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いなくなった世界3
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涼希の部屋に入った花穂は、冷静に涼希に訴えた。
「ちゃんと話して、お願いだから」
「でも……」
「話をちゃんと聞くから話して、お願いよ。あなたが話さないと、私たちもどうしたらいいか分からないの。怖いのよ……」
詠の言ったこと、詠の戻した記憶は理解はしていた。
なかった世界で起きたことも、嘘だと思いたくとも、思えなかった。
「責めたりせずに聞くから……だから話して頂戴」
なかった世界で起きたこと、今の世界で起きていること、涼希は自分のした恐ろしさは十分に実感しているだろう。
「ママに、詠ちゃんと比べられて、あなたも妖様に見初められなさいって言われて」
「涼希」
「ママは黙っていて、黙れないのなら出て行って」
「っ」
美里は声を上げたが、花穂は冷静に諭した。
「続けて」
「でも、見初められることはなくて、詠ちゃんとは比べられることも多かったけど、いつも私の方が少し良かったでしょう?それなのに、妖様に見初められて、超えられて……始めは、そんなこと思っていなかったの。凄いなって、お金もお祖父ちゃんや、お祖母ちゃん、誠一伯父さんがよく自慢していたでしょう?」
その言葉が聞こえた力人と加奈代は、気まずい気持ちになった。
何度も何度も、誠一から詠からというよりは、英仁からもらったお金をもらっていた記憶がある。それで家をリフォームしたり、車を買ったりしていた。
「好きな物も買ってもらえて、どこへ行ったとか」
「詠が言っていたわけではないでしょう」
「うん……そうなんだよね、詠ちゃんはSNSもやっていなくて、自慢したわけではない。自慢ではなかったんだろうね……私は自慢ばかりしたのに」
詠がどんな暮らしをしているかは、本人からでもSNSでもなく、誠一や京から聞く話だけであった。
涼希は記憶がないはずなのに、日々の暮らしや、何を買ってもららった、どこへ行った、何を食べたなど、SNSに投稿していた。
羨ましいと思われることが楽しくて、子どもができないことは辛かったけど、それを差し引いても、幸せで全てを手に入れた生活であった。
「ママに選ばれたのがあなただったらと何度も言われて、お姉ちゃんは言われなかったでしょう?」
「そうね」
花穂は詠と同じ年ではなかったせいか、そのように比べられることはなかった。
「そうしたら、何が違うんだろうって。違う人間なのだから違うに決まっているのに。別の人と結婚したいと思ったけど、ママは認めないでしょう……文句を言うに決まっている」
美里はその言葉に、何も言わなかったが、表情を歪ませていた。
「そうね」
花穂も詠が妖の運命の相手に選ばれたことで、親族中で誰がどんな相手と結婚しても、比べられることは理解していた。
だからではないが、恋人ができても、結婚しようと思うことはなかった。
従姉妹が妖の運命の相手に選ばれたということを知って、近付いて来る者もいた。
「どんどん辛くなって、そんな時に、あの邪神に会ったの」
「人の形をしていたの?」
「そう……」
邪神がどんなものか想像もつかなかったが、会ったと言うのなら人の姿になっていたのではないかと思った。
「それで?」
「妖は運命の相手を間違うこともあるって話をされて……」
「間違う?」
「昔、そういうことがあったって……姉妹だったって聞いたわ」
「そう、どこで会ったの?」
「妖様のパーティーよ。それで、詠ちゃんの話をしたの。従姉妹なら奪えばいいと言われて……血縁関係があれば、奪うこともできると……でも断ったわ、そんなことできないって」
信じられない気持ちもあったが、怪しいとしか思えなかった。
「妖だって言ったの?」
「私がそう思っただけで、妖だとは言わなかったわ」
涼希はてっきり妖だと思い込んでいたが、実際は邪神は何も言っていない。
「ちゃんと話して、お願いだから」
「でも……」
「話をちゃんと聞くから話して、お願いよ。あなたが話さないと、私たちもどうしたらいいか分からないの。怖いのよ……」
詠の言ったこと、詠の戻した記憶は理解はしていた。
なかった世界で起きたことも、嘘だと思いたくとも、思えなかった。
「責めたりせずに聞くから……だから話して頂戴」
なかった世界で起きたこと、今の世界で起きていること、涼希は自分のした恐ろしさは十分に実感しているだろう。
「ママに、詠ちゃんと比べられて、あなたも妖様に見初められなさいって言われて」
「涼希」
「ママは黙っていて、黙れないのなら出て行って」
「っ」
美里は声を上げたが、花穂は冷静に諭した。
「続けて」
「でも、見初められることはなくて、詠ちゃんとは比べられることも多かったけど、いつも私の方が少し良かったでしょう?それなのに、妖様に見初められて、超えられて……始めは、そんなこと思っていなかったの。凄いなって、お金もお祖父ちゃんや、お祖母ちゃん、誠一伯父さんがよく自慢していたでしょう?」
その言葉が聞こえた力人と加奈代は、気まずい気持ちになった。
何度も何度も、誠一から詠からというよりは、英仁からもらったお金をもらっていた記憶がある。それで家をリフォームしたり、車を買ったりしていた。
「好きな物も買ってもらえて、どこへ行ったとか」
「詠が言っていたわけではないでしょう」
「うん……そうなんだよね、詠ちゃんはSNSもやっていなくて、自慢したわけではない。自慢ではなかったんだろうね……私は自慢ばかりしたのに」
詠がどんな暮らしをしているかは、本人からでもSNSでもなく、誠一や京から聞く話だけであった。
涼希は記憶がないはずなのに、日々の暮らしや、何を買ってもららった、どこへ行った、何を食べたなど、SNSに投稿していた。
羨ましいと思われることが楽しくて、子どもができないことは辛かったけど、それを差し引いても、幸せで全てを手に入れた生活であった。
「ママに選ばれたのがあなただったらと何度も言われて、お姉ちゃんは言われなかったでしょう?」
「そうね」
花穂は詠と同じ年ではなかったせいか、そのように比べられることはなかった。
「そうしたら、何が違うんだろうって。違う人間なのだから違うに決まっているのに。別の人と結婚したいと思ったけど、ママは認めないでしょう……文句を言うに決まっている」
美里はその言葉に、何も言わなかったが、表情を歪ませていた。
「そうね」
花穂も詠が妖の運命の相手に選ばれたことで、親族中で誰がどんな相手と結婚しても、比べられることは理解していた。
だからではないが、恋人ができても、結婚しようと思うことはなかった。
従姉妹が妖の運命の相手に選ばれたということを知って、近付いて来る者もいた。
「どんどん辛くなって、そんな時に、あの邪神に会ったの」
「人の形をしていたの?」
「そう……」
邪神がどんなものか想像もつかなかったが、会ったと言うのなら人の姿になっていたのではないかと思った。
「それで?」
「妖は運命の相手を間違うこともあるって話をされて……」
「間違う?」
「昔、そういうことがあったって……姉妹だったって聞いたわ」
「そう、どこで会ったの?」
「妖様のパーティーよ。それで、詠ちゃんの話をしたの。従姉妹なら奪えばいいと言われて……血縁関係があれば、奪うこともできると……でも断ったわ、そんなことできないって」
信じられない気持ちもあったが、怪しいとしか思えなかった。
「妖だって言ったの?」
「私がそう思っただけで、妖だとは言わなかったわ」
涼希はてっきり妖だと思い込んでいたが、実際は邪神は何も言っていない。
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