57 / 70
自業自得
しおりを挟む
「なかった世界だから、信じられないかもしれないが、私たちは記憶を戻された。現実にあったと理解している」
「確かに、信じろと言われても、難しいところはありますね……ですが、そのようなことになれば、父が狂うのも想像はできます」
「戻すことはできないから、信じてもらうしかない」
「はい……亡くなったのですものね……いえ、私たちの母の魂は消えたという方が正しいのでしょうか」
晄丞にとっても詠は母の魂と同じで、母とは思っていないが、その人間が消えたことは、辛いことであった。
「そう……捉えていいと思う。事故ということにはなっているが、目の前で消えたのだから、それこそ神と契約をしていたのだろうな」
妖でもできることではないために、人間のできることではない。
「英仁は後追いを考えているだろうが、そう簡単に死なせられない」
「はい……」
子どもたちや親族にも、涼希は運命の相手ではなく、騙していたということは知らされていたが、詳細については英仁が語らないために分からないままであった。
いくら父でも、何があったのかと問い正すようなことは、恐ろしくて出来ない存在、それが英仁であった。
ゆえに光峯が話をしてくれたことに、感謝している。
「離婚届は既に出しているから、縁は切れているが、英仁はどうするかもどうでもいいというよりは、何も考えられないでいる」
「田生涼希のことですか」
「ああ、私たちは腹を立てているが……本人がな。ショックという言葉では軽いほどに、憔悴している」
妖たちには今回のことは、光峯と風蓮によって説明が行われた。
親族については英仁の判断を待とうと思っていたが、そんな状態ではなく、このままでいいわけがないことは一致していた。
ゆえに詳細を晄丞から親族には知らせてもらうつもりであった。
「私どもは田生涼希のことは、父に判断をしてもらった方がいいですが、皆と相談ですね。ですが……周りが面倒を起こしております」
「周りが?」
「はい、友人が田生涼希の友達だからと、私どもの経営する施設で無料で豪遊する者がおりましてね……父がそれくらいと言っていたから、使わせていたのですが……騙していたのなら、請求させてもらいましょうかね」
「それは、被害を被った者はしてもいいのではないか」
少なからずあることではあるが、運命の相手が喜んでくれるならという思いで、余程であれば対処することもあるが、まず問題までにはならない。
だが、運命の相手の家族や友人ではないとなったのだから、請求することは正当であり、弁護士に頼めばいいだろう。
「だったら母親もですね。同じようなことをしておりまして、詠さんの叔母ではあったのでしょうけど、母親ではありませんからね」
「そうか、やりそうな母親ではあったな。親族とは思わずに、自業自得だろう。好きにしたらいいと思う」
「そうですね、そのように話しましょう。父はどうするつもりなのか。まあ、そんなことよりもですかね……」
「ああ、いくら妖でも霞を食べて生きているわけではないからな」
英仁のことは長い目で見るしかないために、被害を受けた者たちには請求を行うことに決めた。お金が欲しいわけではないが、これから利用させないための方が強い。
涼希の友人だと無作法を働いた者たちに請求書、今後の利用の拒否、支払わなかったら裁判を起こすこと。そして、美里にも同様に請求書が届くことになった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
今年もありがとうございました。
年内で終わらせるつもりだったのですが、
終わりませんでした。
もう少しで終わる予定では書いておりますので、
引き続きお読みいただけると嬉しいです。
よいお年をお迎えください。
「確かに、信じろと言われても、難しいところはありますね……ですが、そのようなことになれば、父が狂うのも想像はできます」
「戻すことはできないから、信じてもらうしかない」
「はい……亡くなったのですものね……いえ、私たちの母の魂は消えたという方が正しいのでしょうか」
晄丞にとっても詠は母の魂と同じで、母とは思っていないが、その人間が消えたことは、辛いことであった。
「そう……捉えていいと思う。事故ということにはなっているが、目の前で消えたのだから、それこそ神と契約をしていたのだろうな」
妖でもできることではないために、人間のできることではない。
「英仁は後追いを考えているだろうが、そう簡単に死なせられない」
「はい……」
子どもたちや親族にも、涼希は運命の相手ではなく、騙していたということは知らされていたが、詳細については英仁が語らないために分からないままであった。
いくら父でも、何があったのかと問い正すようなことは、恐ろしくて出来ない存在、それが英仁であった。
ゆえに光峯が話をしてくれたことに、感謝している。
「離婚届は既に出しているから、縁は切れているが、英仁はどうするかもどうでもいいというよりは、何も考えられないでいる」
「田生涼希のことですか」
「ああ、私たちは腹を立てているが……本人がな。ショックという言葉では軽いほどに、憔悴している」
