36 / 154
推測1
しおりを挟む
「何だ?」
「ええ、聞きましょう」
「まず事実は置き去りにされた私を助けてくれたのは、トイズ・オスレ様でした」
「は?」
「え?どういうことなの?」
二人には話そうかと思ったが、トイズ様の爵位も分からなかったので、迷惑を掛けたくないと思い、言わなかった。
「おそらく療養中だったトイズ様の邸で、保護して貰いました。ですが、私は置き去りではなく、捨てられたのではないか、そう思っていました。それを話したら、ここにいたらいいと、その間にトイズ様は動いてくれたのではないかと思います」
「それで、私に連絡があったのか…」
オブレオはレリリス伯爵家より先に、自分に連絡があったことに、騎士団は機転が利くと思っていたが、そうではなかった。
「お互いに名乗り合わず、名前も知りませんでした。そして、ご自分と私を重ねたからこそ、心配、いえ、両親は心配などされていなかったのですが、置いてくださいました。そこで話し相手となり、リリー夫人だとは知らずに話を聞きました」
オブレオとアンリは頷きながら、聞いてくれている。
「リリー夫人はトイズ様のことを想ったまま結婚させられ、当初は貴族令嬢らしく、次期侯爵夫人になろうとした。でも上手くはいかなかった。そうなると、思い出すのはトイズ様です」
「奪ったわけではないと思うのだけど?」
「はい、トイズ様からも解消してから、お兄様が亡くなったと聞きました。ですが、リリー夫人は復縁を迫っていたそうです」
「まあ…だからスノーは二人を気にしていたのね」
ようやくスノーの質問の真意に気付いたアンリ夫人だった。
「はい…すみません。私は顔は分かっても、内情を知らないので」
「社交に出ないからでしょう」
「はい、あの二人の不穏な会話に、置き去りにされたことも重なって、子ども心に二度と関わりたくないと思ってしまったのです」
「そうだったのね」
スノーは聡い子でもあったが、8歳ともなれば恐ろしさは理解が出来てしまったのだろう。関わらさせようとしたわけではないが、私はいいですと言う子だった。
「トーラス・ユーフレット様は侯爵に似てらっしゃるそうですね」
トーラスはメリーアンの兄であり、次期ユーフレット侯爵で、リリー夫人が産んだ第一子である。
「ああ」
「ですが、メリーアン夫人は似ていない」
「まさか、そんなことは、元側妃のことがあったとはいえ、あり得ないだろう」
オブレオはスノーが何を言いたいのかが分かって、口を挟んだ。
「私も安易だと思いましたが、お祖父様の話を聞いて、トイズ様が親子鑑定をしようとしていた…ダリア様でもなく、トーラス様ではないとすれば…」
「メリーアン夫人だと言うの?待って、結婚相手はオスレ前伯爵の息子なのよ」
万が一、二人が兄妹だったらなんて考えたくはない。
トイズ様が存命の頃は会っていなかったから、二人が結ばれるからなどと考えて、親子鑑定をしたいと思ったわけではない。
単に自分の子どもなのかと考えただけだろう。
「そうです…子どもだって生まれるところです。でもユーフレット侯爵も、身に覚えのない妊娠ではなかったということでしょう?」
「分からないということか…まるで元側妃だな」
リジーナは陛下の子どもだと信じていた、托卵しようと思ったわけではない、だが陛下の子ではないとしたら、アディス・キーサンの子どもだとあっさり白状した。
アディスが既に亡くなっていることも知っていたそうだ。
「はい、トイズ様も不貞を行うような方には見えませんでした。もしかしたら、元側妃の商会から興奮剤を脅して受け取り、トイズ様に使っていたとしたら…」
「まさか…」
「記憶がなくなってしまう物があると聞きました」
「ああ…」
「関係を持たされたと言うの?」
アンリは同じ女性として、そんなことをする人間がいるのかと驚くしかなかった。
「ええ、聞きましょう」
