【完結】試される愛の果て

野村にれ

文字の大きさ
69 / 154

リリー夫人2

しおりを挟む
「都合よく、思い込もうとしたの?見限られたんじゃないって?」
「だって…」
「だって何よ、そうでも思わないと納得が出来なかった?あなたはお兄様とは関係なく、見限られたの」

 ヒューナはまさか継ぐことになったから婚約を解消されたと、思い込んでいたとは思わず、ここぞとばかりに追い立てている。

「違うわ!!彼が伯爵家を継ぐことになったから、仕方なく別れたの!」
「事故で亡くなったのは、解消してからなのに?まさか、予言したとでも言うの?おかしいじゃない」
「そんなはずは…」

 おかしくなっているのか、記憶を都合良く差し替えたのだろうと、3人は思った。

「頭が悪くて、オスレ伯爵夫妻に認められなかったから、解消したと捏造したの?嫌われているって有名だったものね」
「それは…誤解があって、上手く伝わらなかっただけで」
「あなたと解消出来て、夫妻は大喜びだったそうだから」
「でもトイズ様は違うわ」
「違わないでしょう、トイズが言い出したのだから」

 リリーは認めたくないのか、黙り込んでしまった。

「マリエルが邪魔だったの?」
「当たり前じゃない…私がトイズ様と結婚するはずだったのよ!それなのに、あの女が…」
「それで嫌がらせをしたんだな」
「それはリサナ夫人でしょう?」

 その言葉にちゃんと覚えている、おかしくはなっていないと実感した。ちゃんと自分の筋書きがあるのだろう。

「証拠は残っているのです」
「え?証拠?何よ、それ」
「ダリアが持っていたんですよ」
「ダリア様…が?」

 トイズとの時と同じように、明らかに動揺を見せた。きっとリリーの中でダリアも特別な存在なのだろう。

「そうです、マリエルはきっとあなただと気付いていたのでしょうね。娘の夫の母親であることは、どう思っているんだ?」
「ダリア様はトイズ様の子であって、マリエルは関係ないわ」
「すべて自分の都合の良い解釈をしているのね」
「だって、ダリア様はトイズ様にそっくりなのよ」
「だから、マリエルは関係ないと?」
「そうよ」

 マリエルに向けた憎悪を、ダリアには向けなかったのは、トイズに似ていたからだったのか。もしも、マリエルに似ていたら、違ったのだろう。

「ではメリーアンもあなたに似ているから、ユーフレット侯爵には関係ないと?」
「メリーアンは特別よ」
「何が特別なの?」
「私に似たメリーアンと、トイズ様に似たメリーアンは、お似合いでしょう?」
「マリエルやユーフレット侯爵に似ていたら特別ではなかったと?」
「メリーアンは違うわ」

 ヒューナは核心を突くにはまだ早いと口にはしなかったが、やはりきっと要はメリーアンなのだろう。

「ダリアはあなたのしたことを知ったら、どう思うでしょうね。トイズにも嫌われて、今度はダリアにも嫌われて、嫌われなれているから平気なのかしら?」
「だから、私は関係ないわ」
「証拠もないのに、我々も話をしたりはしない」

 リリーはバークスを見て、唾を飲み込んだ。

「あなたはトイズに見限られたのに、記憶を捏造し、トイズの愛する妻に嫌がらせを行い、殺すように仕向けた」
「トイズ様は、あんな女を愛していないわ」

 否定するのはそこなのかと、3人は思った。

「嫌がらせと、殺すように仕向けたことは否定しないんだな?」
「そんなことは知らないわ」
「認めないなら、騎士団に取り調べて貰うしかないな」
「どうして私が…私は関係ないって言っているでしょう」

 リリーもさすがに騎士団と言われて、余裕のない様子で否定し始めた。

「証人も、証拠もあると言っているだろう」
「リサナ夫人が、私を巻き込もうとしているのよ」
「そう言うということは、関与している心当たりがあるからだろう。リサナに何を渡したか、覚えているのだろう?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の手からこぼれ落ちるもの

アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。 優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。 でもそれは偽りだった。 お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。 お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。 心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。 私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。 こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら… ❈ 作者独自の世界観です。 ❈ 作者独自の設定です。 ❈ ざまぁはありません。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます

しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。 子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。 しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。 そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。 見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。 でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。 リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで

あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。 怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。 ……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。 *** 『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』  

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...