妖たちには今回のことは、光峯と風蓮によって説明が行われた。
親族については英仁の判断を待とうと思っていたが、そんな状態ではなく、このままでいいわけがないことは一致していた。
ゆえに詳細を晄丞から親族には知らせてもらうつもりであった。
「私どもは田生涼希のことは、父に判断をしてもらった方がいいですが、皆と相談ですね。ですが……周りが面倒を起こしております」
「周りが?」
「はい、友人が田生涼希の友達だからと、私どもの経営する施設で無料で豪遊する者がおりましてね……父がそれくらいと言っていたから、使わせていたのですが……騙していたのなら、請求させてもらいましょうかね」
「それは、被害を被った者はしてもいいのではないか」
少なからずあることではあるが、運命の相手が喜んでくれるならという思いで、余程であれば対処することもあるが、まず問題までにはならない。
だが、運命の相手の家族や友人ではないとなったのだから、請求することは正当であり、弁護士に頼めばいいだろう。
「だったら母親もですね。同じようなことをしておりまして、詠さんの叔母ではあったのでしょうけど、母親ではありませんからね」
「そうか、やりそうな母親ではあったな。親族とは思わずに、自業自得だろう。好きにしたらいいと思う」
「そうですね、そのように話しましょう。父はどうするつもりなのか。まあ、そんなことよりもですかね……」
「ああ、いくら妖でも霞を食べて生きているわけではないからな」
英仁のことは長い目で見るしかないために、被害を受けた者たちには請求を行うことに決めた。お金が欲しいわけではないが、これから利用させないための方が強い。
涼希の友人だと無作法を働いた者たちに請求書、今後の利用の拒否、支払わなかったら裁判を起こすこと。そして、美里にも同様に請求書が届くことになった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本日もお読みいただきありがとうございます。
今年もありがとうございました。
年内で終わらせるつもりだったのですが、
終わりませんでした。
もう少しで終わる予定では書いておりますので、
引き続きお読みいただけると嬉しいです。
よいお年をお迎えください。
999
あなたにおすすめの小説
恋は、母をやめてから始まる――正体を隠したまま、仮の婚約者になりました
あい
恋愛
両親を失ったあの日、
赤子の弟を抱いて家を出た少女がいた。
それが、アリア。
世間からは「若い母」と呼ばれながらも、
彼女は否定しなかった。
十六年間、弟を守るためだけに生きてきたから。
恋も未来も、すべて後回し。
けれど弟は成長し、ついに巣立つ。
「今度は、自分の人生を生きて」
その一言が、
止まっていた時間を動かした。
役目を終えた夜。
アリアは初めて、自分のために扉を開く。
向かった先は、婚姻仲介所。
愛を求めたわけではない。
ただ、このまま立ち止まりたくなかった。
――けれどその名前は、
結婚を急かされていた若き当主のもとへと届く。
これは、
十六年“母”だった女性が、
もう一度“ひとりの女”として歩き出す物語。
私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません
しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」
――それは私を縛る呪いの言葉だった。
家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。
痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。
でも、、そんな私、私じゃない!!
―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。
「私の人生に、おかえりなさい。」
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
三年目の離婚から始まる二度目の人生
あい
恋愛
三年子ができなければ、無条件で離婚できる――王国の制度。
三年目の夜、オーレリアは自らその条文を使い、公爵ルートヴィッヒに離婚を告げた。
理由はただ一つ。
“飾り”として生きるのをやめ、自分の手で商いをしたいから。
女性が公の場で立てる服を作るため、彼女は屋敷を去り、仕立て屋〈オーレリア・テイラーズ〉を開く。
店は順調に軌道に乗り、ついに王女の式典衣装を任されることに。
だが、その夜――激しい雨の中、彼女は馬車事故に遭い命を落とす。
(あと少し早く始めていたら、もっと夢を叶えられたのに……)
そう思った瞬間、目を覚ますと――三年前、ルートヴィッヒと結婚する前の世界に戻っていた。
これは、“三年目の離婚”から始まる、二度目の人生。
今度こそ、自分の人生を選び取るために。
ーーー
不定期更新になります。
全45話前後で完結予定です、よろしくお願いします🙇
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる