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呪い1
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「ちゃんと話して、私たちにも関わることなの」
「体に不調が起こるって言われたわ」
「どんなこと?」
「……分からなくて……痛みとか、言われたような気がするけど……」
「は?」
詠は知っているような口振りだったのに、分からないとはどういうことかと思わず怒気の含んだ言い方になってしまった。
「あまり聞いていなかったの……死ぬようなことじゃないって言われて」
「じゃあ、本当に詳しく分からないって言うの?」
「そう……なの」
殺された時のショックもあったのだろうが、呪いについて答えられないこともあって、部屋に閉じこもっていたのではないかと疑いたくなった。
「死なないなら、たいしたことないと思ったってこと?」
「その時は入れ替われるとしか考えていなくて……英仁さんが選んでくれたら、どうにでもなると思っていたの。妖様ならどうにでもなるって……考えていたの」
「はあ……」
「ごめんなさい、悪かったと思っているの……でも思い出せなくて」
涼希は記憶を戻されて、英仁の怒りに狂った顔と、首を切られた衝撃が強く、これからどうなってしまうのかと自分のことばかり考えていた。
皆に羨ましがられた生活はまやかしで、なかった世界では一瞬の快楽だった。
それを思えば、五年もの間、幸せな結婚生活を続けて来られた。でも一生、続くと思っていた。自分は選ばれた存在で、周りに妖の運命の相手はいなかったこともあり、誰よりも特別だった。
でも、それは人のものだった。
「本当に覚えていないの?何か覚えているでしょう?」
「でも、そんなに詳しく話してくれたわけではないわ」
実家に帰ると皆に呪いのことを聞かれても、思い出せなかった。痛みはあると思うが、死ぬことはないと言っていたことは思い出したが、それが限界であった。
だから、呪いについて聞かれても答えられない。どうしようと思っていたが、花穂に言われて、逃げ続けても逃げられることではないと思い至った。
「覚えていないのでしょう?」
「断片的というか……」
「呪いを防ぐ方法も聞いていないのね?」
涼希は花穂を怯えた目で見つめて、頷いた。涼希が分からないのならば、もう誰にも分からないだろう。
詠が教えてくれたかは分からないが、もう聞くことはできない。
「知ったところで、呪いが防げるわけではないのだろうけど、涼希のせいでこうなっているの。それだけは忘れないで」
「私だって……辛かったの」
「追い詰められていたのは分かったわ、でも人の、従姉妹から奪おうなんて普通は思わないわ」
「お姉ちゃんは何も言われていないから」
「それはそうだけど、詠と私たちは違うわ。それすら分からないの?」
比べられてはいたかもしれないが、気にしなければ良かった。
詠が先に結婚したことも、相手が薬剤師だったことも、美里は面白くないように話していた。薬剤師なら涼希は医者がいいわねと言っていたこともあった。
花穂もだが、そんな相手から涼希も選ばれるとも思えなかった。
さらに妖の運命の相手に選ばれて、もう絶対に超えられないことは分かっていただろう。美里や祖父母の責任もなくはないが、聞き流せばよかった。
そもそも、結婚願望が涼希にもあったのか、怪しいものである。
「全部、詠のものだった。あなたは借りていた、いえ、借りていたなんて言葉で済むはずがないわね。詠が言っていたように、お金だって請求されるかもしれない。それ以上に、妖を騙した存在になるでしょうね」
「それは」
「しかも、詠は亡くなってしまったの……もうこの世にいない。どうなるか分からないわよ……」
「どうなるかって」
「怒りはどこに向くか分かるでしょう?」
「っ」
英仁の怒りは、間違いなく涼希に向くだろう。それは家までも巻き込むことになるだろう。詠がいれば抑止力になったかもしれないが、それもなくなった。
「体に不調が起こるって言われたわ」
「どんなこと?」
「……分からなくて……痛みとか、言われたような気がするけど……」
「は?」
詠は知っているような口振りだったのに、分からないとはどういうことかと思わず怒気の含んだ言い方になってしまった。
「あまり聞いていなかったの……死ぬようなことじゃないって言われて」
「じゃあ、本当に詳しく分からないって言うの?」
「そう……なの」
殺された時のショックもあったのだろうが、呪いについて答えられないこともあって、部屋に閉じこもっていたのではないかと疑いたくなった。
「死なないなら、たいしたことないと思ったってこと?」
「その時は入れ替われるとしか考えていなくて……英仁さんが選んでくれたら、どうにでもなると思っていたの。妖様ならどうにでもなるって……考えていたの」
「はあ……」
「ごめんなさい、悪かったと思っているの……でも思い出せなくて」
涼希は記憶を戻されて、英仁の怒りに狂った顔と、首を切られた衝撃が強く、これからどうなってしまうのかと自分のことばかり考えていた。
皆に羨ましがられた生活はまやかしで、なかった世界では一瞬の快楽だった。
それを思えば、五年もの間、幸せな結婚生活を続けて来られた。でも一生、続くと思っていた。自分は選ばれた存在で、周りに妖の運命の相手はいなかったこともあり、誰よりも特別だった。
でも、それは人のものだった。
「本当に覚えていないの?何か覚えているでしょう?」
「でも、そんなに詳しく話してくれたわけではないわ」
実家に帰ると皆に呪いのことを聞かれても、思い出せなかった。痛みはあると思うが、死ぬことはないと言っていたことは思い出したが、それが限界であった。
だから、呪いについて聞かれても答えられない。どうしようと思っていたが、花穂に言われて、逃げ続けても逃げられることではないと思い至った。
「覚えていないのでしょう?」
「断片的というか……」
「呪いを防ぐ方法も聞いていないのね?」
涼希は花穂を怯えた目で見つめて、頷いた。涼希が分からないのならば、もう誰にも分からないだろう。
詠が教えてくれたかは分からないが、もう聞くことはできない。
「知ったところで、呪いが防げるわけではないのだろうけど、涼希のせいでこうなっているの。それだけは忘れないで」
「私だって……辛かったの」
「追い詰められていたのは分かったわ、でも人の、従姉妹から奪おうなんて普通は思わないわ」
「お姉ちゃんは何も言われていないから」
「それはそうだけど、詠と私たちは違うわ。それすら分からないの?」
比べられてはいたかもしれないが、気にしなければ良かった。
詠が先に結婚したことも、相手が薬剤師だったことも、美里は面白くないように話していた。薬剤師なら涼希は医者がいいわねと言っていたこともあった。
花穂もだが、そんな相手から涼希も選ばれるとも思えなかった。
さらに妖の運命の相手に選ばれて、もう絶対に超えられないことは分かっていただろう。美里や祖父母の責任もなくはないが、聞き流せばよかった。
そもそも、結婚願望が涼希にもあったのか、怪しいものである。
「全部、詠のものだった。あなたは借りていた、いえ、借りていたなんて言葉で済むはずがないわね。詠が言っていたように、お金だって請求されるかもしれない。それ以上に、妖を騙した存在になるでしょうね」
「それは」
「しかも、詠は亡くなってしまったの……もうこの世にいない。どうなるか分からないわよ……」
「どうなるかって」
「怒りはどこに向くか分かるでしょう?」
「っ」
英仁の怒りは、間違いなく涼希に向くだろう。それは家までも巻き込むことになるだろう。詠がいれば抑止力になったかもしれないが、それもなくなった。
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