【完結】メイド・マイ・デイ

野村にれ

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覚悟

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 花穂は涼希の部屋に向かい、ドアに手を掛けると、鍵は掛かっていなかった。部屋に入ると、ベットで布団を被って丸くなっていた。

「涼希」
「…」
「私、離婚されたわ」
「っな、どうして……」

 被っていた布団を剥がして、顔を出した。

「妖様の運命の相手の姉ではなくなったのだから、当然でしょう?」
「そんな!」
「あなたのおかげで申し込まれたのだから、当然よ」
「でも上手くいっていたじゃない」

 英仁と涼希のように終始、仲が良いというわけではなかったが、落ち着いたお似合いの二人だと思っていた。

「それは、涼ちゃんが運命の相手だということがあったからよ。あなたも運命の相手ではないと分かって、離れて行ったのだから分かるでしょう?」
「っ……」

 涼希も拒絶されたあの日から、一体何が起きているのか、自分が何をしたのかのことが頭の中をぐるぐるしていたが、いっそすべてが夢であったらと願っていた。

 眠ることも怖く、起きて入れなくなったら眠っていたという日々であった。

「養育費は払ってくれると言っているから、良かったっと思っているわ」
「そんなの当然じゃない」
「私はあちらに子どもたちを奪われる可能性も考えていたの。でも縁を切る方を選んだのだと思う」
「でも、子どもは可愛がっていたじゃない」
「会社を選んだのよ、涼希のしたことはそれほどに影響があることなの」
「…」
「私も結婚するにしても、関係の相手を選んでいたら、まだ違ったのかもしれないわね。詠は結婚しない方が良かったと思っていたのでしょうけどね」

 子どもが生まれたことで結婚したことに後悔はないが、子どもがいなかったら、きっと結婚したことを後悔したと思う。

 だが、呪いという点では子どもたちには恨まれるかもしれない。

 奏のところに行きたいと言われる可能性もある。奏が受け入れてくれればいいが、拒絶されるかもしれない。

「慰謝料を請求される可能性はあるとは思っているわ」
「それは……私は、払えないもの」

 涼希は花穂の慰謝料も自分が支払わなくてはいけないのかと考えたが、結婚する前の貯金は少しあるだけで、自分も請求をされたら絶対に払えない。

 結婚している時はお金のことは考えることはあったが、我慢するということはしなかった。

 ということは、どれだけ使ったのか分からない。

「いくら使ったのか知らないけど、そうでしょうね」

 花穂も上等な生活をしていたが、涼希はそれ以上だろう。考えなくてもいいと言われれば、考えたくないことだが、覚悟をしておくべきだろう。

「いくらママに言われたからと言って、こんなことをするくらいなら、無視すれば良かったのよ。人のものは人のものでしかないのよ」
「今は分かっているの……でも、もう償いようがないの。どうすることもできない」
「慰謝料を請求されたら、何をしても支払わなくてはならないでしょう。言ったでしょう?あなたただけのことではないの、皆が既に巻き込まれているの。死んで逃げるなんて許さないから」

 厳しい言い方にはなったが、涼希はこれから反省と贖罪をしなくてはならない。絶対に死んで終わりにはさせられない。

 一方、英仁は詠の死を受け入れられず、何もできずに、ただ茫然とする毎日を送っていた。

 時折、思い出したかのように、詠が消えた場所を見に行って、発狂して、床に膝をつくという日々であった。後追いの可能性も高いために、誰かが付いており、不安定な状態であった。

 光峯は英仁の長男である晄丞こうじょうに話をすることにした。

「邪神の契約?それで騙されていたということですか?」
「ああ、まあそれはなかった世界になっている……」
「それをわざわざ繰り返したと……恨んでいたのですね」

 晄丞は信じられない気持ちもあったが、光峯がこんな嘘をわざわざつく必要がないために、否定せずに聞いた。
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