【完結】メイド・マイ・デイ

野村にれ

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復讐2

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「美里叔母さんの電話を私が止めることはできない。むしろ私が言えば、酷くなる恐れすらあった。だから伝えたのに、どうせ何もしなかったのでしょう?」
「お前は淡々としていたではないか」
「私がまともな精神状態であると思っているの?」

 その言葉に部屋は一気に静まり返った。戻ったことを唯一知る存在、しかも恨んでいることが言葉の節々に感じている。

「お母さんに妖様と結婚することが一番の幸せなの、みんなのことも考えてと言われていたことが蘇るのよ。そんなところに幸せなんてあるはずないのに」
「恨んでいたのか……?」

 誠一は美月はいつも子どもの味方で、詠は仲のいい親子だと思っていた。

「お父さんも京も同じよ。私がお母さんを殺したんだと、お父さんと京は私に従うように言い、お金も要求して来たの」
「そんな」
「辛かったけど事実なのよ」

 仲のいい家族だと自信があるわけではない。

 今は何も起きていなくとも、豹変した家族への絶望をこの人たちは知らないと思うと、詠は何もなかったことにはできなかった。

「京もお金はもらえるんだから二人も困ることはないのだからと、離婚に賛成して、妖の繋がりを喜んでいたの」
「っ」
「涼ちゃんの結婚式で、京は浮かれている姿を馬鹿にしていたけど、あなたも同じだったの」

 京は記憶にないことではあるが、もしも涼希ではなく、姉である詠が選ばれていたら、喜んでいたかもしれないと思うところはあった。

 それでも、姉にそんな風に思われていることもショックで、自分は被害者側で関係ないと思っていたことから、黙るしかなかった。

「詠さん、皆の記憶を戻してはいかがでしょうか」
「駄目よ、絶望しちゃって話なんてできないわ。涼ちゃんがいい例じゃない」

 涼希は座っているのがやっとという状態で、今も何も言葉が出ない。

「そうですね……」

 皆が絶望で涼希のようになってしまったら、確かに冷静に話はできないだろう。

「なかった世界でも出会ったのは、涼ちゃんが選ばれたパーティーなの」
「そうだったのですか?」

 風蓮はその場にはいなかったが、英仁と涼希がパーティーで出会ったことは聞いていた。

「ええ、あの日も私は確認のためにいたの」
「ホテル……」

 郁はホテルと聞いて、出会ったのが詠の勤めていたホテルであった。

「そう、あのパーティーは私の勤めているホテルで行われていたの」
「いたのか……?」

 擦れるような声で、問い掛けたのは英仁であった。

「ええ、給仕としてですけどね」
「そんな……」

 目の前で間違えていたのかと思うと、英仁にとっては上手く息ができないほどの衝撃であった。

「本当なら、そのパーティーで詠ちゃんが選ばれていたってこと?」
「そう、なかった世界では給仕をしていた私の手を取って、運命の相手だと言われて……だから、涼ちゃんが選ばれてホッとしたわ」

 いくら約束したと言っても、なかった世界と同じようにパーティーが行われて、その場にいることは詠も緊張していた。

「結婚式にも来ていたのですよね?」
「ええ、派手な結婚式だったわね。私は結婚式もしなかったから、驚いてしまったわ。いくらかかったのかしら?ちゃんと田生家も払ったのよね?結婚詐欺とまでは言わないけど、近いわよね」

 則人を見たが、すぐに目を逸らして、下を向き、妖だからと払わなかったのではないかと思った。

「まあ、お金のことは私は関係ないからいいけど。なかった世界ではね、妖の運命の相手に選ばれた私を、涼ちゃんにライバル視させたの。いえ、本当はあなたが選ばれるはずだったと洗脳したのよ」
「洗脳なんてしてないわ!」

 美里は涼希にあなたも妖に選ばれるはずと言い、それでも別の妖に選ばれることはなく、詠ではなくあなたが本当は運命の相手だと言って聞かせ続けるようになった。
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