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「私は母を殺した人間です」
「あなたが殺したわけではありません。戻れば、そちらも避けることは、できると、思います」
言い辛そうに答えているのは、縁結びや人間関係の調和する神であるククリ姫であった。
「あなたも殺される予定ではなかったのです」
「私は戻ったら、復讐をしますよ」
「それでも構いません」
ククリ姫と対峙しているのは、無残に命を奪われた女性であった。
三人の子を産み、これからも生きていくはずだった。
だが、こちらのせいで、亡くなることになってしまった。
「いいのですか?殺し屋を放つようなものですよ?」
「っ、はい、あなたの希望はすべて受け入れるように言われております」
ある事件によって、日本の均衡が崩れることになった。
その被害者が目の前の彼女である。他にも多くの命が奪われることにもなった。
「あのような形になったとはいえ、なかったことにするなど、あなたにはふざけるなという思いでしょう」
「はい」
こちらの勝手な事情で、酷い形で亡くなることになったことを、なかったことにしたいと言っているために、彼女には許せないだろうと思うが、受け入れてもらわなくてはならない。
「これで終わりですから、何があっても今回で終わりです」
「そう聞きました」
彼女は既に謝罪、なぜこのようなことになったかは説明を受けている。
「決まっていることですから、25回目です」
「本当は終わったことですよね?」
「はい、その通りです」
「こんな風に神様をなじってはいけませんね」
ククリ姫が、クレーマーに怒られている姿と重なった。
「いいえ、あなたは何の落ち度もなかった。全てはこちらの事情ですから、受け入れていただけますか?」
「受け入れないと終わらないのでしょう?」
「はい……それで、希望はありますか?」
「アレと同じことはできるのですか?」
「えっ」
「このまま戻れば、同じことになるのでしょう。だったら、同じにしてください」
可能ではあるが、意に反することではあるが、戻ってもらわなくてはならないために、何でも受け入れるように言われている。
「30歳までです。それ以上は無理です」
「十分です。ありがとうございます」
ようやく、彼女の笑顔が見れて、ホッとはしたが、目の奥は笑っていない。
あんな目に遭ったのだから、当然だろう。
「本当に申し訳ありませんでした」
ククリ姫は頭を下げて、送り出すしかなかった―――。
この世には妖と呼ばれる存在がいる。
これまでは物語の中の存在であったが、見た目が変わらないことで、生きにくいことから、ここ百年、二百年で正式に認められた存在である。
妖と人間の違いは多くあるが、一番の差は寿命だろう。
正確には妖は老いることはないために、寿命という概念はない。
今までは戸籍を上手く操作していたが、今では200歳以上の人間ではない存在がいる。
そして、妖には運命の相手がおり、これまで運命の相手を出した家は素質があるとされて、多くの子息子女が集められる。富裕層の妖に、選ばれることは一族の繁栄を約束されるものであった。
圧倒的に男性の多い妖の世界は、妖であるために好まれる例えではないのかもしれないが、人間の間ではシンデレラストーリーと言われている。
重すぎるほど愛され、何でも欲しい物は手に入れられる。
妖からすると、運命の相手は、かぶりつきたくなる桃のような存在だと言われている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただきありがとうございます。
別の日本の作品も書いているのですが、
ガツンとした別の話も書きたくなってしまい、
テーマは愛と復讐です。
同じ世界観ではないですが、
こちらはこちらで楽しんでいただけたらと思います。
現在、連載中の作品を優先するようになるかもしれませんが、
お読みいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
「あなたが殺したわけではありません。戻れば、そちらも避けることは、できると、思います」
言い辛そうに答えているのは、縁結びや人間関係の調和する神であるククリ姫であった。
「あなたも殺される予定ではなかったのです」
「私は戻ったら、復讐をしますよ」
「それでも構いません」
ククリ姫と対峙しているのは、無残に命を奪われた女性であった。
三人の子を産み、これからも生きていくはずだった。
だが、こちらのせいで、亡くなることになってしまった。
「いいのですか?殺し屋を放つようなものですよ?」
「っ、はい、あなたの希望はすべて受け入れるように言われております」
ある事件によって、日本の均衡が崩れることになった。
その被害者が目の前の彼女である。他にも多くの命が奪われることにもなった。
「あのような形になったとはいえ、なかったことにするなど、あなたにはふざけるなという思いでしょう」
「はい」
こちらの勝手な事情で、酷い形で亡くなることになったことを、なかったことにしたいと言っているために、彼女には許せないだろうと思うが、受け入れてもらわなくてはならない。
「これで終わりですから、何があっても今回で終わりです」
「そう聞きました」
彼女は既に謝罪、なぜこのようなことになったかは説明を受けている。
「決まっていることですから、25回目です」
「本当は終わったことですよね?」
「はい、その通りです」
「こんな風に神様をなじってはいけませんね」
ククリ姫が、クレーマーに怒られている姿と重なった。
「いいえ、あなたは何の落ち度もなかった。全てはこちらの事情ですから、受け入れていただけますか?」
「受け入れないと終わらないのでしょう?」
「はい……それで、希望はありますか?」
「アレと同じことはできるのですか?」
「えっ」
「このまま戻れば、同じことになるのでしょう。だったら、同じにしてください」
可能ではあるが、意に反することではあるが、戻ってもらわなくてはならないために、何でも受け入れるように言われている。
「30歳までです。それ以上は無理です」
「十分です。ありがとうございます」
ようやく、彼女の笑顔が見れて、ホッとはしたが、目の奥は笑っていない。
あんな目に遭ったのだから、当然だろう。
「本当に申し訳ありませんでした」
ククリ姫は頭を下げて、送り出すしかなかった―――。
この世には妖と呼ばれる存在がいる。
これまでは物語の中の存在であったが、見た目が変わらないことで、生きにくいことから、ここ百年、二百年で正式に認められた存在である。
妖と人間の違いは多くあるが、一番の差は寿命だろう。
正確には妖は老いることはないために、寿命という概念はない。
今までは戸籍を上手く操作していたが、今では200歳以上の人間ではない存在がいる。
そして、妖には運命の相手がおり、これまで運命の相手を出した家は素質があるとされて、多くの子息子女が集められる。富裕層の妖に、選ばれることは一族の繁栄を約束されるものであった。
圧倒的に男性の多い妖の世界は、妖であるために好まれる例えではないのかもしれないが、人間の間ではシンデレラストーリーと言われている。
重すぎるほど愛され、何でも欲しい物は手に入れられる。
妖からすると、運命の相手は、かぶりつきたくなる桃のような存在だと言われている。
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お読みいただきありがとうございます。
別の日本の作品も書いているのですが、
ガツンとした別の話も書きたくなってしまい、
テーマは愛と復讐です。
同じ世界観ではないですが、
こちらはこちらで楽しんでいただけたらと思います。
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お読みいただけると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
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