【完結】メイド・マイ・デイ

野村にれ

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復讐6

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「詠ちゃん……」
「詠……」

 記憶の戻った拓実は呼吸が乱しながら、茫然としていたが、郁は涙を流していた。

「泣かないで、二人はきっと大丈夫だと信じているわ、ごめんね」

 詠は郁の頭を撫でて、優しく微笑んだ。そして、二人の親である洋介と夏の前に立った。

「洋介叔父さん、夏さんもごめんなさい。二人には恨みはないわ。どうかそのまま、生きてください」
「詠……」
「詠ちゃん……」

 掌を合わせると、二人の顔は引き攣り、絶望に染まった。

「すまない……すまなかった」
「叔父さんが謝ることではないわ」
「詠ちゃん……」

 夏も郁と同じように涙を流しており、夏だけは影響を受けないが、それでも夫と子どもが受けることから、良かったと思うような人ではない。

 次は田生咲良、倫葉、修司、小春の前に立った。

「小春おばさんも影響は受けないから、安心して。修司おばさん、咲良ちゃん、倫葉ちゃんもごめんね」
「詠ちゃん」
「詠ちゃん」

 咲良と倫葉は、何か起こっているのかついていけないまま、茫然としていた。掌を合わせると、四人は苦しみに満ちた顔になり、ショックを受けた。

 修司と小春は従姉妹の親戚であることから、あまり接点はなかった。それゆえに、恨みという恨みはない。

「呪いが私が起点であったら、皆は関係なかったのだけど、私ではないから」

 それは恨むべきは涼希だという意味であった。そして、次は田生の祖父母である幹雅と紀子である。詠にとってはまたも従姉妹の親戚である。

「詠さん、この度はすまない」
「申し訳ございません」

 二人は頭を深く下げて、謝罪をした。

「頭を上げてください、お二人が私に謝ることはありません。これから大変だと思いますが、ご無理のないように」
「あなたが考えることではない、悪いのは涼希だろう」
「そうよ、ごめんなさい」

 詠はほとんど関わりが本当になかったが、まともな祖父母の姿に羨ましい気持ちだった。

 二人に掌を合わせると、何度も頷いて、すまなかったと何度も謝罪をした。

 次は詠の祖父母でもある力人と加奈代である。

「詠、これは一体どういうことなんだ」
「そうよ、私たちは何もしていないわ。あなたのことだって大事に思って」

 相変わらず自分本位の祖父母に呆れながらも、話をする気はなかった。詠にとってこの二人はそう言った存在であった。

 娘の子どもを優先していることは痛いほど実感していたために、急にすり寄って来ても、気持ち悪いとしか言いようがない。

「茶番は結構よ!」
「そんな言い方!」
「二人はこれから大変になる美里叔母さん家族を守ってあげないと、大事な娘の家族よ?しっかりね」
「そんなことはないわ、何を言うのよ」
「そうだ!」
「記憶が戻れば、二人もお父さんから、私が渡していたお金が流れていたことは知っているの。沢山もらっているんでしょう、私たちにも頂戴よ。お金がないのよってよく言っていたわよね?」
「っな」

 詠は無理矢理、加奈代と掌を合わせて、力人にも同じように行った。

 記憶の戻った二人は絶望と、詠の言っていたことを思い出し、黙ったまま立ち尽くしていた。次は誠一と京である。

「さあ、自分のしたことと向き合って。私がお母さんを殺したことも思い出して、腹も立つでしょう。恨んでくれていいわ。でもお母さんはこの絶望を二度も見なくて済んだとも言える」
「っ」
「姉さん、本当だったらごめんなさい」
「京、ごめんね。何を言っても、私の絶望は救えないの」
「姉さん……」

 誠一に掌を合わせ、京にも合わせると、京は立っていられず、しゃがみ込んだ。

「ごめん、姉さん。ごめん……」

 子どもの頃以来だろうか、泣きじゃくる京に、慰める気持ちはなかった。

 そして、ついに一番の呪いを被る則人、美里、花穂である。
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