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もう二度と
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「君はそんな風に思っていたんだな…」
シュアンは執事にミファラはもう部屋に戻って休ませるように言い、ミファラは言われた通りに戻っていった。
「ノラ!いい加減にしろ!」
「当たり前のことを言っただけじゃない、常識でしょう!シュアンも番だからって、目が曇り過ぎなのよ」
「ならば私にも今後は、公私ともに公爵として、対応してくれ」
「…え、何を言ってるの?」
どうしてそんなことを言い出すのかが、ノラには理解が出来なかった。
「私は公爵、君は伯爵令息、夫人だろう?」
「でも、私たちは幼なじみでしょう」
「君が言い出したんじゃないか」
「それは彼女のことであって、私たちのことではないわ!冷静になって」
シュアンと幼なじみで、親しいということは、ノラの立場を強くしていた。
「冷静になるのは君の方だ」
「そうだ、もう失礼しよう。ロークロア公爵、きちんと言って聞かせます。申し訳ございませんでした」
「あなた!」
「今まで幼なじみだからと、調子に乗り過ぎたんだ」
「マグナー、よろしく頼む」
「はい」
リックスはシュアンよりも年下で、本来ならば対等な存在ではない。これ以上、ここにいるのは得策ではないと、納得のいかないノラを無理やり連れ帰った。
「謝りに行ったのに、なぜあのようなことを言った?」
「だって、私は良かれと思って言ってあげているのに、何よ、あの不貞腐れた様子は!あなたも見たでしょう?まるで子どもじゃない!」
「まだ若いことはあるが、家族と引き裂かれたようなものなのだろう?生き甲斐を失ったと思っても、理解が出来るじゃないか、同じ母親ならそう思わないのか?」
ノラの素直で、情に厚いところは良いところではあるが、平等ではない。親身になれとは言わないが、言い方というものがある。
「それはそうだけど…でもシュアンはどうなるのよって思うじゃない」
「ロークロア公爵と呼ぶようにしなさい!お二人の関係はお二人が考えることだ」
「シュアンはシュアンよ!私はずっと気に掛けてあげているのよ!」
「君はなぜそんなに、ロークロア公爵に上からものを言うんだ?」
「えっ?」
「ずっと思っていた。可哀想だからと、見下しているのか?」
ノラからあまりいい家庭環境ではなかったことは聞いていた。
ロークロア公爵が良いと言っているのだからと、何も言わないようにしていたが、正直ノラの態度は図々しいのではないかとずっと感じていた。
「そ、そんなことあるわけないじゃない」
「きちんとした距離を取りなさい。でなければ、何らかの罰もあるかもしれない」
「大袈裟よ!番の前だから気が大きくなっただけでしょう?」
「そうではないことは分かるだろう?まるで君が公爵夫人になったかのように、爵位のことを言うなんて、失礼だと思わないのか?」
一員になったかのように思っているのだろうが、精神が不安定な状態の相手ならば、使う言葉を考えられないノラには難しいだろう。
「でも…」
「爵位のことを理解しているのならば、公爵家のことに口を出すなど、非常識だと分かるだろう?」
「それはそうだけど…」
「ならば男爵家の夫人に意見されたらどう思う?」
「で、でも彼女こそが男爵家なのよ?」
「彼女は君を怒らせたかもしれないが、怪我をさせたのは事実で、伯爵家のことに口を出したわけではない。きちんと理解しなさい」
ノラは返事はしなかったが、リックスは理解して貰うしかないと考えていた。おそらく立場が悪くなるのはノラの方である。
翌日、騎士団で会ったノラは、シュアンにいつものように話し掛けた。
「シュアン!」
「弁えろと言ったはずだが?」
「本気だったの?冗談でしょう?」
「弁えないのならば、もう話す気はない。職務以外で話し掛けないでくれ」
「待ってよ」
