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不思議
「あなた、えっと旦那様。家族には言わないから正直に答えて欲しいのだけど、愛人とか番とかがいるの?別邸があるのかしら?」
「いえ、いいえ、そのような者はおりません!なぜそのように思われたのですか」
「七年前に結婚したというのに、私の部屋も王宮と変わらなかったから、旦那様と想い合っている感じがしないからかしら」
まるで王宮と同じ部屋のようで、怪我のこともあるが食事も運ばれて来て、洗濯や入浴も同じだった。
「それは、私の片思いですので」
「そう……」
アリルールは腑には落ちなかったが、これからこの邸で何をすればいいのか確認をしておかなければならない。
「何か決めごとなどあるのかしら?私なら言いそうだわ」
「自由に過ごすことでしょうか」
「絵を描きたいからということね。では赴くままに過ごさせていただくわ。何かあれば聞くけど、いかがかしら?」
「いえ、今はお身体を優先して当分はゆっくりなさってください」
アリルールのことで邸は騒がしくなっていたが、ついにルーファスに記憶喪失のことを話して、アリルールに会わせることになった。
メイファスが部屋にルーファスを連れて行くと、アリルールはじっと見つめたが、何を言ったらいいのか分からなかった。
「ルーファス?」
「はい……」
ルーファスはそばに寄ろうとはせずに、メイファスは促したが首を振った。母親だとは分かっていたが、これまで関わりのなかったアリルールに記憶があってもなくても、ルーファスに変わりはなかった。
「いいのよ、時間を取って悪かったわね。顔を見せてくれてありがとう」
「いいえ」
メイファスはルーファスを部屋に戻すと、アリルールの元へ戻って来た。
「嫌われているみたいね、でも何だか納得だわ」
自分が母親であることも受け止められていなかったが、産んだことも半信半疑ではあるが、嫌われていることには酷く納得していた。
変わり者の王女であった自分が、母親になったからと変わったとは思えなかったのである。
「ルーファスの面倒は別の方がみているのでしょう?私ではなかった、違う?」
「それは貴族家ではよくあることですから!」
ルーファスの対応に仲が良かったと嘘は付けず、だが高位貴族夫人は忙しいために、子どもを母親がべったり育てることのほうが少ないくらいである。
「無理に連れて来なくていいですから」
「いいえ、恥ずかしがっているのです」
「大丈夫よ、変わり者だと思われているのも慣れているし、母親もきっと向いていなかったのね。彼の気持ちを曲げることはやめてあげて」
「ですが、はい……」
メイファスもエリアンが言っていたように、アリルールとルーファスの関係も変わるのではないかと期待していたが、ルーファスは記憶を失ったって言われても困ると言われてしまったのである。
アリルールの言うように無理強いをしても、きっと上手くいかない。少しずつにしようとメイファスも考えを改めた。
ただ王家でもハイザートだけは、アリルールに事実を告げなくて、大丈夫なのだろうかという思いが強かった。
「覚えていなくてももう一度説明して話しておいた方がいいのではないか。記憶が戻った時のことを考えるべきだと思うのだが……」
「これで歩み寄ってくれれば、戻った時にも違うかもしれないわ」
「だがな、あの子は医師の強い子だ。何か良くないことになったら後悔することになるだろう?」
「あなたは考え過ぎよ」
ハイザートとエリアンだと、アリルールに甘いのは確かに父親のほうであった。
それでもハイザートはそうだろうかと思いながら、数ヶ月が経ち、アリルールの骨折も無事に治った。メイファスはアリルールとお茶や買い物、食事に行ったりもして、誰もがこのまま記憶が戻らなければと願い続けていた。
「いえ、いいえ、そのような者はおりません!なぜそのように思われたのですか」
「七年前に結婚したというのに、私の部屋も王宮と変わらなかったから、旦那様と想い合っている感じがしないからかしら」
まるで王宮と同じ部屋のようで、怪我のこともあるが食事も運ばれて来て、洗濯や入浴も同じだった。
「それは、私の片思いですので」
「そう……」
アリルールは腑には落ちなかったが、これからこの邸で何をすればいいのか確認をしておかなければならない。
「何か決めごとなどあるのかしら?私なら言いそうだわ」
「自由に過ごすことでしょうか」
「絵を描きたいからということね。では赴くままに過ごさせていただくわ。何かあれば聞くけど、いかがかしら?」
「いえ、今はお身体を優先して当分はゆっくりなさってください」
アリルールのことで邸は騒がしくなっていたが、ついにルーファスに記憶喪失のことを話して、アリルールに会わせることになった。
メイファスが部屋にルーファスを連れて行くと、アリルールはじっと見つめたが、何を言ったらいいのか分からなかった。
「ルーファス?」
「はい……」
ルーファスはそばに寄ろうとはせずに、メイファスは促したが首を振った。母親だとは分かっていたが、これまで関わりのなかったアリルールに記憶があってもなくても、ルーファスに変わりはなかった。
「いいのよ、時間を取って悪かったわね。顔を見せてくれてありがとう」
「いいえ」
メイファスはルーファスを部屋に戻すと、アリルールの元へ戻って来た。
「嫌われているみたいね、でも何だか納得だわ」
自分が母親であることも受け止められていなかったが、産んだことも半信半疑ではあるが、嫌われていることには酷く納得していた。
変わり者の王女であった自分が、母親になったからと変わったとは思えなかったのである。
「ルーファスの面倒は別の方がみているのでしょう?私ではなかった、違う?」
「それは貴族家ではよくあることですから!」
ルーファスの対応に仲が良かったと嘘は付けず、だが高位貴族夫人は忙しいために、子どもを母親がべったり育てることのほうが少ないくらいである。
「無理に連れて来なくていいですから」
「いいえ、恥ずかしがっているのです」
「大丈夫よ、変わり者だと思われているのも慣れているし、母親もきっと向いていなかったのね。彼の気持ちを曲げることはやめてあげて」
「ですが、はい……」
メイファスもエリアンが言っていたように、アリルールとルーファスの関係も変わるのではないかと期待していたが、ルーファスは記憶を失ったって言われても困ると言われてしまったのである。
アリルールの言うように無理強いをしても、きっと上手くいかない。少しずつにしようとメイファスも考えを改めた。
ただ王家でもハイザートだけは、アリルールに事実を告げなくて、大丈夫なのだろうかという思いが強かった。
「覚えていなくてももう一度説明して話しておいた方がいいのではないか。記憶が戻った時のことを考えるべきだと思うのだが……」
「これで歩み寄ってくれれば、戻った時にも違うかもしれないわ」
「だがな、あの子は医師の強い子だ。何か良くないことになったら後悔することになるだろう?」
「あなたは考え過ぎよ」
ハイザートとエリアンだと、アリルールに甘いのは確かに父親のほうであった。
それでもハイザートはそうだろうかと思いながら、数ヶ月が経ち、アリルールの骨折も無事に治った。メイファスはアリルールとお茶や買い物、食事に行ったりもして、誰もがこのまま記憶が戻らなければと願い続けていた。
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