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私の恋、あなたの愛
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シエルを同じ場所で何日も待ってみたが、シエルは一切通ることはなかった。フロランツア侯爵家に行こうかとも考えたが、誰にも言っていないのに、不味いことになっては元も子もない。
「まだいたのね…」
「シエル!」
「私も感情的になって悪かったわ」
「すまない、怒らせているのは分かっている。理由を聞かせて貰えないだろうか…」
再び、ウィロー伯爵邸で話をすることになった。
「番だというのは事実なのね?」
「ああ…従兄弟のリリオンにバレたが、マリオスにも言っていない」
「そう…私はフロランツア侯爵に今は籍があるけど、3歳まではパリム子爵令嬢だったの。随分前のことだから、確かに知らない人がいて当然なんだけど」
「え?」
「やっぱり知らなかったのね、調べればすぐに分かることだけど、探ったりしなかったのね」
「ああ…」
何かあるのだろうとは思ったが、シエルの口から聞くべきだと思った。
「成り行きはあなたと同じだと思うわ」
「え?」
「父が母ではない番を見付けた。父は母を熱烈にアプローチして婚約して、結婚して、私が生まれたの」
「そう、だったのか…」
だが、シエルが母親の生家に戻っているということは、我が家とは違って、離縁したということだ。
「父は当分の間、番を愛人のように囲っていたそうよ。しかも家にも帰って来るの」
「番がいるのに?」
「そう、番に夢中になって帰って来ないってこともあるそうだけど、そうではなかった。母のことも愛していたからだとか何とか言っていたそうだけど、番の方が乗り込んで来てね、今のパリム夫人ね。それで母は私を連れて侯爵家に戻ったの」
「そうだったのか…番が嫌だということなんだよな?」
元々、番というものに憧れてもいなければ、徹底的に避けていたと言えるだろう。
「そうよ、だから抑制剤も欠かしたことはなかったわ。妊娠した今でもね、あの日は保健室で服用した解熱剤がおそらく作用して、抑制剤の効果をなくしてしまったのだろうということだったわ」
「そういうことだったのか」
てっきり服用が出来なかったのだと思ったが、そうではなかった。
「あなたも複雑な立場だってことは理解した。でもだから仕方ないって言って欲しいのか、君には分からないだろうって思っているのだろうとも思ったわ」
「それは…」
確かにシエルに本当に理解して貰うことは出来ないだろうと思っていた。だが、蓋を開けてみれば、まるで同じではないか。
「私は一つだけ、番とは結婚しないということは決めているの。気持ちを捻じ曲げるようなものは要らないの」
「だけど」
「あなたも番だから抱いたんでしょう?おかしいと思うべきだったわね」
「それは否定出来ない」
「私もあなたも番を求めていたわけではない、そうよね?」
「…ああ」
何が言いたいのだろうか、全くいい方に事が運ぶとは思えない。
「子どもが枷になるなら、諦めるしかないと思うの。私なりに罪は背負うわ」
「俺は諦めたくない…」
「でも私とあなたを繋ぐのはこの子だけでしょう?」
確かにそうだ、互いに番を否定している以上、番だからと結婚することは出来ない。繋がっているのは、シエルの中にいる子どもだけ。
その子がいなくなれば全てなくなる。なくなったら、シエルはもう俺に会うこともなくなるだろう。
「もし、俺が君と付き合っていて、番だと分かっていたら、話は違ったのか?」
「そうね…付き合うことはないだろうと思って言ったから、想像したこともないけど、そうだったら今とは違ったでしょうね」
「そうか…結婚は諦めるから、産んで貰えないか?」
ルノーに出来る決断は、一つしか残されていなかった。
「まだいたのね…」
「シエル!」
「私も感情的になって悪かったわ」
「すまない、怒らせているのは分かっている。理由を聞かせて貰えないだろうか…」
再び、ウィロー伯爵邸で話をすることになった。
「番だというのは事実なのね?」
「ああ…従兄弟のリリオンにバレたが、マリオスにも言っていない」
「そう…私はフロランツア侯爵に今は籍があるけど、3歳まではパリム子爵令嬢だったの。随分前のことだから、確かに知らない人がいて当然なんだけど」
「え?」
「やっぱり知らなかったのね、調べればすぐに分かることだけど、探ったりしなかったのね」
「ああ…」
何かあるのだろうとは思ったが、シエルの口から聞くべきだと思った。
「成り行きはあなたと同じだと思うわ」
「え?」
「父が母ではない番を見付けた。父は母を熱烈にアプローチして婚約して、結婚して、私が生まれたの」
「そう、だったのか…」
だが、シエルが母親の生家に戻っているということは、我が家とは違って、離縁したということだ。
「父は当分の間、番を愛人のように囲っていたそうよ。しかも家にも帰って来るの」
「番がいるのに?」
「そう、番に夢中になって帰って来ないってこともあるそうだけど、そうではなかった。母のことも愛していたからだとか何とか言っていたそうだけど、番の方が乗り込んで来てね、今のパリム夫人ね。それで母は私を連れて侯爵家に戻ったの」
「そうだったのか…番が嫌だということなんだよな?」
元々、番というものに憧れてもいなければ、徹底的に避けていたと言えるだろう。
「そうよ、だから抑制剤も欠かしたことはなかったわ。妊娠した今でもね、あの日は保健室で服用した解熱剤がおそらく作用して、抑制剤の効果をなくしてしまったのだろうということだったわ」
「そういうことだったのか」
てっきり服用が出来なかったのだと思ったが、そうではなかった。
「あなたも複雑な立場だってことは理解した。でもだから仕方ないって言って欲しいのか、君には分からないだろうって思っているのだろうとも思ったわ」
「それは…」
確かにシエルに本当に理解して貰うことは出来ないだろうと思っていた。だが、蓋を開けてみれば、まるで同じではないか。
「私は一つだけ、番とは結婚しないということは決めているの。気持ちを捻じ曲げるようなものは要らないの」
「だけど」
「あなたも番だから抱いたんでしょう?おかしいと思うべきだったわね」
「それは否定出来ない」
「私もあなたも番を求めていたわけではない、そうよね?」
「…ああ」
何が言いたいのだろうか、全くいい方に事が運ぶとは思えない。
「子どもが枷になるなら、諦めるしかないと思うの。私なりに罪は背負うわ」
「俺は諦めたくない…」
「でも私とあなたを繋ぐのはこの子だけでしょう?」
確かにそうだ、互いに番を否定している以上、番だからと結婚することは出来ない。繋がっているのは、シエルの中にいる子どもだけ。
その子がいなくなれば全てなくなる。なくなったら、シエルはもう俺に会うこともなくなるだろう。
「もし、俺が君と付き合っていて、番だと分かっていたら、話は違ったのか?」
「そうね…付き合うことはないだろうと思って言ったから、想像したこともないけど、そうだったら今とは違ったでしょうね」
「そうか…結婚は諦めるから、産んで貰えないか?」
ルノーに出来る決断は、一つしか残されていなかった。
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