その様子を見ていた者もおり、ミファラを怪我させたことも広まり、ノラの立場は明らかに悪くなっていった。
シュアンは執事にミファラはもう部屋に戻って休ませるように言い、ミファラは言われた通りに戻っていった。
「ノラ!いい加減にしろ!」
「当たり前のことを言っただけじゃない、常識でしょう!シュアンも番だからって、目が曇り過ぎなのよ」
「ならば私にも今後は、公私ともに公爵として、対応してくれ」
「…え、何を言ってるの?」
どうしてそんなことを言い出すのかが、ノラには理解が出来なかった。
「私は公爵、君は伯爵令息、夫人だろう?」
「でも、私たちは幼なじみでしょう」
「君が言い出したんじゃないか」
「それは彼女のことであって、私たちのことではないわ!冷静になって」
シュアンと幼なじみで、親しいということは、ノラの立場を強くしていた。
「冷静になるのは君の方だ」
「そうだ、もう失礼しよう。ロークロア公爵、きちんと言って聞かせます。申し訳ございませんでした」
「あなた!」
「今まで幼なじみだからと、調子に乗り過ぎたんだ」
「マグナー、よろしく頼む」
「はい」
リックスはシュアンよりも年下で、本来ならば対等な存在ではない。これ以上、ここにいるのは得策ではないと、納得のいかないノラを無理やり連れ帰った。
「謝りに行ったのに、なぜあのようなことを言った?」
「だって、私は良かれと思って言ってあげているのに、何よ、あの不貞腐れた様子は!あなたも見たでしょう?まるで子どもじゃない!」
「まだ若いことはあるが、家族と引き裂かれたようなものなのだろう?生き甲斐を失ったと思っても、理解が出来るじゃないか、同じ母親ならそう思わないのか?」
ノラの素直で、情に厚いところは良いところではあるが、平等ではない。親身になれとは言わないが、言い方というものがある。
「それはそうだけど…でもシュアンはどうなるのよって思うじゃない」
「ロークロア公爵と呼ぶようにしなさい!お二人の関係はお二人が考えることだ」
「シュアンはシュアンよ!私はずっと気に掛けてあげているのよ!」
「君はなぜそんなに、ロークロア公爵に上からものを言うんだ?」
「えっ?」
「ずっと思っていた。可哀想だからと、見下しているのか?」
ノラからあまりいい家庭環境ではなかったことは聞いていた。
ロークロア公爵が良いと言っているのだからと、何も言わないようにしていたが、正直ノラの態度は図々しいのではないかとずっと感じていた。
「そ、そんなことあるわけないじゃない」
「きちんとした距離を取りなさい。でなければ、何らかの罰もあるかもしれない」
「大袈裟よ!番の前だから気が大きくなっただけでしょう?」
「そうではないことは分かるだろう?まるで君が公爵夫人になったかのように、爵位のことを言うなんて、失礼だと思わないのか?」
一員になったかのように思っているのだろうが、精神が不安定な状態の相手ならば、使う言葉を考えられないノラには難しいだろう。
「でも…」
「爵位のことを理解しているのならば、公爵家のことに口を出すなど、非常識だと分かるだろう?」
「それはそうだけど…」
「ならば男爵家の夫人に意見されたらどう思う?」
「で、でも彼女こそが男爵家なのよ?」
「彼女は君を怒らせたかもしれないが、怪我をさせたのは事実で、伯爵家のことに口を出したわけではない。きちんと理解しなさい」
ノラは返事はしなかったが、リックスは理解して貰うしかないと考えていた。おそらく立場が悪くなるのはノラの方である。
翌日、騎士団で会ったノラは、シュアンにいつものように話し掛けた。
「シュアン!」
「弁えろと言ったはずだが?」
「本気だったの?冗談でしょう?」
「弁えないのならば、もう話す気はない。職務以外で話し掛けないでくれ」
「待ってよ」
その様子を見ていた者もおり、ミファラを怪我させたことも広まり、ノラの立場は明らかに悪くなっていった。
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