病める時も、健やかではない時も

野村にれ

文字の大きさ
51 / 330

尋問

「申し訳ございませんでした」

 ブレフォスの顔が見えるなり、深く頭を下げて、謝罪をした。

「話は聞いたか?」
「はい、メイド長から伺いました」

 ブレフォスは上着を脱ぎながら、オーリスを見つめた。オーリスの顔色は既に酷いもので、きちんと聞いたのだろうと思った。

「エルソンには会ったか?」
「いいえ、ブレフォス様が戻ってから会うのが道理でございます」
「そうだな。これから話をするが、オーリスは同席せず、話を聞いてくれ」
「承知いたしました」

 エルソンはオーリスを尊敬もしているが、怖いとも思っているので、ブレフォスとオーリスがいれば、話をしない可能性を考えてのことであった。

 騎士によってエルソンとレベンナは別々の部屋に軟禁しており、一緒に呼び出して、応接室で向き合った。

 エルソンは入室するなり、膝をついて謝った。

「申し訳ございませんでした」

 レベンナはその様子に驚き、茫然としていた。

「話にならないから、座れ」

 エルソンとレベンナは並んで、ブレフォスの前に座った。

「反省しているのか?」
「もちろんでございます」
「君もか?」
「はい、申し訳なく思っております」

 エルソンは真っ青だったが、落ち着いているブレフォスの様子に、レベンナは意外とあっさり許してもらえるのではないかと考えていた。

「エルソン、何に反省している?ちゃんと話せ」
「はい。勝手にお針子を用意して、モリー様を不愉快な気持ちにさせてしまいました。大変申し訳なく思っております」
「公爵家のためと言ったのも、間違っていたと認めるのだな?」
「……はい」
「そうか、君は何が間違っていたのか分かっているのか?」

 ブレフォスはレベンナに視線を移したが、公爵家が雇ったわけでもなく、令嬢でもないために名前を呼ぶ気もなかった。

「っあ、はい」
「何が間違っていたんだ?」
「っはい、えっと、あの、でも手伝おうと思っていたの事実で」

 何を言い出すのかとエルソンはレベンナを見たが、レベンナはブレフォスしか見ておらず、気付くことはなかった。

「私が手伝えば、もっと素敵な物が出来たのにと思ってしまい、失礼なことを言ってしまいました。まだ15歳なのに、言い過ぎました」
「そうか」
「はい!私、腕がいいって褒められているんです。デザインも得意で、こんなこっそりではなくて、公爵家でもいいので、機会をもらえませんか?」

 理解をしてもらえたと誤解したレベンナは、意気揚々とまたチャンスが巡って来たと考えた。王家に気に入られれば良かったが、もう難しそうだから、とりあえずは公爵家でもいいと企んだ。

「どういう意味だ?」
「もちろん、お嬢様のお手伝いもします」

 元々、モリーの手伝いをするように言われていたのだから、機嫌を取っておかなくてはならないと慌てて伝えた。

「どういう意味だと聞いているんだが」
「ですから、ドレスを作る機会をいただければ、ご期待に応えて見せます!」
「私が雇ったわけではないからな、私に言われても困る」
「っえ」

 レベンナはブレフォスや公爵家に雇われたわけでもない。していると言っても、契約書にサインをしていないと言われれば、確かにそうだと思った。

「私は君に何も関与していない」
「っあ、だったらこれから雇ってもらえませんか?お嬢様も助かると思います」
「何が助かる?」
「見よう見真似でデザインをされているのでしょうけど、15歳には難しいかもしれませんが、年齢とか流行りとか、考えてした方がいいと思います。私なら教えてあげられます」

 レベンナは礼儀がなっていない上に、ドレスに関しては変わらず上から目線で、ブレフォスはずっと不愉快ではあったが、契約していたわけではないために、レベンナことはオーリスに任せるつもりであった。

あなたにおすすめの小説

麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。

スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」 伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。 そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。 ──あの、王子様……何故睨むんですか? 人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ! ◇◆◇ 無断転載・転用禁止。 Do not repost.

さようなら、私の愛したあなた。

希猫 ゆうみ
恋愛
オースルンド伯爵家の令嬢カタリーナは、幼馴染であるロヴネル伯爵家の令息ステファンを心から愛していた。いつか結婚するものと信じて生きてきた。 ところが、ステファンは爵位継承と同時にカールシュテイン侯爵家の令嬢ロヴィーサとの婚約を発表。 「君の恋心には気づいていた。だが、私は違うんだ。さようなら、カタリーナ」 ステファンとの未来を失い茫然自失のカタリーナに接近してきたのは、社交界で知り合ったドグラス。 ドグラスは王族に連なるノルディーン公爵の末子でありマルムフォーシュ伯爵でもある超上流貴族だったが、不埒な噂の絶えない人物だった。 「あなたと遊ぶほど落ちぶれてはいません」 凛とした態度を崩さないカタリーナに、ドグラスがある秘密を打ち明ける。 なんとドグラスは王家の密偵であり、偽装として遊び人のように振舞っているのだという。 「俺に協力してくれたら、ロヴィーサ嬢の真実を教えてあげよう」 こうして密偵助手となったカタリーナは、幾つかの真実に触れながら本当の愛に辿り着く。

禁断の関係かもしれないが、それが?

しゃーりん
恋愛
王太子カインロットにはラフィティという婚約者がいる。 公爵令嬢であるラフィティは可愛くて人気もあるのだが少し頭が悪く、カインロットはこのままラフィティと結婚していいものか、悩んでいた。 そんな時、ラフィティが自分の代わりに王太子妃の仕事をしてくれる人として連れて来たのが伯爵令嬢マリージュ。 カインロットはマリージュが自分の異母妹かもしれない令嬢だということを思い出す。 しかも初恋の女の子でもあり、マリージュを手に入れたいと思ったカインロットは自分の欲望のためにラフィティの頼みを受け入れる。 兄妹かもしれないが子供を生ませなければ問題ないだろう?というお話です。

姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。

ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」  ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。 「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」  一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。  だって。  ──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい

水空 葵
恋愛
 一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。  それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。  リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。  そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。  でも、次に目を覚ました時。  どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。    二度目の人生。  今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。  一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。  そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか? ※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。  7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m

【完結】見えてますよ!

ユユ
恋愛
【 お知らせ 】 先日、近況ボードにも お知らせしました通り 2026年4月に 完結済みのお話の多数を 一旦closeいたします。 誤字脱字などを修正して 再掲載をするつもりですが 再掲載しない作品もあります。 再掲載の時期は決まっておりません。 表現の変更などもあり得ます。 他の作品も同様です。 ご了承いただけますようお願いいたします。 ユユ 【 お話の内容紹介 】 “何故” 私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。 美少女でもなければ醜くもなく。 優秀でもなければ出来損ないでもなく。 高貴でも無ければ下位貴族でもない。 富豪でなければ貧乏でもない。 中の中。 自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。 唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。 そしてあの言葉が聞こえてくる。 見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。 私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。 ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。 ★注意★ ・閑話にはR18要素を含みます。  読まなくても大丈夫です。 ・作り話です。 ・合わない方はご退出願います。 ・完結しています。

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。