【完結】永遠の愛にはイロドリを

野村にれ

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 チェルシーの知らないところでは、キャローズは結局、希望のパーティーには誘われないまま、義両親とも距離を取られており、相手にしてくれるのはシルヴァルだけで、暇を持て余していた。

 そして、生理が遅れていることに気付き、もしかしたら子どもが出来たのではないかと嬉しくなった。だが、同時に子どもを産んだら、モデルは出来るのだろうかと不安にもなった。

 でも、モデルは若い女性もいるが、大人の女性もいる。

 侯爵家でようやく役割が出来て、大人の女性としてモデルになればいいと考え、シルヴァルに相談することにした。

「シルヴァル様、私、妊娠したかもしれない」
「え?」
「赤ちゃんよ」

 キャローズは嬉しそうに、お腹を撫でていたが、シルヴァルは眉間に皺を寄せた。

「私は避妊薬を服用している」
「え…でも、出来る可能性だってあるんじゃないの?」
「ない」

 侯爵令息が、安価な避妊薬を使うはずがない。

「でも、あなたの子以外ありえないわ!」
「だったら、子どもは出来ていないだろう。そもそも、三年は待ってくれと言っただろう?」

 シルヴァルは一瞬、浮気を疑いはしたが、そんなことが出来るような女性だとは思えなかった。契約結婚をした際に、三年は子どもは作れないと話をしていたはずなのに、それも覚えていないことに不信感を感じた。

「そうだけど…」

 キャローズは、あれからパーティーも、モデルの誘いもないことが不満だった。それでも実家には手紙が届いていないか確認は欠かさない。

 一週間、二週間、三週間経っても、キャローズに生理は来なかった。

 シルヴァル意外と関係を持っていないために、妊娠しているならシルヴァルの子ども以外あり得ない。だが、まだ子どもを産むことは出来ないと言われているために、どうしたらいいのかと思っていた。

 もし、妊娠していたら、今は諦めるように言われるのではないか。そんなことは出来ないと、すっかり母性を持ったキャローズは、生理が来たと嘘をついた。

 だが、一ヶ月が過ぎても来なかった。

 避妊薬は絶対ではなかったのだと、間違いなく妊娠していると確信したキャローズは、母親になれるのだ。この子は侯爵家の後継者になるのだと、嬉しく思った。

 どのくらい経てば、産むしかないとなるのかは、分からなかったが、また生理が来ない、前も生理ではなかったかもしれないとシルヴァルに打ち明けることにした。

「また?」
「ええ…お医者様を呼んで貰うことは出来ない?」
「そうだな、何か病気かもしれないし、診て貰おう」
「ありがとう」

 心配そうなシルヴァルに、キャローズは浮足立っていた。

 侍医を呼んで、邸で世話をしている女性の生理が遅れている、病気かもしれないと伝えて、キャローズは診察を受けることになった。

 念のために尿を取って、検査ステックで妊娠の可能性も調べることになった。

 診察は恥ずかしかったが、病気かもしれないと思わせて、妊娠していたなど、なんてロマンティックなのだろうと、キャローズは笑みを抑えるのが大変であった。

 妊娠の有無の結果が出るまで時間が掛かるために、キャローズはベットで待つことになった。

 その間、侍医とシルヴァルは別室で話をしていた。

「子宮の動きが悪いかもしれませんね…」
「何か病気なのか」
「詳しい検査をしてみないと分かりませんね」
「そうなのか」
「ええ、若い女性なので、今後妊娠を考えているでしょうから、一度、病院で調べてみた方がいいかもしれませんね」

 侍医は弁えているので、愛人なのかなどと問うことはない。そして、妊娠の方も結果が出た。

「やはり妊娠はしていませんね」
「そうか」

 そのまま侍医には帰って貰い、シルヴァルが話をすることにした。

「結果は出たの?」

 キャローズはわざと、しおらしく訊ねてみることにした。
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