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許さない
「死ねばいいのに」
それが結婚後のアリルール・モンカールの口癖だった。
結婚前の口癖は「死ね」だった。
彼女は元々このアニノー王国の第二王女であった。王妃は公爵家の由緒正しい血筋で、生まれだけは完璧であった。
だが極度の人見知りで、姉の影にそっと隠れるような少女であった。
ただある日、手に取った一冊の本によって、絵画の世界にのめり込み、変わり者となった。だが、才能があるわけではない。
それなりの絵は描けるようになったが、下手の横好きであった。それでも彼女は王宮という不自由な生活の中で自由に生きていた。
年に何度か訪れるアリルールも絶対に出席するように言われた夜会で、隠れて休んでいた際に現在の夫に無理矢理抱かれることになった。
夜会の際は王宮の部屋を借りていることも多く連れ込まれて、アリルールは絵しか描いていないので非力で、最初は怯えて嫌だ痛いと泣き喚いて、それでも相手は止めず、行為が終わった一瞬の隙を突いて逃げ出した。
「死ね!糞野郎!今度私に姿を見せたら殺す」と言い放ち、ブランケットを被って逃げ、中に強姦魔がいると警備に言い去った。
相手が下級貴族や平民であれば問答無用で処刑であっただろうが、相手は母の生家とも親しい公爵家の嫡男メイファス・モンカールであった。
騎士団では未来のエースと言われて、長身で筋肉質で、女性にも困らない公爵家の嫡男。非の打ち所がないと言われて、本人も調子に乗っているところもあった。
番が見付かっても、相手は喜ぶだろうと思っていたが、相手が悪かった。
アリルールは変わり者ではあるが、末っ子で甘やかされたこともあり、言いたいことはしっかり言う子であった。
「殺してください、必ず」
国王陛下はボロボロの姿で現れたアリルールに驚いた。いつものように夜会から抜け出して部屋にいると思っていたからであった。
涙を流しながら怒った様子で、夜会で強姦にあったことと証拠品ですとメイファスからむしり取ったのであろう髪の毛が置かれた。
どこの誰だ!捕まえて処刑だと国王陛下も最初は思ったが、相手が分かって頭を抱えた。
そして、公爵夫妻とメイファスも王宮にやって来て、膝をついて頭を下げて、国王夫妻と王太子を頭を下げて待ち構えていた。
「愚息が一目惚れした王女殿下に本当に申し訳ないことをいたしました。死んでも許されることでもないのは承知での上で、必ず大事にいたしますので、どうか婚約させていただけませんでしょうか」
話しているのは公爵だが、三人は床に頭を擦りつけたままである。メイファスは殴られたのか、左頬が赤くなっている。
アリルールは社交界にあまり顔を出さないために、病弱だと思われているが実際は違う。メイファスとも会ったことはあったが、幼い頃でお互いに記憶がなかった。
「メイファスには婚約者がおらぬかったか?」
「以前はおりましたが、元々仮婚約で、一年前に白紙に戻しており、彼女は既に嫁いでおります」
「アリルールがメイファスの番なのですね?」
「…はっ、はい」
「そういうことだろうと思ったよ、でなければきちんと筋を通したであろう?」
国王夫妻も娘が傷付けられたのに冷静だったのは、メイファスの番がアリルールなのだろうと答えが出ていたからであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
再びの番話の前日譚です。
過激な話を書こうと思っていたのですが、
途中まで書いて投稿していなかった話が出てきまして、
そちらを先に投稿することにしました。
舞台は「私は運命なのですか」に出てきたアニノー王国です。
本日は初日ですので、1日2話投稿させていただきます。
次は17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
それが結婚後のアリルール・モンカールの口癖だった。
結婚前の口癖は「死ね」だった。
彼女は元々このアニノー王国の第二王女であった。王妃は公爵家の由緒正しい血筋で、生まれだけは完璧であった。
だが極度の人見知りで、姉の影にそっと隠れるような少女であった。
ただある日、手に取った一冊の本によって、絵画の世界にのめり込み、変わり者となった。だが、才能があるわけではない。
それなりの絵は描けるようになったが、下手の横好きであった。それでも彼女は王宮という不自由な生活の中で自由に生きていた。
年に何度か訪れるアリルールも絶対に出席するように言われた夜会で、隠れて休んでいた際に現在の夫に無理矢理抱かれることになった。
夜会の際は王宮の部屋を借りていることも多く連れ込まれて、アリルールは絵しか描いていないので非力で、最初は怯えて嫌だ痛いと泣き喚いて、それでも相手は止めず、行為が終わった一瞬の隙を突いて逃げ出した。
「死ね!糞野郎!今度私に姿を見せたら殺す」と言い放ち、ブランケットを被って逃げ、中に強姦魔がいると警備に言い去った。
相手が下級貴族や平民であれば問答無用で処刑であっただろうが、相手は母の生家とも親しい公爵家の嫡男メイファス・モンカールであった。
騎士団では未来のエースと言われて、長身で筋肉質で、女性にも困らない公爵家の嫡男。非の打ち所がないと言われて、本人も調子に乗っているところもあった。
番が見付かっても、相手は喜ぶだろうと思っていたが、相手が悪かった。
アリルールは変わり者ではあるが、末っ子で甘やかされたこともあり、言いたいことはしっかり言う子であった。
「殺してください、必ず」
国王陛下はボロボロの姿で現れたアリルールに驚いた。いつものように夜会から抜け出して部屋にいると思っていたからであった。
涙を流しながら怒った様子で、夜会で強姦にあったことと証拠品ですとメイファスからむしり取ったのであろう髪の毛が置かれた。
どこの誰だ!捕まえて処刑だと国王陛下も最初は思ったが、相手が分かって頭を抱えた。
そして、公爵夫妻とメイファスも王宮にやって来て、膝をついて頭を下げて、国王夫妻と王太子を頭を下げて待ち構えていた。
「愚息が一目惚れした王女殿下に本当に申し訳ないことをいたしました。死んでも許されることでもないのは承知での上で、必ず大事にいたしますので、どうか婚約させていただけませんでしょうか」
話しているのは公爵だが、三人は床に頭を擦りつけたままである。メイファスは殴られたのか、左頬が赤くなっている。
アリルールは社交界にあまり顔を出さないために、病弱だと思われているが実際は違う。メイファスとも会ったことはあったが、幼い頃でお互いに記憶がなかった。
「メイファスには婚約者がおらぬかったか?」
「以前はおりましたが、元々仮婚約で、一年前に白紙に戻しており、彼女は既に嫁いでおります」
「アリルールがメイファスの番なのですね?」
「…はっ、はい」
「そういうことだろうと思ったよ、でなければきちんと筋を通したであろう?」
国王夫妻も娘が傷付けられたのに冷静だったのは、メイファスの番がアリルールなのだろうと答えが出ていたからであった。
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お読みいただきありがとうございます。
再びの番話の前日譚です。
過激な話を書こうと思っていたのですが、
途中まで書いて投稿していなかった話が出てきまして、
そちらを先に投稿することにしました。
舞台は「私は運命なのですか」に出てきたアニノー王国です。
本日は初日ですので、1日2話投稿させていただきます。
次は17時です。
どうぞよろしくお願いいたします。
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