病める時も、健やかではない時も

野村にれ

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馬鹿

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 オーリンも勝手にではあるが、レベンナはモリーのために用意されただけで、エルソンが公爵家ではなく、叶うはずもないようなことを王家に危険な思いをして、そのようなことを頼む理由はないと考えた。

「君はお嬢様の手伝いを頼まれていたのだろう?それなのに、なぜ売り込むなどという話になる?おかしいじゃないか」
「っあ、えっと、もしかしたら気に入ってもらえたら、そんな話にもなるかなっと思っただけです」

 レベンナは自信満々であったが、エルソンがここまで怯えていることから、不味いことを言ったかなと、オブレオサジュール公爵家で雇ってもらうことができなくなると思い、誤魔化すことにした。

「失礼なことを言ったことは、反省していないのか?」
「事実を言っただけですが、子ども相手に言い過ぎたとは思っています」

 オーリンはどうしてこんな馬鹿な者を、王家の方々の前にオブレオサジュール公爵の護衛だと連れて行かせたものだと、王宮に連れて行くことさえ問題である。

 エルソンを冷たい目で睨み付けると、縮み上がっていた。

「はあ……書類はここで、お前が作れ。私が確認をする」
「は、はい」

 オーリンは最後の仕事にさせようと思い、持って来ていた紙とペンをエルソンの前に置いた。エルソンはオーリンに向かって、すぐに頭を下げた。

 そして、レベンナに向けたくもないが、視線を向けた。

「お前は帰って、親に何をしたか説明しておきなさい」
「え?でも」
「何だ?」
「いえ……」

 契約がまだだと思ったが、この様子では無理だろうと思って、帰ることにした。

 レベンナが護衛に連れられて、部屋を出て行くと、オーリンは書類を書くエルソンをじっと見つめていた。

「申し訳ございませんでした」
「はあ……どうしてあんな娘を連れて行かせたのか、理解ができない。公爵家のためと言うのなら、一番連れて行ってはならない者だろう」
「はい……」

 エルソンはレベンナとあまり関わることもなかったために、言動に頭を抱えたくなったが、自分が連れて来たために自業自得だと何も言えなかった。

「ドレスにもケチを付けるような形になった。おまえがやったことはすべて間違っていたことになった。分かっているのか?」
「はい……」
「前回はお嬢様のおかげで、連れて行かなかったのが正解だった。それで終わっていれば、王家にブレフォス様が謝罪することはなかったんだぞ?」
「はい……」

 それからオーリンは書類を書かせることを優先し、黙って監視した。

「か、書けました……」
「貸しなさい」

 オーリンはレベンナを雇った経緯、どうしてそのようなことをしたのか。

 エルソンとレベンナは特に契約をしていたわけではないので、モリーの手伝いをしたら、支払うつもりであったこと。

 レベンナも自身を売り込むことが目的であったために、お金が目的だったわけではないが、公爵家との契約には食いついた。

「契約していたわけではないのだな?」
「はい、報酬は渡そうと思っていましたが、結局は何もしておりませんので」
「そうか、もう王都にはおれぬだろうから、放って置けばいい」
「っえ」
「王妃陛下が動かれるとのことだ……当然だろう」

 エルソンは驚愕の表情をしてしまったが、レベンナはモリーに意見したつもりでいるが、気に入ったと言っていたのに、そのような発言をしたということは、王家に盾突いたことになる。

 だが、レベンナはそれを気付いていない。

 自業自得の行動の結果ではあるが、ゴース準男爵家は終わりである。

「はい……」
「お前は家に戻り、再教育だ」
「はい」

 エルソンもブレフォスに怒られ、オーリンがやってきた時点で、覚悟していた。

「ブレフォス様に謝罪して、先に帰れ」
「はい」

 もはや何の言い訳もできなくなったエルソンは、相槌人形と化し、それがオーリンをさらに怒らせた。もはや何をしても苛立つ状況でもあった。
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