病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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マキュレアリリージュ・ポレモス1

 モリーはクラスメイトとは、マキュレアリリージュに背を向けた状態で話しており、元より妹という感覚が薄く、今は男性の声なら弟がいるが、女性の声であるために反応もしなかった。

 だが、クラスメイト側にはマキュレアリリージュの姿が視界に入り、小声でモリーに告げた。

「モリー様、マキュレアリリージュが来ております」
「え?お義姉様って言ったわよね?」
「言いましたね、こちらに向かっております」
「はあ……また後でお話してください」
「「「はい」」」

 向かっていると聞いたが、モリーは立ち上がって振り返った。

「お義姉様!無視しないで」
「はあ……ポレモスだったわよね?」

 モリーはすぐにマキュレアリリージュのファーストネームが朧気であった。

「私には弟しかいないわ、あなたは無関係です」

 教室で話すには憚られることではあるが、ブレフォスが誕生祭で話しているために、今さらだと思いハッキリと告げた。

「っな!いい加減にして!」
「黙りなさい!あなた、オブレオサジュール公爵家の関係者に近付くことがあれば、コアナ・パレモスを訴えると言われているの知っているのよね?」
「私は言われていないもの」

 コアナはブレフォスに言われていたが、マキュレアリリージュは言われていないと解釈していた。

「そう、だったら立場を弁えなさい」
「は?分かったわ、王太子殿下の婚約者になったから調子に乗っているのね」
「はあ……王太子はまだ決まっていないわ」

 しかも、まだ発表はないが、オルトも降りると言っていたことから、エリーが王太子になることから、モリーでは王配にはなれない。

 だが、婚約のことは耳に入ったのだとは分かった。

「は?あなたが王太子妃になるんでしょう!絶対に無理よ、あんたなんか」

 モリーは急に平民になったわけでもないのに、このままでは自分が危険だと分かっていないのか、呆れるばかりだったが、そこへ誰かが呼んだのであろうおそらくマキュレアリリージュの担任がやって来た。

「オブレオサジュール公爵令嬢、申し訳ございません!ポレモスさん、何をしているのです!」
「ここは三年生の教室ですので、連れていってください」
「はい」

 三十代くらい女性教師がやってきて謝罪し、これまでなら少なからず申し訳なさを感じただろうが、オブレオサジュール公爵令嬢としてマキュレアリリージュとは関係ないと線引きをしなくてはならない。

 ただ教師については不運だと思わずにはいられなかった。

「私はお義姉様に話をしていただけです」
「ご迷惑でしょう、いい加減にしなさい」
「ポレモスさん、私は義姉ではありません。あなたにはあなたの父親がいるでしょう?義姉もいるかもしれませんが、私ではございません」
「っな!そんなことっ!」

 マキュレアリリージュが当たりを見渡して慌てる姿に、モリーは皆が知らないと思っているのではないかと感じた。

「母親にしっかり聞きなさい」
「何よ!偉そうに!」

 マキュレアリリージュは思わずモリーに掴み掛ろうとして、掌に爪が引っ掛かり、血が垂れることになった。

「っ痛っ、ああ……」
「何てことを!」
「……やったわね」
「っな!あなたが調子に乗っているから!当たっただけでしょう!大袈裟よ、姉妹なんだからいいじゃない」
「いい加減しなさい!無関係だと言っているでしょう!」
「っ何よ!あんた!」

 まだまだ言い足りたい様子だったが、マキュレアリリージュは応援に来た教師たちによって、連れて行かれた。

「申し訳ございません。お騒がせいたしました」

 モリーはまたも教室で騒いでしまい頭を下げた。だが皆、モリーのせいではないと首を振っていたが、さすがに申し訳なかった。マキュレアリリージュの担任教師は残っており、怪我の心配をしていた。

「保健室に参りましょう」
「そうですわね」

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