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マキュレアリリージュ・ポレモス4
「じゃあ、どうするのよ!」
「考えるわよ……まずは家を探して……マキュレも公爵家には近付いては駄目よ。まともではない仕事をすることになるから、お願いよ?」
「まともではないって」
「娼婦や奴隷のような仕事よ……私にはできないわ、あなたもできないでしょう?」
「そんなこと私がするわけがないじゃない」
マキュレアリリージュにも訴えられたら払えない金額になることは分かり、絶対にしたくないと強く思った。
「だから公爵家には近付かないで。あれは脅しではないと思うから」
「でも」
「ブレフォス様が許しても、親族が許さないわ」
コアナは親族が自分たちの反対をしていたことも知っており、ブレフォスは許しても血縁証明のことでおそらく絶対に阻止してくるだろうと考えていた。
「分かったわよ……」
ゆえにマキュレアリリージュもオブレオサジュール公爵家には近付くことはせず、だったらモリーに話をしたいと考え、とりあえず学園に行くことにした。
だが、三年生は登校している生徒のほうが少なく、モリーの姿もなかった。
誕生祭のことは知らない生徒の方が少ない状態で、マキュレアリリージュは視線を感じていたが、二年生がいるからだろうと考えていた。
クラスメイトとは必要な会話はするが、それ以上の話をする者はいなかった。
ゆえにわざわざ腫れものであるマキュレアリリージュに尋ねて来る者もいなかった。それは相手が王家、そしてこれから助けてもらうかもしれない治癒師となれば、触らないほうがいいと思うのも当然である。
モリーに会えないまま時間だけが過ぎたある日、マキュレアリリージュがそばにいたことに気付いていないクラスメイトが話をしている会話が耳に入った。
「レルス殿下とオブレオサジュール公爵令嬢、素敵だったわ」
たまたま二人が一緒にいるところを見掛けた令嬢が嬉しそうに話していた。
「学園にいらしてないのよね?」
「三年生は必要ないですからね、でもたまに来る機会もあるかもしれませんわよ」
「結婚式が楽しみですわね」
「本当に!ドレスもきっと素敵よ」
「そんなの当然じゃない」
「ちょっと、モリーが?モリーがレルス殿下の婚約者?」
クラスメイトは突然、関わりたくないマキュレアリリージュに肩を持たれて、話し掛けられて失敗したと思った。だが同時にやはり知らなかったのかとも思った。
「ええ、そうでございます」
答えた彼女は話していた中で一番爵位の低い男爵令嬢で、平民のマキュレアリリージュにも丁寧に代表して答えることにした。
「いつ?今日?」
「今日ではございません、数週間は経っております」
「異母妹だったのに知らないのか、いや騙していた無関係の詐欺師の娘なのだから、知るはずがないか」と言ってやりたい気持ちだったが、口論する価値もない相手である。
「冗談でしょう?そんなモリーが?」
「不敬ではありませんか?王家にも失礼でございますよ」
「別に王家のことなんて何も言っていないじゃない!」
マキュレアリリージュも王家に盾突けば大変なことになることは分かっており、そうではなくモリーのことだと考えており、男爵令嬢のほうはオブレオサジュール公爵家にも王家にも失礼だという意味であった。
ふんと言いながら、マキュレアリリージュは去っていき、男爵令嬢たちは何も教えられていないことが他人だったいう証拠ですわねと小声で言い合った。
マキュレアリリージュは婚約者が決まらないことには苛立っていたが、それでも耐えていたのはモリーにも婚約者がいないからであった。
コアナにもモリーにいないのだから、まだ決められないのよと言われて、納得していた。
それがレルスの婚約者になったと聞き、思わず出て行った廊下で、どうにも苛立ちが湧き上がり、思わず地団太を踏んだ。
「考えるわよ……まずは家を探して……マキュレも公爵家には近付いては駄目よ。まともではない仕事をすることになるから、お願いよ?」
「まともではないって」
「娼婦や奴隷のような仕事よ……私にはできないわ、あなたもできないでしょう?」
「そんなこと私がするわけがないじゃない」
マキュレアリリージュにも訴えられたら払えない金額になることは分かり、絶対にしたくないと強く思った。
「だから公爵家には近付かないで。あれは脅しではないと思うから」
「でも」
「ブレフォス様が許しても、親族が許さないわ」
コアナは親族が自分たちの反対をしていたことも知っており、ブレフォスは許しても血縁証明のことでおそらく絶対に阻止してくるだろうと考えていた。
「分かったわよ……」
ゆえにマキュレアリリージュもオブレオサジュール公爵家には近付くことはせず、だったらモリーに話をしたいと考え、とりあえず学園に行くことにした。
だが、三年生は登校している生徒のほうが少なく、モリーの姿もなかった。
誕生祭のことは知らない生徒の方が少ない状態で、マキュレアリリージュは視線を感じていたが、二年生がいるからだろうと考えていた。
クラスメイトとは必要な会話はするが、それ以上の話をする者はいなかった。
ゆえにわざわざ腫れものであるマキュレアリリージュに尋ねて来る者もいなかった。それは相手が王家、そしてこれから助けてもらうかもしれない治癒師となれば、触らないほうがいいと思うのも当然である。
モリーに会えないまま時間だけが過ぎたある日、マキュレアリリージュがそばにいたことに気付いていないクラスメイトが話をしている会話が耳に入った。
「レルス殿下とオブレオサジュール公爵令嬢、素敵だったわ」
たまたま二人が一緒にいるところを見掛けた令嬢が嬉しそうに話していた。
「学園にいらしてないのよね?」
「三年生は必要ないですからね、でもたまに来る機会もあるかもしれませんわよ」
「結婚式が楽しみですわね」
「本当に!ドレスもきっと素敵よ」
「そんなの当然じゃない」
「ちょっと、モリーが?モリーがレルス殿下の婚約者?」
クラスメイトは突然、関わりたくないマキュレアリリージュに肩を持たれて、話し掛けられて失敗したと思った。だが同時にやはり知らなかったのかとも思った。
「ええ、そうでございます」
答えた彼女は話していた中で一番爵位の低い男爵令嬢で、平民のマキュレアリリージュにも丁寧に代表して答えることにした。
「いつ?今日?」
「今日ではございません、数週間は経っております」
「異母妹だったのに知らないのか、いや騙していた無関係の詐欺師の娘なのだから、知るはずがないか」と言ってやりたい気持ちだったが、口論する価値もない相手である。
「冗談でしょう?そんなモリーが?」
「不敬ではありませんか?王家にも失礼でございますよ」
「別に王家のことなんて何も言っていないじゃない!」
マキュレアリリージュも王家に盾突けば大変なことになることは分かっており、そうではなくモリーのことだと考えており、男爵令嬢のほうはオブレオサジュール公爵家にも王家にも失礼だという意味であった。
ふんと言いながら、マキュレアリリージュは去っていき、男爵令嬢たちは何も教えられていないことが他人だったいう証拠ですわねと小声で言い合った。
マキュレアリリージュは婚約者が決まらないことには苛立っていたが、それでも耐えていたのはモリーにも婚約者がいないからであった。
コアナにもモリーにいないのだから、まだ決められないのよと言われて、納得していた。
それがレルスの婚約者になったと聞き、思わず出て行った廊下で、どうにも苛立ちが湧き上がり、思わず地団太を踏んだ。
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