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謝罪1
リトラーズが言うように、メイファスが国に必要な人間だと分かってはいる。
何をしたか公表しても、女性は同情する者もいるかもしれないが、メイファスが相手ならと馬鹿なことを言い出す者もいるかもしれない。
男性はリトラーズのように考え、何もしていないアリルールが責められることになるかもしれない。
だからこそ、モンカール公爵家を怒鳴り付けることはせず、現状を突きつけた。だが、エリアンはアリルールの傷を無視して嫁がせたところで、誰も幸せになどなれないのではないかと思ってはいる。
数日が経ち、アリルールは塞ぎ込むことなく、ハイザートとエリアンは絵を描いていることにホッとした。
怒りで気が立っていたが、いずれ恐怖で何もできなくなってしまうのではないかと危惧していたからだった。
「具合はどうだ?」
ハイザートとエリアンが部屋に見舞うと、視線はいつもより鋭かった。
「大変悪いです、体も痛み、痣も消えません。心の傷は一生消えません」
「そうだな……」
被害者にしか分からない痛みがある。メイファスは誰でもいいからと襲ったわけではないだろうが、アリルールにしてみればそれと変わらない。
「無理矢理に嫁がせるのなら、私は強姦されたと訴えます」
「そんなこと……」
「あなたも傷付くことになるわ」
「被害者は辛い、痛いと声を上げてはならないのですか?相手が国に必要だから、私は黙って生きろと?」
「そうではないわ、でも番だからと言われてしまうのよ。無理もないことだった、傷付ける気はなかったと……そんなこと言われたくないでしょう?」
メイファスは自分の物にしたいという本能で動き、婚約・結婚したいと言っている。順番を間違えただけで気持ちは本物だと言い出すだろう。
「もう傷付きました、これ以上何に傷付くことがあるのでしょうか。お母様には知らない男に襲われる夢を見て飛び起きたことがありますか」
「……ないわ」
「そうでしょう?お兄様も同じ目に遭ったことがないから分からない。お姉様には心配させてはお体に障るので手紙は出しておりません。優しいでしょう?」
マイリークはオーサラ王国の王太子に嫁いでおり、第二子を妊娠中であった。
「メイファスが一度、謝罪をしたいと言っている」
「謝罪ではなく、処刑でしょう?」
「処刑はできない。アリルールが責められることになる可能性もある」
「どうして?不出来でも私は王女だったはずです」
「アリルールの気持ちは分かった。謝罪は難しいと伝える」
たかが数日で落ち着き、気持ちが変わるはずはないと思っていたが、憎悪は深まっているように感じた。
モンカール公爵家からは何度もアリルールにまずは謝罪をさせて欲しいと願われることになった。
今回のことは外には洩れておらず、ただ日に日にやつれて、訓練にも身が入らないメイファスがどうしたんだと言われるだけで、見兼ねたリトラーズが会わせるように取り計らうことにした。
アリルールには何も言わずに応接室に連れて行き、メイファスは土下座して待ち構えていた。
「謝って済むことではありませんが、本当に申し訳ありませんでした」
「お兄様どういうことですか、これから処刑されますの?」
「違う!謝罪をしたいということだ、許さなくていいから聞いてやれ」
あの日以来、初めて顔を合わせたが、黒髪に青い目のメイファスはアリルールにとって忘れたくても忘れられない忌々しい存在であった。
まともに食事が摂れず頬がへこんでいたが、アリルールはそんな些細な変化には気付けない。
「絶対にそばに寄らないでください!喉が切れても、大声を出します」
「しょ、承知いたしました」
メイファスは彼女に恨まれていることは承知の上だったが、運命に拒絶されたことに改めてショックを受けた。
何をしたか公表しても、女性は同情する者もいるかもしれないが、メイファスが相手ならと馬鹿なことを言い出す者もいるかもしれない。
男性はリトラーズのように考え、何もしていないアリルールが責められることになるかもしれない。
だからこそ、モンカール公爵家を怒鳴り付けることはせず、現状を突きつけた。だが、エリアンはアリルールの傷を無視して嫁がせたところで、誰も幸せになどなれないのではないかと思ってはいる。
数日が経ち、アリルールは塞ぎ込むことなく、ハイザートとエリアンは絵を描いていることにホッとした。
怒りで気が立っていたが、いずれ恐怖で何もできなくなってしまうのではないかと危惧していたからだった。
「具合はどうだ?」
ハイザートとエリアンが部屋に見舞うと、視線はいつもより鋭かった。
「大変悪いです、体も痛み、痣も消えません。心の傷は一生消えません」
「そうだな……」
被害者にしか分からない痛みがある。メイファスは誰でもいいからと襲ったわけではないだろうが、アリルールにしてみればそれと変わらない。
「無理矢理に嫁がせるのなら、私は強姦されたと訴えます」
「そんなこと……」
「あなたも傷付くことになるわ」
「被害者は辛い、痛いと声を上げてはならないのですか?相手が国に必要だから、私は黙って生きろと?」
「そうではないわ、でも番だからと言われてしまうのよ。無理もないことだった、傷付ける気はなかったと……そんなこと言われたくないでしょう?」
メイファスは自分の物にしたいという本能で動き、婚約・結婚したいと言っている。順番を間違えただけで気持ちは本物だと言い出すだろう。
「もう傷付きました、これ以上何に傷付くことがあるのでしょうか。お母様には知らない男に襲われる夢を見て飛び起きたことがありますか」
「……ないわ」
「そうでしょう?お兄様も同じ目に遭ったことがないから分からない。お姉様には心配させてはお体に障るので手紙は出しておりません。優しいでしょう?」
マイリークはオーサラ王国の王太子に嫁いでおり、第二子を妊娠中であった。
「メイファスが一度、謝罪をしたいと言っている」
「謝罪ではなく、処刑でしょう?」
「処刑はできない。アリルールが責められることになる可能性もある」
「どうして?不出来でも私は王女だったはずです」
「アリルールの気持ちは分かった。謝罪は難しいと伝える」
たかが数日で落ち着き、気持ちが変わるはずはないと思っていたが、憎悪は深まっているように感じた。
モンカール公爵家からは何度もアリルールにまずは謝罪をさせて欲しいと願われることになった。
今回のことは外には洩れておらず、ただ日に日にやつれて、訓練にも身が入らないメイファスがどうしたんだと言われるだけで、見兼ねたリトラーズが会わせるように取り計らうことにした。
アリルールには何も言わずに応接室に連れて行き、メイファスは土下座して待ち構えていた。
「謝って済むことではありませんが、本当に申し訳ありませんでした」
「お兄様どういうことですか、これから処刑されますの?」
「違う!謝罪をしたいということだ、許さなくていいから聞いてやれ」
あの日以来、初めて顔を合わせたが、黒髪に青い目のメイファスはアリルールにとって忘れたくても忘れられない忌々しい存在であった。
まともに食事が摂れず頬がへこんでいたが、アリルールはそんな些細な変化には気付けない。
「絶対にそばに寄らないでください!喉が切れても、大声を出します」
「しょ、承知いたしました」
メイファスは彼女に恨まれていることは承知の上だったが、運命に拒絶されたことに改めてショックを受けた。
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