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最終試験2
「お嬢様は魔術が使えたのですね、驚きました……」
「ああ、だが目立ちたくないからと黙っていた。私も最近まで知らなかったんだ」
「そうでしたか」
「このことは時期が来るまでは黙っていて欲しい」
「はい、承知いたしました」
他の護衛も頷き、何か事情があるのだろうと察した。
「だが、誰か見られたかもしれないな……」
モリーは最終試験中の前にも最中に、このようなことになれば、怒るのも当然である。口振りからして、思わず使ってしまったのだろう。
「あまり人通りはない場所を狙ったようでしたので、目立ってはいなかったとは思います」
この前とは別の場所だったが、馬車も人通りも少なく、魔術師が氷漬けにしたために被害も最小限だったと思う。
「騎士団員と魔術師には見られたと思いますが……」
護衛たちは被害届は出していたために、調査をされていたのだろうと考えていた。
「それは仕方ない、王家に説明に行った方がいいな。現場にいた者として、付いて来てもらえるか」
「承知いたしました」
王家にもすぐに説明をした方がいいだろうと、ブレフォスは今日モリーに付いていた護衛を連れて、王宮に向かうことにした。
すぐさま、通されることになり、ファリスに会えることになった。
「話は聞いた、遺憾であるときちんと受け止めている」
「はい、それで……モリーのことは」
「ああ、水魔法を使ったそうだな」
ファリスも犯人が連行されると同時に、すぐに話を聞き、モリーの魔術のことも聞くことになった。
しかも、魔術師も素早い動きと適切な足止め、いえ、脅しだったと思いますといい、詳しく聞くと酷く冷静に仕留めていたと聞き、驚いたくらいであった。
「はい、腹が立ったようで、本人も思わず行ってしまったのだと思います……申し訳ございません」
「ああ、謝ることではない。無理もないだろう。最終試験中に不愉快でしかない。こちらは口止めしたから、安心していい」
ファリスも今は事情があって隠している、いずれは公になるから、それまで黙っておくように伝えてある。
魔術で制限をすることもできたが、最終試験が終われば、公になってもいいのではないかとも考えていたために、洩れたとしてもそこまでの問題にはならないだろう。
「ありがとうございます。犯人はどうなりましたか」
「それがな、狙いはモリーだった」
ブレフォスの目は吊り上がり、眉間に皺を寄せた。
「だが、依頼主は誰か知らないと言うのだ」
「っな、本当ですか?」
「疑うのは当然だ、男性だったと言っており、知らない方がいいと思ったと言っているが、それも含めて話を聞いている」
「この前も同じ者ですか」
「ああ、それは認めた。一度目は前払いでお金をもらい、二度目は後払いで、前回の倍もらえる予定だったらしい」
馬車にはぶつかった後があり、一度目は上手くいき、大怪我をさせたわけでもないために心も痛まなかった。
二度目も同じようにすればいいと思ったが、護衛だけでなく、騎士と魔術師がいたことから逃げられなかった。
「警戒されると思わなかったのでしょうか?」
「事故に見せかけて、貴族の馬車だったから、怖くなって逃げたというつもりだったそうだ。実際に最初は御者に慣れていなかった、練習をしていたなどと言って、しらばっくれていたが、明らかに狙っていたと問い詰めて、ようやく吐いた」
誰かに依頼されたのなら、情状の余地があるが、公爵家の馬車を相手に事故を起こしたのだから、このままでは一生監視付きの生活か、下手したら死罪だと脅した。
すると、そうなっては都合が悪かった。そんなことも想像できなかったのかと思ったが、貴族相手にどうなるかまでは現実的には分かっていなかったのだろう。
だからこそ、無謀なことができたとも言える。
「ああ、だが目立ちたくないからと黙っていた。私も最近まで知らなかったんだ」
「そうでしたか」
「このことは時期が来るまでは黙っていて欲しい」
「はい、承知いたしました」
他の護衛も頷き、何か事情があるのだろうと察した。
「だが、誰か見られたかもしれないな……」
モリーは最終試験中の前にも最中に、このようなことになれば、怒るのも当然である。口振りからして、思わず使ってしまったのだろう。
「あまり人通りはない場所を狙ったようでしたので、目立ってはいなかったとは思います」
この前とは別の場所だったが、馬車も人通りも少なく、魔術師が氷漬けにしたために被害も最小限だったと思う。
「騎士団員と魔術師には見られたと思いますが……」
護衛たちは被害届は出していたために、調査をされていたのだろうと考えていた。
「それは仕方ない、王家に説明に行った方がいいな。現場にいた者として、付いて来てもらえるか」
「承知いたしました」
王家にもすぐに説明をした方がいいだろうと、ブレフォスは今日モリーに付いていた護衛を連れて、王宮に向かうことにした。
すぐさま、通されることになり、ファリスに会えることになった。
「話は聞いた、遺憾であるときちんと受け止めている」
「はい、それで……モリーのことは」
「ああ、水魔法を使ったそうだな」
ファリスも犯人が連行されると同時に、すぐに話を聞き、モリーの魔術のことも聞くことになった。
しかも、魔術師も素早い動きと適切な足止め、いえ、脅しだったと思いますといい、詳しく聞くと酷く冷静に仕留めていたと聞き、驚いたくらいであった。
「はい、腹が立ったようで、本人も思わず行ってしまったのだと思います……申し訳ございません」
「ああ、謝ることではない。無理もないだろう。最終試験中に不愉快でしかない。こちらは口止めしたから、安心していい」
ファリスも今は事情があって隠している、いずれは公になるから、それまで黙っておくように伝えてある。
魔術で制限をすることもできたが、最終試験が終われば、公になってもいいのではないかとも考えていたために、洩れたとしてもそこまでの問題にはならないだろう。
「ありがとうございます。犯人はどうなりましたか」
「それがな、狙いはモリーだった」
ブレフォスの目は吊り上がり、眉間に皺を寄せた。
「だが、依頼主は誰か知らないと言うのだ」
「っな、本当ですか?」
「疑うのは当然だ、男性だったと言っており、知らない方がいいと思ったと言っているが、それも含めて話を聞いている」
「この前も同じ者ですか」
「ああ、それは認めた。一度目は前払いでお金をもらい、二度目は後払いで、前回の倍もらえる予定だったらしい」
馬車にはぶつかった後があり、一度目は上手くいき、大怪我をさせたわけでもないために心も痛まなかった。
二度目も同じようにすればいいと思ったが、護衛だけでなく、騎士と魔術師がいたことから逃げられなかった。
「警戒されると思わなかったのでしょうか?」
「事故に見せかけて、貴族の馬車だったから、怖くなって逃げたというつもりだったそうだ。実際に最初は御者に慣れていなかった、練習をしていたなどと言って、しらばっくれていたが、明らかに狙っていたと問い詰めて、ようやく吐いた」
誰かに依頼されたのなら、情状の余地があるが、公爵家の馬車を相手に事故を起こしたのだから、このままでは一生監視付きの生活か、下手したら死罪だと脅した。
すると、そうなっては都合が悪かった。そんなことも想像できなかったのかと思ったが、貴族相手にどうなるかまでは現実的には分かっていなかったのだろう。
だからこそ、無謀なことができたとも言える。
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