのね…」
「でもこれで迷いなく、勉強を頑張るわ!」
「またいい人に出会えるわよ」

 それからシエルはルノーと会っても距離を取り、新しい学年を迎えて、学舎が変わって、物理的に会うこともなくなった。


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お読みいただきありがとうございます。

新しいお話です。

下書きを書いている番作品が、前の話に近いものばかりだったので、
(多分、すごく好きなタイプなんだと思います…すみません)
近い話が続くのは面白くないだろうと思い、
ほぼ下書きがない作品に着手しています。

せめて1日1話は投稿していきたいです!頑張ります。

どうぞよろしくお願いいたします。

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