【完結】メイド・マイ・デイ

野村にれ

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出会い

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 妖である天宮英仁あまみやえいじんは、様々な会社を経営する会長であった。

 耳に掛かるくらいの漆黒の髪に、赤みを含んだ黒い瞳、高い鼻、上唇が薄い唇、183センチの身長に、鍛えられた逞しい体。

 奥二重まぶたで、まつ毛は長く、涼しげな瞳は、視線を向けるだけで、勘違いする女性が現れる。

 本人は年齢は覚えていないというが、見た目は20代後半くらいにしか見えない。

 長寿であるために子孫もたくさんおり、会社は既に任せており、やりたいことはやり尽くしており、求めているのは運命の相手だけであった。

 その日、ホテルには交流会という名目で、多くの子息子女が集めらていた。

 伝手が必要になるために、誰でも入れるわけではないが、社長の子息や子女、芸能関係の女性、経営者の男性など、運命の相手に選ばれなくとも、妖と繋がりができることを期待して参加をする。

 資産家や投資家も多いために、援助を期待している人も多い。

 現在、運命の相手がいる妖は参加しないが、それ以外の妖が一堂に会することはあっても、人間が入れることはなかなかない。

 英仁はその中に、甘い桃の香りのする女性を見付けた。

 すぐさま抱きしめたいところだったが、紳士的に声を掛けた。

「お嬢さん」
「は、はい?」

 声を掛けられたのは、着物を着た中肉中背で、丸顔で大きな瞳をした田生涼希たおいりょうきであった。

「運命の相手だ……久し振りだな。いや、君には分からないか」
「っえ、私?嘘っ、本当に?」

 涼希は両手をバタバタさせており、そんな姿も可愛らしく思った。

「名前は何という?」
「はい、田生涼希といいます」
「涼希か、いい名前だな」
「ありがとうございます。あっ、えっ、まだ信じられないです」
「無理もないが」

 英仁はこれまでの運命の相手を覚えているが、相手に記憶はない。

「何歳だ?」
「25歳です」
「そうか」
「あっ!マ、ママッ!」

 涼希は人で見えなくなっていたが、近くにいた母親を呼び寄せた。母親は細面の顔だったが、大きな瞳は同じで、恐る恐る近付いた。

「どうしたの?」
「私が天宮さんの運命の相手だって」
「嘘っ、本当でございますか?」

 妖はいくら見た目が20代であっても、年上であるために、母・美里は高ぶる気持ちを抑えて、丁寧に訊ねた。

「ああ、間違いない。記憶がないことが悔やまれるな。何度生まれ変わっても、分かるさ」
「ええ、そうなんですか」

 涼希は美里の肩を叩き、悶えていた。

「私の夫の親族が、約百年前に運命の相手に選ばれたことがあるのです」
「そうか、ではその者に感謝をしなくてはいけないな」

 田生家は会社を経営しているわけではなく、父親は会社員で、無理矢理パーティーに参加していたのは、遠い縁者の伝手であった。

「はい!では、涼希と結婚をということですか?」
「ああ、もちろんだ。許可をいただけるかな?」
「ええ、よろしくお願いいたします」

 美里は何度も頭を下げており、その様子に別の妖の方たちも近付いて来た。

「英仁、見付かったのか?」
「ああ」
「おお!それはめでたいな」

 おめでとう、おめでとうと歓声と拍手が響き渡り、その日のパーティーの主役は英仁と涼希になった。

 実はその場には父親はいなかったが、花穂はなほという涼希の姉も、一緒に参加していたが、別の人と話している間に妹が運命の相手に選ばれていた。

「ママ、涼希が選ばれたの?」
「お姉ちゃん、そうなの!天宮さんの運命の相手だったんですって!無理を言って、参加させてもらって良かったわ」
「ビックリね」
「ママも驚いてしまったわ!でもね、間違いないって」
「パパに連絡したら?」
「そんなの後でいいわよ」

 美里はすっかり舞い上がっており、花穂はその様子に冷静になっていた。
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