【完結】メイド・マイ・デイ

野村にれ

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「25回目、でしょう?終わり。面白いわよね、運命の相手に出会う回数が決まっているなんて」
「っ」

 詠も初めて聞いた時に驚いた。

 これは運命の相手がいる妖にとって、定めと呼ばれるものであった。

「どういうことだ?英仁、そうなのか……?」

 光峯にですら、英仁は話していなかった。なかった世界でも英仁は狂気に囚われて、話すことはなかったために、記憶にもない。

 英仁は目を閉じたまま、顔を伏せた。光峯もまだ信じられない気持ちだったが、事実なのではないかと絶望した。

「そんな……」
「この悪縁を切るために、ここにやって来たの」

 妖には運命の相手がいる。

 長い時間であるが、運命の相手に出会うのは25回と決められいる。

 これは神から聞いたことで、妖しか知らないことで、本来は運命の相手でも知ることのないことである。

 そして、天宮英仁は詠が25回目の相手であった。

「本当は25回目なんてこんなに早く来ることはないそうね」
「っ」
「出会う年齢にもよるけど、25回出会って、相手が80年生きたら、単純計算で二千年。60年でも一千五百年、40年でも一千年」

 20歳で出会って、40年で一千年というのが、相場というところだろう。

「私が生まれ変わっている女性はね、長生きしていない証拠よ。幸せになどなっていないってことじゃない」
「そんなことは、ない……」
「英仁、嘘だろう……本当なのか、だから、そうか、狂ってしまったのか」

 邪神のしたこと、運命の相手を殺してしまったことも許せないことだが、コントロールが利かなくなって、壊滅した理由がようやく繋がった。

 最後の相手だったから、そんな相手を自分の手で殺すなど、あってはならないことである。

「ああ……何てことだ、どうして言わなかった?」
「…」

 英仁は詠を失えば、もう二度と運命の相手に出会うことはない。それは妖にとって、例えようのない喪失感であった。

 それが死ぬまで続く、一生喉が渇いたような状態だと言われている。

「まあ、言わないか……」

 妖同士でも、そんな話をする者もいるかもしれないが、英仁と光峯はしなかった。

 いや、運命の相手の話はベラベラと話すようなことはない関係性だった。だが、困った時、子どもが生まれたなど、そういうことだけを伝える。

 英仁もわざわざ最後の相手だとは言うような性格ではない。

「あなたは分かっていた、だからこそ涼ちゃんを大事にしたのでしょう?不妊治療なんてさせたくなかったのでしょう?」
「っ」
「そうだったのか?」
「子どもは沢山いる。生まれたら喜んだでしょうが、運命の相手が生きていれば良かった。なるべく長く生きていて欲しかった。私の場合はあなたに関心がなかった、繋がりが欲しかったから、子どもを産ませたのでしょう?それなのに、涼ちゃんには違った。本当は涼ちゃんこそが運命の相手ではなくとも、特別だったんじゃない?」

 英仁は下を向いたまま、激しく首を振って抵抗した。

 詠は英仁にとって、思うようにいかない相手だった。

 最後だと分かっていたから、子どももいなくてもいいと思っていたが、詠の言った通り、繋がりのために子どもを三人も産ませて、逃げられなようにした。

「やったことはなかったことにはならないだろう。許してくれとは言わない、結婚など以ての外だろう。それはさすがに私でも分かる」

 光峯は詠の目をじっと見つめて伝えたが、詠の表情は変わらない。

「一緒にいなくても、だが、そうか。夫と子どもいるのか……」

 独身であれば、結婚も同棲もしなくても、マンションの隣でもいい。お互いに譲れる形で、そばにいることはできる。

 だが、詠には家族がいる。他の男、他の男との子どもと一緒にいる。それは運命の相手に許容できることではない。
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