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父娘
「不愉快ではあったけど、発言は彼女の暴走のようだから、注意で済ませるわ」
ケリーは不愉快ではあったが、モリーの作ったエリーのドレスにケチを付けたくないために、大事にする気はなかった。
だが、準男爵家に王妃陛下からの注意は震え上がる事態になるだろう。
「寛大なご対応、ありがとうございます」
「ドレスは素晴らしいもので、エリーも気に入っているの」
ブレフォスはその言葉に、静かに小さく頭を下げた。
「モリー嬢、今日はこんなことになってしまったから、またエリーと一緒にゆっくりお茶をしましょう」
その言葉に、目を輝かせたのはエリーだった。
レルスもその表情から、妙なケチが付いてしまったことも、エリーには次の約束ができる良いチャンスとなったなと思わず笑いそうになった。
「承知いたしました、お騒がせして申し訳ございませんでした」
「いいえ、あなたのせいではないわ」
「ありがとうございます」
「また、改めて謝罪に伺います。申し訳ございませんでした」
立ち上がって謝罪するモリーの横で、ブレフォスも追加で謝罪を行った。どういう処分になったか、説明をしなくてはならない。
「分かったわ」
「恐れ入ります」
そこへエリーが、立ち上がって、モリーの両手を取った。
「モリー様、本当にありがとう。おかしなことになりましたが、ドレスは心から気に入りました。またお茶会しましょうね」
「ありがとうございます、楽しみにしております」
モリーは頭を下げ、心からエリーに感謝した。
帰りの馬車にはモリーとブレフォスが一緒に乗ることになり、お互い初めての空間でいたたまれない空気であった。
「あの、モリー、エルソンがすまなかった」
「いいえ、解雇するのですか?」
一度目も二度目も、ブレフォスのそばにはエルソンがいた。だが、ここで解雇となれば、これからが変わっていくのではないか。
「当然だ、だが私の責任だからモリーはゆっくり休むといい。だが、もしかしたら聞くこともあるかもしれないが」
だが、王家に迷惑を掛けるものを送り込んだ責任は取らないといけない。
「はい、分かりました」
「仮縫いの際にも連れて行くように言ったと聞いたが、事実だろうか?」
「はい」
「侍女からモリーが連れて行けないと判断したと聞いた」
「そうです。自分が馬車に乗るために、王家の方に触れる物を下に置けばいいと申したので、連れて行けないと判断しただけです」
「それは当然だな」
そのような者をどう考えても、王宮に連れてはいけないと思うだろう。貴族として当然の判断である。
「馬に乗れないという時点で怪しむべきでしたが、公爵家の執事が弁えない護衛など送り込むことはないと思ったのでございます」
「ああ」
その通りだが、エルソンが言えば、私が許可したものだと勘違いしてもおかしくはない。
「お針子だったから良かったものの、刺客だったら、私たちは邸には帰れなかったでしょうね」
「あっ、ああ……」
ブレフォスはそう話すモリーが、酷く大人びていることと同時に、この子は勉強は振るわなくとも、愚かではないと改めて、実感していた。
「モリーが作ったドレスは王女殿下が着ていた物だろうか?」
「ええ、そうです」
「その、素晴らしかった」
モリーは記憶にある限り、ブレフォスに褒められたのは初めてで、目を逸らしながらではあるが、驚くばかりであった。
「……ありがとうございます」
「いや、私は詳しくがないが、綺麗だと思った」
ブレフォスは王女殿下に渡すのだから、今回は見せてはもらえないと思っていたが、喜ばしい場ではなかったが、思いがけず見ることができた。
「王女殿下に似合うドレスをと考えて、作りました」
「そうか、王女殿下も喜んでおられたな」
「はい」
「お世辞などではないと思う、本当に喜んでおられた」
「……はい」
ケリーは不愉快ではあったが、モリーの作ったエリーのドレスにケチを付けたくないために、大事にする気はなかった。
だが、準男爵家に王妃陛下からの注意は震え上がる事態になるだろう。
「寛大なご対応、ありがとうございます」
「ドレスは素晴らしいもので、エリーも気に入っているの」
ブレフォスはその言葉に、静かに小さく頭を下げた。
「モリー嬢、今日はこんなことになってしまったから、またエリーと一緒にゆっくりお茶をしましょう」
その言葉に、目を輝かせたのはエリーだった。
レルスもその表情から、妙なケチが付いてしまったことも、エリーには次の約束ができる良いチャンスとなったなと思わず笑いそうになった。
「承知いたしました、お騒がせして申し訳ございませんでした」
「いいえ、あなたのせいではないわ」
「ありがとうございます」
「また、改めて謝罪に伺います。申し訳ございませんでした」
立ち上がって謝罪するモリーの横で、ブレフォスも追加で謝罪を行った。どういう処分になったか、説明をしなくてはならない。
「分かったわ」
「恐れ入ります」
そこへエリーが、立ち上がって、モリーの両手を取った。
「モリー様、本当にありがとう。おかしなことになりましたが、ドレスは心から気に入りました。またお茶会しましょうね」
「ありがとうございます、楽しみにしております」
モリーは頭を下げ、心からエリーに感謝した。
帰りの馬車にはモリーとブレフォスが一緒に乗ることになり、お互い初めての空間でいたたまれない空気であった。
「あの、モリー、エルソンがすまなかった」
「いいえ、解雇するのですか?」
一度目も二度目も、ブレフォスのそばにはエルソンがいた。だが、ここで解雇となれば、これからが変わっていくのではないか。
「当然だ、だが私の責任だからモリーはゆっくり休むといい。だが、もしかしたら聞くこともあるかもしれないが」
だが、王家に迷惑を掛けるものを送り込んだ責任は取らないといけない。
「はい、分かりました」
「仮縫いの際にも連れて行くように言ったと聞いたが、事実だろうか?」
「はい」
「侍女からモリーが連れて行けないと判断したと聞いた」
「そうです。自分が馬車に乗るために、王家の方に触れる物を下に置けばいいと申したので、連れて行けないと判断しただけです」
「それは当然だな」
そのような者をどう考えても、王宮に連れてはいけないと思うだろう。貴族として当然の判断である。
「馬に乗れないという時点で怪しむべきでしたが、公爵家の執事が弁えない護衛など送り込むことはないと思ったのでございます」
「ああ」
その通りだが、エルソンが言えば、私が許可したものだと勘違いしてもおかしくはない。
「お針子だったから良かったものの、刺客だったら、私たちは邸には帰れなかったでしょうね」
「あっ、ああ……」
ブレフォスはそう話すモリーが、酷く大人びていることと同時に、この子は勉強は振るわなくとも、愚かではないと改めて、実感していた。
「モリーが作ったドレスは王女殿下が着ていた物だろうか?」
「ええ、そうです」
「その、素晴らしかった」
モリーは記憶にある限り、ブレフォスに褒められたのは初めてで、目を逸らしながらではあるが、驚くばかりであった。
「……ありがとうございます」
「いや、私は詳しくがないが、綺麗だと思った」
ブレフォスは王女殿下に渡すのだから、今回は見せてはもらえないと思っていたが、喜ばしい場ではなかったが、思いがけず見ることができた。
「王女殿下に似合うドレスをと考えて、作りました」
「そうか、王女殿下も喜んでおられたな」
「はい」
「お世辞などではないと思う、本当に喜んでおられた」
「……はい」
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