病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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「執事が変わったのです。エルソンからオーリンへ、二回目も三回目もお父様のそばにはずっとエルソンがいたのです」
「記憶があると言いたいのか?」
「えっ」

 レオーラはまさかと口元を押さえた。

「いいえ、違います!」

 モリーは両掌を振って、レルスにもレオーラにも慌てて否定した。

「レオーラ様にも手紙に書きましたが、エリー様のドレスを作った際の護衛もどきの自称デザイナーのレベンナ・ゴースを手配した者です」
「その方でしたか、辞めさせられたのでしたね」
「ああ、エリーが言っていたな」

 レルスもエリーが怒っていたために話を聞くことになった。何もなかったから良かったものの、どうしてそんな者を雇ったのか。そもそもモリーに必要ないと思った。

 だが、二人ともエルソンに関わることがなかったために、どのような人物なのか想像が湧かなかった。

「あの件で元の執事だったオーリンに戻ったのです。それで、上手くいくいかないは別にして、エルソンが家族に色々吹き込んでいたのではないかと思うのです」
「なるほど……」
「そういうことでしたのね、ではオーリン様が本邸に出入りしないように助言されたということですか?」
「その通りです」

 血縁証明のことを説明された際に、本邸に入れないようにし、使用人とも連携を取るようにしたことはオーリンの助言であったとブレフォスから聞かされることになった。

 そうなると、エルソンは入ってもいいとしていたわけではないかもしれないが、入れないように徹底しなかったことは分かってはいた。

「どのような方でしたの?」
「エルソンはオブレオサジュール公爵家のためという人物ではあったはずなのです」
「そうではなかったと?」
「いえ、そうではなかったとは思いますが……自分本位なところがあったのだと思います。こうあったほうがいいと自分が思えば、実行するといったような」
「確かにドレスの件はそうですわよね」

 レオーラも出会う前だったが、こんなことがあったとドレスの件を手紙で知らされて、顔を思わず顰めたくらいだった。

「オーリンはそのようなことはありませんが、他の家族は分かりませんが、エルソンは私のことは軽んじていたと思います」
「は?」

 執事はツーラン子爵だと聞いていたが、いくら執事を任されていたとしても、子爵令息が公爵令嬢に軽んじれることが信じられなかった。

「二回目も三回目もそうでした」
「何かあったのか?」
「その時はお父様の意向だと思い、あまり気にしていなかったのですが、溜息をつかれたり、忙しくて具合が悪い時にきちんとなさってくださいとか、オブレオサジュール公爵家が馬鹿にされるんですよと言われたり」
「何だそれは……」
「執事がですか?信じられません」

 まさか家族だけでなく、執事にもそのような態度を取られたのかと思うと、モリーを慮るばかりであった。

「私も今思い出すと腹が立ちます。相手のことを考えない、深く考えない部分もありました。王子殿下たちの婚約者はオブレオサジュール公爵家は無理でしょうと言ったのは彼なのです」
「公爵に言ったのか?」
「そうです、二回目の時に聞きました。ですが今回もお父様はその話を聞いていたようで、おそらく辞める前にエルソンに聞いていたのだと思うのです」

 モリーはいなかったが国王陛下夫妻に謝罪をした際にも、尋ねられて誰から聞いたかは覚えていなかった。

「モリーは彼が少なからずオブレオサジュール公爵家を乱していたと言うのだな?」
「そうです」
「コアナとマキュレアリリージュにもか?」
「もしかしたらあったのかもしれません」

 二回目で二人と話をしているのを見た程度だが、それでも執事という立場から関わることもあったのではないかと思っている。

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