「まず事実は置き去りにされた私を助けてくれたのは、トイズ・オスレ様でした」
「は?」
「え?どういうことなの?」
二人には話そうかと思ったが、トイズ様の爵位も分からなかったので、迷惑を掛けたくないと思い、言わなかった。
「おそらく療養中だったトイズ様の邸で、保護して貰いました。ですが、私は置き去りではなく、捨てられたのではないか、そう思っていました。それを話したら、ここにいたらいいと、その間にトイズ様は動いてくれたのではないかと思います」
「それで、私に連絡があったのか…」
オブレオはレリリス伯爵家より先に、自分に連絡があったことに、騎士団は機転が利くと思っていたが、そうではなかった。
「お互いに名乗り合わず、名前も知りませんでした。そして、ご自分と私を重ねたからこそ、心配、いえ、両親は心配などされていなかったのですが、置いてくださいました。そこで話し相手となり、リリー夫人だとは知らずに話を聞きました」
オブレオとアンリは頷きながら、聞いてくれている。
「リリー夫人はトイズ様のことを想ったまま結婚させられ、当初は貴族令嬢らしく、次期侯爵夫人になろうとした。でも上手くはいかなかった。そうなると、思い出すのはトイズ様です」
「奪ったわけではないと思うのだけど?」
「はい、トイズ様からも解消してから、お兄様が亡くなったと聞きました。ですが、リリー夫人は復縁を迫っていたそうです」
「まあ…だからスノーは二人を気にしていたのね」
ようやくスノーの質問の真意に気付いたアンリ夫人だった。
「はい…すみません。私は顔は分かっても、内情を知らないので」
「社交に出ないからでしょう」
「はい、あの二人の不穏な会話に、置き去りにされたことも重なって、子ども心に二度と関わりたくないと思ってしまったのです」
「そうだったのね」
スノーは聡い子でもあったが、8歳ともなれば恐ろしさは理解が出来てしまったのだろう。関わらさせようとしたわけではないが、私はいいですと言う子だった。
「トーラス・ユーフレット様は侯爵に似てらっしゃるそうですね」
トーラスはメリーアンの兄であり、次期ユーフレット侯爵で、リリー夫人が産んだ第一子である。
「ああ」
「ですが、メリーアン夫人は似ていない」
「まさか、そんなことは、元側妃のことがあったとはいえ、あり得ないだろう」
オブレオはスノーが何を言いたいのかが分かって、口を挟んだ。
「私も安易だと思いましたが、お祖父様の話を聞いて、トイズ様が親子鑑定をしようとしていた…ダリア様でもなく、トーラス様ではないとすれば…」
「メリーアン夫人だと言うの?待って、結婚相手はオスレ前伯爵の息子なのよ」
万が一、二人が兄妹だったらなんて考えたくはない。
トイズ様が存命の頃は会っていなかったから、二人が結ばれるからなどと考えて、親子鑑定をしたいと思ったわけではない。
単に自分の子どもなのかと考えただけだろう。
「そうです…子どもだって生まれるところです。でもユーフレット侯爵も、身に覚えのない妊娠ではなかったということでしょう?」
「分からないということか…まるで元側妃だな」
リジーナは陛下の子どもだと信じていた、托卵しようと思ったわけではない、だが陛下の子ではないとしたら、アディス・キーサンの子どもだとあっさり白状した。
アディスが既に亡くなっていることも知っていたそうだ。
「はい、トイズ様も不貞を行うような方には見えませんでした。もしかしたら、元側妃の商会から興奮剤を脅して受け取り、トイズ様に使っていたとしたら…」
「まさか…」
「記憶がなくなってしまう物があると聞きました」
「ああ…」
「関係を持たされたと言うの?」
アンリは同じ女性として、そんなことをする人間がいるのかと驚くしかなかった。
2,219
あなたにおすすめの小説
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる