【完結】あの子の代わり

野村にれ

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同居する両親

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 ベルーナにも、両親にも結婚したことを知らせ、父・イサードと母・マイルダが、こちらの邸に住んでもいいかとまで言い出した。

 しかも、二人が並んで座っていることにルイフォードは驚いた。いつの間にやら、夫婦仲まで良くなっていたのか?

「ルイフォードがいない間に、何かあったらいけないでしょう?」
「そうだ、私たちも何かしたいんだ」
「猫に会いたいと言っていたから、一緒に連れて来るわ」

 マイルダがベルアンジュに邸に猫が2匹いるのだと話し、盛り上がっていたことを思い出した。

「あちらはどうするんだ?」
「必要な時は、向こうに行くこともあるだろうから、そのままにしておくよ。私たちがいても居なくても、やることはそう変わりないからな」

 誰も住まないということは出来ないので、使用人はおり、掃除だって行われている。いないことで楽になるのは二人分の洗濯や食事くらいだろう。

「ベルアンジュに聞いてみて、いいと言うのなら…私はいいですが」
「それならもう許可を貰っているわ」
「は?」

 息子の方が後だったのか、ベルアンジュに直接聞けば、嫌だと言えるわけないじゃないか。

「猫ちゃんたちはは邸が変わって、大丈夫かしらって心配していたわ」

 すっかり猫に会えることを楽しみにしてしまっているではないか、許可するしかないではないか。

「分かったよ…」
「じゃあ、明日には必要な荷物を運んで来るよ」
「明日は忙しくなるわね、ベルアンジュに挨拶して、今日はもう帰るわ」

 手際がいいというか、既に手配しているではないか。

 翌日には意気揚々と運んで来て、家具などはないので、大掛かりというほどではないが、それなりの量はあった。

 ベルアンジュは猫じゃらしを片手に、邸を散策する2匹の猫に夢中になっている。

「ルル~ベベ~」

 ルルが白黒、ベベが白茶の猫である。

 ルイフォードも嬉しそうなベルアンジュの姿に、両親ではなく、猫だけで良かったのではないかとすら思った。

 マイルダが微笑みながら、見守っているルイフォードに声を掛けた。

「ルイフォード、運命だと思わない?」
「何が?」
「ルルとベベ、二人の名前の頭文字じゃない」
「あ、ああ…そうだな」
「こんなことは言いたくないけど、子どもの名前は…どうするの?」
「ベルアンジュに考えてもらいたいと思っているんだが」

 ルイフォードはちらりと、マイルダを見た。

「もしかして、私たちが反対するとでも思っているの?」
「口は出したいかと思って」
「二人に任せるわ、私たちは後方支援なんだから。遅いけど、シュリーはわざわざ知らせてはいないけど、出入り禁止にしたから、ごめんなさい…本当に」

 シュリーはルイフォードを襲った従妹である、当時13歳だったルイフォードに、服を脱ぎながら迫って来る17歳のシュリーは恐ろしかった。

 まだ背が伸びていなかったルイフォードには、体が強張ってしまい、シュリーを躱すことは出来なかった。身体を舐められたりはしたが、そこで使用人が気付いて止めてくれたので、事なきを得た。

 使用人は今でもシュリーを痴女と呼んでいる。

「もういいよ、ベルアンジュに出会うためだったと思えば、何だっていい」

 ベルアンジュは座り込んで、猫じゃらしを振っており、2匹が一生懸命、捕まえようとしている。楽しそうで何よりである。

 その夕食時は、いつも以上に賑やかであった。親子でこんなに明るい食事は初めてであった。ベルアンジュは、動物のいる生活は初めてで、とても楽しかった、明日も遊んでくれるかしらと嬉しそうに話していた。

 そして、ルイフォードは日課である、ベルアンジュにおやすみの挨拶に行った際に、子どもの名前のことを話すことにした。

 先延ばしにしている時間で後悔したくない。
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